どうやら令和5年の日本政府の税収は70兆円を超えそうである。
コロナが終わり、外国人観光客が戻り、円安効果で輸出が好調なのだから不思議ではない。
私が不思議でならないのは、日ごろ財政赤字を声高に叫ぶ役人様や、その手先と化しているマスコミ様におかれましては、一向に減税の声が出てこないことだ。日ごと財務省の発表する財政赤字のニュースは大々的に報じる癖に、いざ税収が増えているにもかかわらず黙り込む。
私は何度も書いているけれどマスコミ様は報じたがらないので、嫌みったらしく再び書くぞ。
日本政府が膨大な財政赤字を抱えているのは事実だ。しかしその赤字の中身は国債が中心だ。国債は借金であり返済しなければならない。既に国債の返済は始まっており、日本政府の支出のうち4割近くがこの国債という借金の返済に充てられてる。だから財政危機だとの財務省の主張は嘘ではない。
嘘ではないが、真実から遠く離れている。
確かに日本政府の抱える借金は巨額だ。しかし、日本政府の有する資産、とりわけ金融資産もまた巨額である。アメリカの国債が中心だが、その保有により得られる利子収入も巨額であり、外貨準備高の裏付けとなっている。
総資産から負債を控除した純資産が、その企業や国家の財務的安定性を保証する。その視点からすると、日本政府の財政状態は赤字ではあるが、実は少額である。理由は簡単で膨大な借金だけでなく、巨額な対外資産を保有するからだ。
だから外資の格付け会社が日本の国債を評価してB+などとしているのも正直当てにならない。当てにならない理由の一つは、日本政府が有する資産が、評価の簡単な金融資産だけでなく土地などの評価が難しい資産が多く、そのために評価に変動が生じやすいからだ。
だが、断じて増税をしなければならないほどの財政赤字ではない。では、何故に財務省は財政赤字を声高に叫ぶのか。それは各省庁が自由に使える予算が年々制限されてしまうからだ。これは過去に発行した国債の償還(負債の返済)が年々増加するため必然的に各省庁で使える予算は減額されてしまう。
これが嫌で増税を繰り返しアピールし、記者クラブを通じて国民に周知させようとしている。たとえ税収が増えたとしても、将来も増え続ける保証はないので、断固増税を求めて止まない。本来廃止して然るべき石油取引税のトリガー条項を止めないのも、この流れのなかでは当然だと考える。
霞が関の官庁に対しても強気な姿勢を崩さなかった安倍政権と異なり、党内基盤がぜい弱な岸田政権はどうしても霞が関に媚を売らざるを得ない。だから税収が増えても増税路線を止められずにいる。ただ、さすがに増税眼鏡呼ばわりされるのは嫌らしく、言い訳みたいな小規模な減税(特別減税)を急遽採用して印象操作に必死である。
この定額減税についても言いたいことは数多あるが、長くなるので別稿で取り上げます。取り敢えず大声で言いたいのは日ごろ社会の木鐸だと偉ぶるマスコミ様の二枚舌ぶりですね。いい加減に官庁の広報誌に堕していると、読者から見放されると知れ。かつては税金の無駄遣いを社をあげて報じていた産経も、今じゃ大本営発表に異議を唱える気概を無くして久しい。
他の大マスコミ様に至っては、増税と生活費の値上げに苦しむ庶民の声を紙面の片隅に乗っけて誤魔化す卑屈さである。そんなに記者クラブから弾かれるのが怖いのか。年々収入が減少している大マスコミ様にあっては、もはやお役所に逆らう気力なんぞないのが本音だろうけど、それって自業自得ではないか。
せめて令和5年度の日本政府の歳入が増加している事実くらい堂々と報じろと言いたいですね。