昨夜、里にも雪が舞ったらしく、掃き集めた落ち葉の上に白い物が残っている。いつもの癖で垣根の間から経ヶ岳を覗くと、中腹というよりもっと下方の山裾、仲仙寺辺りまでも積もるような雪が降ったようだ。
天気予報もコロコロと変わり、昨日の予報ではきょうは雪だったが、今見れば晴れになっている。ところが安堵してもう一度外の気温を見に出たら、わずかの間に雪が舞い始めている。気温は4度、それほど寒さは感じない。
きょうは土曜日、何の予定もない。何もする気がないからそれでいいし、朝風呂に入ったら、ビールまで頂きたくなってきた。
断っておくが、アル中というわけではない。煙草を吸っていたころは、あれは明らかに中毒で、山に熱中していなかったらまだ吸っていたと思う。しかし酒は、止めようと思えばそれほど苦労しなくてもできるつもりでいるから、いつかこの独り言に、「酒を止めた」と呟く日が来るかも知れない。
それはさておき、昨夜仕込んでおいたおでんの中から、大根とちくわを取り出し、それを肴に乾いた喉にビール流し込んだ。「ウマい!」とここで呟きたいところだが、格別そうでもない。無論、「不味い」とは言わないが、むしろおでんサマの方が美味かった。
おでんは、ビールではなく日本酒の方がいいと分かっているが、さすがに朝から重たく酔うのは憚られたから、ビールにした。
そのおでんについてだが、本当はそれほどの好物ではない。酒のつまみなら、むしろ焼き鳥の方に軍配を挙げたいが、外で飲むことはあまりないからそれは叶わない。
ではなぜか、ということになるが、作り置きしておけばこれが食事の度に副菜を作る手間が省けるということと、やはり美味いおでんを作ろうとする過程が面白い。味にこだわりたいのだ。
特に大根は演劇の主役ほどにも重要で、普段はそれほど栄養価も高くないし、煮えるまでにも時間がかかるから、レタスやセロリーのように食材としてはそれほど相手にはしてない。すぐに柔らかくなり、保存にも困る。
それが、何年かぶりに会ったらすっかりいい娘さんになっていたと言う話があるように、大根がすっかりあまたの食材の中で頭角を現すようになってきた。
大根を細切りにして、アサリと一緒に炊く、そして七味唐辛子を振って食べる。この辛味が大事で、さすが池波正太郎だが、この人の原作をテレビドラマ化したあの作品で教わったばかりだ。それに加えて、昨夜は残りのアサリもきちんと下処理して、酒蒸しで美味しく日本酒を頂いた。
「あはれ秋風よ情(こころ)あらば傳へてよ・・・(佐藤春夫『秋刀魚の歌』)は、いつの間にか秋風でなく、冬の風だ。
本日はこの辺で、明日は沈黙します。