蜻蛉(とんぼう)を空が飛ばしてくれたんだ 僕がくよくよばかりするから 山鳩暮風
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この作品が今朝のS新聞の読者文芸短歌部門で入選をしていました。貞包選で。
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選者に次のような選評をしてもらっていた。過分な評価をいただいている。理解をしていただいて、嬉しい。
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悩みや寂しさを抱えた日々を「くよくよばかるする」と嘆く作者である。それでも、突き抜けるような空の青さに救われることもあるのだろう。空は無言だが、底に広大無辺な優しさを感じ取っている。蜻蛉が空を飛ぶ、ではなく「蜻蛉を空が飛ばしてくれた」と詠むことで自然に対する作者独自の捉え方が見えて来る。
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さっき、ご高齢の新聞読者の方からお電話をいただいた。くよくよばかりしていると書いたからだろう。慰めと励ましを忝くした。入選になったことを祝ってもいただいた。有り難いと思った。
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これは口語体の作品である。
僕のために大空が蜻蛉を飛ばしてくれる、そうやって慰めてくれたり励ましてくれたりする、なんてことはないかもしれないが、この時は、あるような気がしたのである。大空の、僕への愛情を感じたのである。空も蜻蛉も、そこにあって、僕に、湧き上がって来た言葉を伝えようとしている、と受け取ったのである。
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蜻蛉が元気よくすいすいと飛んでいる。くよくよなんかするなよ、と言って聞かせてくれている。それをそうさせている大空。大空の深さ。青さ。高さ。