実家の築山(庭)が我が造園趣味の原点: 親父が祖父から引き継いだ60坪ばかりの築山を、青年の頃、父親の命令で管理したことから始まる。盆前になると4、5人の庭職人がやってきて庭に入り、松の剪定から始めたものだ。高さ15mのクロ松が1本、中小の松の木が3本、小滝のある池を囲むように段差を利用して周辺に大石を乱立させ、常緑樹が植えられた庭だった。瓦付き板塀で庭が囲まれていた。塀の外には小川が流れており風情があった。子供の頃の忘れ得ぬ思い出は、配置された大石の表面の苔を、竹馬の友、隣家の学ちゃんと競争でむしり取ってこっぴどく叱れたことだ。私が植木に関わったのは高校生ぐらいだっただろうか、下からの親父の指示で多種の木々の高所の剪定をさせられたので庭木の手入れの基本を習得し、要領を覚えた。 我が家の造園の原点はクロ松: 新築したとき、家の玄関用は若夫婦の予算にあう成木の松を購入した。造園の将来を考え、1センチぐらいのクロ松の苗を1本100円で12本購入して庭の一角にまとめて植え、育てのだが、その松苗が3か所の小さな庭に植わり、50年にもなり、育って目の前にあるのだ。植えた場所や手入れ方法によって異なる形、高さ、大きさだ。風格があり、格好が良く、気に入ったものが結構ある。アメリカに20年間住んだ間に盗まれた木もあり、手入れが行き届かず原木に近い松もある。剪定中に脚立から墜落したことが2回ある。1回目は道路に投げ出されたが、落ちる過程で木々や生垣にひかかって難を逃れた。2回目は剪定意欲に駈られ脚立のてっペんで身体を伸ばしたら重心を失って墜落、右手首をコンクリートに着いて身体を支えた。手首が外れて手からぶら下がってしまった。
救急病院へ駆けつけた。担当医が丁度外科医、レントゲン写真を見ながら正常位置まで手首を引っ張ってギブスで固定。麻酔はしたが粗療治、自身の手なら全身麻酔で丁寧にやるだろう。言葉を絶する痛みが続いた。事前に医者から予告はされた:「若者なら手術をするが貴方は60歳を過ぎているから完全に元通りには治らない。年齢的に通常の機能回復で良いですか。生活に必要な機能は残るはずです。」と、了承させられた。鉢植え盆栽は高松から買って来たが、手のかけ過ぎで2鉢とも枯らしてしまった。いい年のシニアになり、旅も減って剪定シーズンの在宅が多く、松への関心度が強くなった。松、松、松と関心を持ちすぎて、そのうち坊主状態にまで刈り込むかもネ。(自悠人)