お爺さんの楽しみって、これといってあんまりないなあ。
静かにしていることくらいかなあ。
人と会うこともない。
会って、お喋りをすると疲れてしまうから、なるだけ会わないことにする。
ほとんで一人でいる。新聞を読んだりラジオを聞いたりしている。
２４時間が自由時間。何をしててもいいのだが、何をすることもない。社会のためになる子ともできない。
朝寝昼寝もそうそう続かない。
短時間、畑に出る。椅子に座って、口笛を吹きながら、風に吹かれながら、草取りをする。それくらいが関の山だ。
今日は五月五日、こどもの日、祝日。快晴。爽やかだ。日射しの中へ出ていくと、さすがに暑い。しばらくで汗を掻く。
杖を突きながら、畑を一周して戻って来る。
雀たちへ古米を撒く。餌場になっている庭先に。どっさり。
古米はいただいたもの。米虫に食われてしまうまえに、雀たちに食べてもらう。
お爺さんのこどもの日は、何処にも行きようがない。家でゆっくり過ごす。
午前中は詩を一篇書いた。お爺さんお爺さんした詩を。２０行。
そのほか、畑で収穫したグリンピースの、莢剥きして、実をたくさん取り出した。小さなボールに一杯になった。
お昼になった。娘の客人が３人来て客間は賑やかだ。お爺さんは引っ込んでいるしかない。
