私は子供の頃から楽天的な性分であった。
だから自分が鬱病になるなんて、まったく想像したことがなかった。私が鬱病になったのは20代の難病療養中のことだ。でも、間抜けな私は自分が鬱状態であることは自覚していたが、鬱病のことはまったく考えていなかった。
あれは苦しい。気持ちの苦しさが身体までをも痛めつける。毎日、苦しくて苦しくて、どうしようもない状態であった。ただ私は当時の自分が苦しいのは当然だと思い、それを耐えるべきものだと思い込んでいた。
でも今だから分かる。あれは心の病であった。もしかしたら専門医の治療を受ければ、苦しさは緩和させられたのかもしれない。難病患者であることは受け入れていたが、精神の病気であることは認めがたかったのかもしれない。
ここに鬱病の難しさがある。
私はわりと自分が公平で平等な人間だと思っていた。でも、心のどこかで、精神の病気に対する偏見があったのだろう。だからこそ、自分が心の病である現実を認めがたかった。
私がそのことを知ったのは、既に難病がある程度治って(不完全緩解である)からだ。同じ難病患者の集まるHPで開催されたオフ会で、若い女性から鬱病の経験談を聞いて、自分もそうだったのだと自覚した愚か者である。
鬱病は誰にでもかかり得る病である。そのことは誰しもが自覚しておいた方が良い。特に過酷な環境に置かれた人は、身体の疲ればかりでなく、心も疲れることを強く認識したほうが良い。
誰もが風邪を引くように、誰もが鬱になる。鬱を心の風邪だと評した方がいたが、まさに正鵠を射てると思う。鬱が厄介なのは、この自覚しずらさだけではない。治療法もまた人それぞれであることだ。
表題の作品は、あの田中圭一が自らの鬱経験をもとに、様々な人の鬱と、そこからの脱出法を求めた短編集である。あの手塚治虫の画風をパクッて、手塚が決して描かないであろうオ下劣なギャグ漫画を描いていた田中氏が、実は鬱病の経験者であることも驚きである。
でも、鬱は誰にでもかかる心の病であることが良く分かる。そして、そこからの脱出も、人それぞれであり、悩み多きものであることも分かる。
この作品、まだ鬱にかかったことのない人こそ読んで欲しい。いつか役立つかもしれませんから。
これ、私も前に読みました。
https://22596950.at.webry.info/201706/article_6.html
私もヌマンタさんと同じく、あんまりクヨクヨする方じゃないので、うつになる事はないだろうとは思うのですが、たまにちょっとした孤独感を感じる事もあって、歳をとっていくにつれ、もしかしたら自分も・・っていう不安も多少感じます。
うつになってしまった人はほんとうに苦しいでしょうね。
この漫画を読んであらためてそう思いました。
鬱は誰にでもあること。それを病として対応できるかが、一番難しいところだと思います。