吾は唯 足るを知るのみ。
吾にも口がある。唯にも口がある。知るにも口がある。足るにも口がある。
口がものを言っているのだ。
欲にも口がある。平和の和にも口がある。
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足るを知るとはどういうことなのか。
自足するということだ。
人のものを取らない奪わないということだ。
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足りないと奪い合うが、足りていれば分け合うことができる。
分け合うことができる社会が平和な社会ということか。
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富める者は限りなく富もうとする。
美食家は限りなく美食を食い漁る。
権力者は限りなく権力をほしいままにしようとする。
富を味わった者はもはや富を分け合えない。
美食を味わった者は食を分け合えない。
力の威力を味わった者は力を分け合えない。
限りなく限りなく欲望が募る。
欲望は衝突する。争いになる。相手を倒すための闘いが起こる。
勝者と敗者ができる。
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吾唯知足。わたしは今のわたしの持ち分で十分満ち足りて過ごせます。
これはこころが決めることだ。
足りているか足りていないか、これはわたしのこころが決めることだ。
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過分。分に過ぎているという自己規定。過分を知る者は宗教者である。
わたしはわたしの持ち分以上の幸福を持ち合わせていますのでみなさんにお分けすることができます。
わたしはこの宇宙に生まれました。これも持ち分である。
わたしは星々の輝きに照らされている者です。これも持ち分である。
わたしは虫の奏でる音楽を美しく聞いています。これも持ち分である。
これを過分と思える者は自足者である。
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みずからに与えられているもので足りている者は、奪い合う愚かな戦を仕掛けないはずである。