その時の夫人の眼を今でもおぼえている、冷徹(れいてつ)なマナザシだった、多くの若者が彼のことばで戦場に出て行った、
「上手なんです」
「ころりと信じてしまう」
私が、
「カリスマ性ですね」
「どうしてあんなに自信があるんでしょうか」
何代・十何代に渡っての仏門の聖職者、説教が身についている、身体全体からにじみでている、
「罪作りですね」
「はい はい それなんです それなんですよ」
あの大戦で仏教者の言葉によって、多くの若者が出征していった、夫人は、
「戦後は ちょっと静かになりました すぐに元気になってしまいました」
そして、
「スズメ百までおどりをわすれず ですね」