お昼に食べた瓦焼きうどん。
生卵がのってた。
隣の座席に白髪の老爺が二人いる。同い年に見える。違ってた。
はじめは友人同士かと思ったが、そうじゃなかった。会話にそれが読めた。上下の関係性が聞こえて来る。一方の声が高く、一方は小さい。
片方が命令口調。片方が全面的に従っている口調。社長さんと社員さんだろうか。あきらかに社内を引き摺って来ている。急には変えられないのだろう。
はい、はいと受けている方の味方をしたくなる。腰が引けている方の加勢に立ちたくなる。
社長らしき人が、水を所望する。同い年くらいの社員さんが、水を運んで来る。車に携帯を忘れたと片方が言うと、片方が、はいはいと受けて、取りに行って来る。
前金制度で、社長らしき人が財布を出す。社員さんらしき人がチケットを買いに行く。二人は同じくカツカレーを食べ始めた。
社員らしき人は、ほんとにカツカレーが食べたかったのだろうか。気になる。上下関係性は食べるものにまで拘束力を持つものか。
隣にいる僕のところまで空気が伝わって来る。上下の関係があらわになっている。おれは偉いんだぞに聞こえて来る。はい、はい、はいを言いながら、カツカレーを食べている。
ああ、おれは一人で良かったと思う。とてもとても、あんなにはい、はいは言えない。社員じゃない人がいるところまで来て、上下の関係性がアピールされてはたまらない。
聞きづらくて、席を立った。露天風呂に向かった。
その後、しばらくして二人もやって来た。気に入られているんだろう。目をかけてやっている人なのだろう。湯船の中でも、上下の関係性は不動だった。