<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

すまないことをしたと今でも思っている

2014年08月04日 19時32分02秒 | Weblog
赤提灯という食堂があった。お年寄り二人が切り盛りしていた。学生達がよくここを訪れて来ていた。お年寄りはわたしたち学生をことのほか可愛がってくれた。その2軒隣に、風呂屋があった。3時になると開いた。番台にはおばあちゃんが座っていた。学生達は赤提灯で夕食を済ませ、ここの風呂屋に流れた。やはりわれわれ学生を可愛がってくれた。下宿に戻って夜更かしをした。12時を過ぎると腹が減った。室見川の川土手に屋台が立っていた。銭守というおばさんが、われわれ貧しい学生たちの面倒を見てくれた。わたしはまだ20才を過ぎたばかりだというのに、ここへ行っておでんを食べて、あろうことか日本酒の熱燗を飲んだ。もちろん1合きりだ。ある晩そこへ若い娘さんがやって来た。何があったのか知らないが熱燗を重ねた。そして隣で飲んでいるわたしの後ろへ回ってやさしく抱いてくれた。わたしは童貞だった。対応ができなかった。ふたりきりでもう一軒行こうとしきりに娘さんが誘った。童貞のわたしはどんな勇気も持ち合わせていなかった。娘さんはわたしの腕を離さない。わたしはこれを拒否する。そうこうしているうちに酔った娘さんがそこへ倒れ込んでしまった。わたしはここを辞去した。娘さんが追って来て夜の闇の川土手に倒れる音がした。わたしは振り向かないで立ち去った。
何十年も昔の話である。どんな娘さんであったのかももう覚えてはいないが、すまないことをしたと今でも思っている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

暮れて行く乳頭を啄んでいる

2014年08月04日 16時59分26秒 | Weblog
ふっくら膨らんでいれば満ちているということ。

港の波止場が満潮をしてふっくら膨らんでいる。

カモメが来て暮れて行く乳頭をついばんでいる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

こころのままごと遊びに興じている

2014年08月04日 13時06分57秒 | Weblog
こちらは雨がじゃんじゃかじゃんじゃか降っています。この分だともうすぐ大雨警報注意報が(市役所から)発令されるんじゃないかなあ。赤褐色の向日葵が雨に濡れてどの大輪も重たそうに俯いています。支え棒をしてやらなくちゃなるまい。枝分かれが進んで花数もずいぶん増えてきました。ロシア向日葵ほど大輪ではありません。



人との繋がりをほぼシャットアウトして過ごしていますから、こんなふうにそこに咲き出た庭の花に愛着を寄せるしかありません。



三郎は恩知らずな男です。失礼極まる男です。やさしくやさしくしてもらって、どうにかこうにか無事に過ごせてきたはずなのに、職を退いた途端、横の繋がり縦の繋がりどれも面倒になってしまって、ずるずるずる。礼儀知らずを通してしまっています。何処にも出て行こうとしません。たまさか勇気を鼓舞して出て行ったら、今までの分を取り戻そうとして一度にどっと気を遣ってしまうので、どどどどどっと疲れてしまいます。

外に出て行って人前に出て自慢にできるようなこともないのです。今の自分がみすぼらしいばっかりです。膝を乗り出して聞こうとする意欲が欠如しています。話に加わっても、話が合いません。こうなると、しょぼしょぼと退出するしかありません。来なきゃよかった、どうして出てきたんだろうと悔やみます。



そのくせ寂しいのです。寂しいのは覚悟の上なのに、寂しいです。でも、耐えるしかありません。想像上のフィクションの中に、好きな人を棲まわせて、その人とこころを合わせているふりをしています。みみっちいです。こんなふうに、こころのままごと遊びに興じているなんて精神年齢が疑われます。小人閑居して不善を為す、の類いです。



おやおや、雨が小降りになってきました。揚羽蝶がひらりひらりして金柑の木の上辺りを舞っています。こうして遊びに訪れてくる揚羽蝶を我が友とする、では三郎の気宇たるや、まことに微小狭隘です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする