金ぴかのパゴダは吸引力がある。ヤンゴンに着いてすぐにシュエダゴン・パヤーを訪れた。パヤー(仏塔の総称の現地語)は下部がどっしりと安定感のある膨らみを持ち、尖塔は天を突き刺し、仏教信徒ならずとも引き寄せる。屋内は勿論裸足。「裸足で参拝して毒虫に刺された」という経験談に臆したが、靴下を脱ぐまで係が追ってきたので以後は観念して行く先々で裸足になった。比較的安価で信頼抜群の飛行機でバガンに着き、空港の客待ちタクシー、アウン君を雇いオールド・バガンへ。半日回って全部見切れず、二日目もハン君と巡った。仏舎利が祀ってあるのがパゴダでその他の遺品、例えば髪の毛やお箸、袈裟等があるのが寺院だと言う。僧の教育や冥想場は僧院だ。長閑な大地に見渡す限り無数のパヤーが林立している。金ぴかで聖なる仏塔シュエズイーゴンを始め、白い大きなシュエサンドー、上品な白色やレンガ作りの寺院、僧院等、大小、高低、建築様式も様々、11世紀以降の建築物が多い。ティーローミンロー、外観の美しいナガーヨン寺院、シバ神が祭られているヒンドゥ寺院等、書ききれないほど巡った。ハン君に「なぜこんなにパヤーが多いの」と聞いたら、王が変わる度に建てたのは勿論だが仏塔はかつて誰でも建てられたという。目的を明記して申請するのだ。1975年にミャンマー大地震があり、地震前に4446のパヤーがあったが、地震の後2230残り、現在は復活して3400ほどある。
4体の黄金の立像が溜め息をつくほど魅力的なアーナンダー寺院では女性が飛んで来て説明した。立像は離れて見ると微笑んで見える。「欲張るな、怒るな、妬くな」と教えたという。このガイドは物売りで、出口で「チャット(現地マネー)はないか」と聞く。「ない」と答えたら「円を交換しなさいよ!」と。最近はドルの価値が下がり物売りの子どもまでチャットを好み、ドルは馬鹿にされていた。囚われの経験のあるマヌーハ王が死ぬ前に一つ建てたマヌーハ寺院は坐像と寝像が建物一杯に建造され、鬱々としたムードで余韻抜群だ。仏陀の表情豊かなこの国には火炎樹が咲き誇り、猛暑だったが安全で良い旅だった。(彩の渦輪)