詩 「ほ」
ほ。
ほほほほ。
ほほほ、ほほほほほ。
ほ。
音が、はじける。
くちもとで、はじける。
音がますますわたしを呼び覚ます。
うれしさが音になる。
はじける音になる。
爪染め草の草の実のはじける音になる。
わたしにもまだうれしいことがある。
まだある。
尽きずに、ある。
もうとっくに尽きていそうだけど、尽きずにある。
ほ。
おしだまっていられない。
ほほ。
人に聞かれるほどの爆発ではない。
よしんば人に伝えたところで、理解が得られるはずはない。
ほほほ、う、ふふ。
ほほほほ。
小さな、うんと控えめな、自己肯定。
それがときおり忍び足で歩いてくる。
けさ、
忍び足の爪染草の、
花の実が、
わたしのくちもとを、
きりりと赤く染めるために、幾つも幾つも。