帰国してすぐに娘のところへ草取りに。自悠人は何歳になっても、「やってもらうよりやってあげたい」親なのだ。いつもは自悠人が草取りをしている間、筆者は娘とショッピングを楽しむ。が、今回、草取りはすぐに終わったが厄介なものが茂っており、別行動はできなかった。建築後すぐにどこかから種子が敷地内に飛んできて瞬時に(という速さだったそうだ)屋根より高く茂った、という桐の木だ。でっかい葉のついた大枝が隣家の屋敷にまで茂りまくり、娘が気にするので自悠人が枝葉を切り落としに行ってやるのだ。この木は枝葉を落としても、落としても、見に行く度に育っており、草引きより大きな仕事となった。「そんな木、根本か根本近くで切ってしまったら?」と筆者。だが、夫、自悠人は、「駄目だよ! 桐の木は神聖な縁起木なんだ。わざわざやって来てくれた縁起の良い木を切ってはいけない。郷里では女の子が生まれたらこの幼木を植える。育った桐の木でその娘の嫁入り道具の1つに桐の箪笥を作ってやる風習がある。桐の木は下駄も作ったり、と有益な木、桐の箪笥は軽く、湿気を防ぎ、燃え難く、ポンと幹を切っても芽がでてくる縁起木なのだ」と。そういうわけでこの桐の木、夫はかなりの枝を落としたが幹は残し、枝葉を市の清掃局へ運ぶところまでお手伝いしてきた。娘の屋敷に飛んで来たこの桐の木に感謝し、この縁起木が今後も娘の幸せを守ってくれるよう願いつつ家路についた。(彩の渦輪) 写真2.桐の木の枝葉を捨てに市の清掃局へ