二つの大権のひとつ「統帥権」が発令されることなく、ずるずると戦争になだれこむ、だから、これは、
「女性的か」
政府の高官は三島の寺に集まった、住職は山本玄峰(ヤマモトゲンポウ 1866~1961)、名僧だったらしい、戦争の末期、もう敗戦が迫っていた、彼の意見を聞きに集まった政治家たちに、
「敗けるときは ころりと敗けなければいけない」
「ジタバタすると 大ケガをする」
そして、
「ここは 忍び難きを忍び 堪え難きを堪えねばいけない・・・」
大局を見据え、本質を、的確にとらえている、
「この言葉 終戦のあの宣言ではあるまいか」
戦後、ある会で玄峰老師を見た人が、
「あの名人は だれだ」
「名人は あなたでしょうが」
質問者は将棋の升田幸三、
「オレは将棋の名人だが あの方は人生の名人だ」
その動作が見事、歌舞伎の役者や能楽師もかなわない、亡くなった際、
「最後の禅者」
ともあれ、彼のヒトコトで、この国が救われたのかもしれない。