行く秋の大和の国の薬師寺の塔の上なるひとひらの雲
(行く秋を雲だけが流れていて、作者名が浮かんできません)
*
「の」が4連続してしだいに収縮していく。そしてぽっかりとぽっかりと一片の雲が秋を独り占めする。
大和の国には薬師寺があって、いまも変わらず厳かに仏舎利の塔が聳え立ち、「ゆ」「や」「や」のヤ行が風をこしらえて、ゆるやかに取り巻いている。
*
かって奈良には古い都があった。薬師寺は法相宗の大本山。680年、天武天皇の発願。白鳳時代、天平時代の仏教美術品も収められている。
法相宗は別名唯識宗。この世の一切の存在は識(こころ)の造りだしたものに過ぎないとした。その識の八番目に、全人類共通遺産の阿頼耶識(あらやしき)という識があるとした。
*
ここのみほとけは薬師如来、つまりお医者さまである。
ヒト属は病む。目を病み、口を病む。こころを病み、からだを病む。たましいを病み、思想を病む。
病まずにいられることはないか。ない。病んでいいのである。病んでみればそこに見えてくる仏がある。仏にゆだねていいことが分かる。
*
病む者にはどうしても医者がいる。仏さまとは、このお医者さまなのだ。従って、仏教の役割は医者の役割である。病む者のこころを元気にさせる教えである。
*
そんなことあんなことを一片の雲から考える。
秋風吹きたつ平城京の都の地に、いざや片雲の風に誘われ、とろりとろり行ってみたくなってきた。
(行く秋を雲だけが流れていて、作者名が浮かんできません)
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「の」が4連続してしだいに収縮していく。そしてぽっかりとぽっかりと一片の雲が秋を独り占めする。
大和の国には薬師寺があって、いまも変わらず厳かに仏舎利の塔が聳え立ち、「ゆ」「や」「や」のヤ行が風をこしらえて、ゆるやかに取り巻いている。
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かって奈良には古い都があった。薬師寺は法相宗の大本山。680年、天武天皇の発願。白鳳時代、天平時代の仏教美術品も収められている。
法相宗は別名唯識宗。この世の一切の存在は識(こころ)の造りだしたものに過ぎないとした。その識の八番目に、全人類共通遺産の阿頼耶識(あらやしき)という識があるとした。
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ここのみほとけは薬師如来、つまりお医者さまである。
ヒト属は病む。目を病み、口を病む。こころを病み、からだを病む。たましいを病み、思想を病む。
病まずにいられることはないか。ない。病んでいいのである。病んでみればそこに見えてくる仏がある。仏にゆだねていいことが分かる。
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病む者にはどうしても医者がいる。仏さまとは、このお医者さまなのだ。従って、仏教の役割は医者の役割である。病む者のこころを元気にさせる教えである。
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そんなことあんなことを一片の雲から考える。
秋風吹きたつ平城京の都の地に、いざや片雲の風に誘われ、とろりとろり行ってみたくなってきた。