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きょうの写真、右から道路に覆い被さるように伸びたミズナラの太い枝、いつも通るたびに伐り落としてしまおうと思いつつ、今もこうして長い枝を張るに任せている。伐るには、樹幹から伸び出した枝の位置が微妙で、足場を作るのも厄介で工夫が要る。伐れば当然路上に落下するから、その配慮も必要となる。また見ようによったら、敢えて伐るまでのことはないと迷ったりもする。特に今のように葉を付けていない時には。
チェーンソーを扱う仕事や、一人でやらなければならない枝打ちは、時にかなりの危険を伴う。そんなこんなで、まるでこっちの躊躇しているのを見透かし、挑発でもするかのように見えるこの枝は、実に悩ましい相手だ。
先日のOtsuki氏の夕焼けの写真を目にした人の中には、腕の疼く人がたくさんいたと思う。いても不思議ではない、あれだけの美しい場所だから。ただあそこは牧場の一部であるから、当然、許可なく立ち入ることはできない。それについて不満をこぼす人もいた。揉めたこともある。それでも、牧場には戦前から続いてきた長い歴史があり、その役割があるのだから、安易に引くわけにはいかない。現在、牧場の管理運営しているのは「上伊那農業協同組合(JA上伊那)」で、2006年にかつての地主であった高遠町は伊那市と合併としたため、以後土地の所有者は同市に移った。
ここでも何度も呟いているが、近年牛の入牧頭数が激減し、県下の三大公共牧場の一つに数えられていた入笠牧場は、大きな曲がり角に立っている。そうした中で、多くの考えや企画は生煮えでしかないが、この機会を捉えて観光地開発を目論む人たちがいる。一度そういう会議に出席させてもらったこともあるが、ただ失望して帰ってきた。あまりにも現地の状況を知らないまま、机上の夢物語を言い散らかすだけで終わってしまったからだ。
確かに入笠は、有力な観光資源になりうる。それは誰よりも強く感じている。またそうでなければ、CMや映画の撮影地として使われることもないだろう。問題は、あれだけの自然環境を守りつつ、どうやったら訪れた人たちに「今ある感動や、喜び」を味わってもらえるようにするかということだ。2頭を追うのだ。もちろん、簡単なことではない。それでも、商業主義に堕した、ありきたりな観光地になぞはして欲しくないと、切に思う。人工物が自然と融和するには時間を要し、それが荒廃する時間は早い。(つづく)
O里さん、喜んで承知しました。なお、来牧に際しては事前に連絡をください。待ってます。
そういうわけで「冬の営業案内」をご覧ください(下線部を左クリックしてください)。予約は早めに頂ければさいわいです。