ヌマンタの書斎

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軽空母かが

2024-04-19 09:15:55 | 社会・政治・一般

戦後、初めて日本軍は空母を持った。

これは戦前の日本の軍事的野心復活の顕れだと、一部のマスコミ様がお騒ぎになっていらっしゃる。なにせ全長300メートルの巨艦である。戦前のどの空母よりもデカい。

マスコミ様の軍事的知識の欠如は今更であり、むしろネタがあれば盛んに平和を守り、政府の軍事的冒険を諫める正義の味方面するのが大好きなだけ。どうせ報じるならば、もう少し正確、あるいは的確な報道をして欲しいと思う。

20世紀後半から今日に至るまでアメリカが軍事的覇権を握っていられる大きな根拠が空母艦隊である。一国の軍隊に匹敵する戦闘機を搭載し、世界中の国を威圧できる一方、空母自体は広い海を常に移動しているため、なかなか攻撃されにくい。

ソ連もフランスも空母艦隊の保有を計画したが、その膨大な建築コストと技術的困難さから断念している。コストはともかく技術的課題とはカタパルトにある。艦上から蒸気の力で戦闘機を空中に打ち出して離陸を助ける装置である。ソ連もフランスもこの実用化に失敗している。ちなみにシナはアメリカが先行している電磁カタパルトを搭載した空母を建築したが、上手くいっていない。

これはアメリカも同様で空母ジェラルド・フォードに電磁カタパルトを搭載して試行錯誤している最中である。このカタパルトがないと、空母の攻撃力は大幅に減衰してしまう。ただでさ重い戦闘機に爆弾やミサイルを搭載しているのである。陸上基地の滑走路でも1000メートル以上は絶対に必要だ。

しかし空母はせいぜい300メートルしかない。重たい戦闘攻撃機を離陸させるには、カタパルトで打ち出すしかないのが実情だ。そしてここが肝心なのだが、日本の戦後初の軽空母かがはカタパルトがない。つまり武器を多量に搭載した戦闘機は飛ばせない。

ちなみに搭載する艦上戦闘機であるF35Bは、垂直離発着が可能なのだが、垂直に飛び立つとすぐに空中給油機から燃料補給が必要となる。しかもF35はステルス機であるため武器は機内に収容される。重たい武器は搭載できない。

私がかがを空母ではなく軽空母と書くのは、カタパルトがない軽空母では重武装の戦闘機は活用できないからだ。では、なんのための空母なのか。新聞やTVといったマスコミ様は敢えて書かないようだが、真相はアメリカ第七艦隊の護衛が主目的だからだ。その任務は偵察及び警戒である。

ネットワーク機能を持つF35は、一機が入手した情報を瞬時に他の戦闘機などと情報共有が出来る。これはアメリカ軍ともリンクしており、文字通りの共同戦線を張ることが明らかとなっている。

つまり空母かがの登場は、戦前の日本の軍事的野心復活ではなく、アメリカ軍の補助戦力として前線に登用されることを意味している。だからこそシナは空母かがは専守防衛を逸脱していると批難する。それに追随する日本のマスコミ様は理解せずに批判するだけ。

日本のマスコミ様が批判的に報道するのは構わないが、もう少し適切に報道して欲しいものだ。


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