これノン・フィクションではないの?
思わず、そう疑いたくなるのが表題の作品だ。読めば分かるが、連続殺人鬼の手記の形をとっている。その内容があまりに異常すぎて、実在の殺人鬼が自ら書いた、語ったとしか言いようがない迫真の殺人記録なのだ。
著者はアメリカ・ミステリー界の狂犬とも云われるエルロイである。エルロイを知らなければ、刑務所に収監された連続殺人鬼の回顧録として読めてしまうほどに完成度は高い。
いや、まさか・・・実話ではないよね?
そう確認したくなるほどに、話が真に迫っている。この作品は、エルロイの代表作である「LA暗黒史4部作」と「アンダーワールドUSA3部作」との間の時期に書かれている。
私はエルロイは一度読むと心に強いダメージを負うので、半年は空けて読むようにしている。なのだが、今までで一番読みやすかったのが表題の作品であった。それが不思議でならない。私は決して理解も共感も出来ないが、もしかしたら私の心の奥底で眠っていたどす黒い悪意が目を覚ましたのか。この読み易さが怖かった。
いやはやなんとも、やっぱりエルロイは恐ろしい。まさかと思うが、エルロイの実話だからこそ読みやすかったのか?いや、そんなはずはない。そんな訳がない。そう思いつつも、やはり疑ってしまう恐ろしい作品です。
連続殺人鬼の心の内側を覗いてみたいと思ったら、この作品は最適であると思います。
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