思い出してしまった、勝手口が騒々しい、住職の夫人が、
「この方の むすめさんが きょうあした(今日明日)なんですって」
「・・・」
「行っておやり」
あの背骨の曲がってしまった少女だ。
「ごめんなさい ごめんなさい」
「あのね あのね こんど生まれてきて きれいなからででうまれてきて そうしたら ヤクモフジにつれてっててください」
「あのね あのね あたしね うまれてきてよかった うまれてきてよかったとおもうの」
「・・・」
「あのね あのね・・・」
「どうだった」
「だめみたい」
その時、夫人が、
「おとこは おとこの子は つらいことかなしいことをのりこえていくんだよ」
いつもとはちがう、
「御前さまが ほめていたよ
あの子はちがう
あの子はちがう
きっと法華経の花を咲かせてくれる
りっぱな大輪の花を咲かせてくれる・・・ 」
法華経と禅宗、どちらが、この列島の人々には向いているのだろう。
上の写真は、大寺の前の坂、何度も行ったり来たり・・・