かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

ヤミ金を食った男

2009-03-15 | 事例
Kがヤミ金から借りたのは、先付け小切手を不渡りにしないためです。
しかし今は違います。ヤミ金から借りたが為に、小切手が不渡りになろうとして居ります。

Kがヤミ金から借りたのはまだ4ヶ月前です。
先付けの50万、明後日の日付です。もう2回も切り直して居ります。
「Kさん、今度は決済頼みます。どんな事があっても回しますよ。」
頼む様に強く言われた小切手、もう書き換えを頼みに行く気がしません。
途方に呉れて居た時、タイミングよくFAXから流れた1枚のチラシでした。
「小切手で100万まで直ぐに用立てします。」の文字が目を引いたのです。


「手を出してはいけない。」
こう信じて居たヤミ金です。
でも聞くだけと思って、電話に自然と手を伸ばして居ました。

「小切手20万づつ3枚、7日後から7日置に3枚切ってくれ。
 其れを今からFAXする住所に今日中に書留速達で送ってくれ。
 小切手と書留送付の受領書コピーをFAXで送ってくれれば
 今日中に50万振り込んでやるよ。」
若い男の声です。助かったと思いました。
此れで今晩も明日の晩も眠れます。

初回の20万は決済出来ましたが、その後の20万は決済できません。
金額が若干増えて追い借りです。こんな繰り返しが2月ほど有りました。
未決済小切手は漸次増えて居ります。でも足りなくなると借ります。
自分からお金は出ておりません。危険と思っていたK の考えは何か
金づるを握った感覚になっていきました。
金利のことなど頭に有りません。

こんな事が2ヶ月ほど繰り返しました。
ある日、ヤミ金から「俺んとこだけじゃ間に合わないから。」
と新規のところを紹介してきました。
新しい方から借りたお金は今までのヤミ金の返済に使われます。
そうなると借りて返す大車輪です。

2番目が出来て、更に1ヶ月を越す頃は借りる相手は5軒に増えていました。
幾ら貸せると云っても大変になって来ました。
何処も担当一人と電話だけで顔は見た居りません。
そんな頃から、順調に貸して呉れていたヤミ金が、貸し渋りを
始めてきたのです。新規のところも紹介してくれなくなりました。

Kが本当に辛かったのはそれから小切手が不渡りになるまでのほぼ2週間です。
又、親戚知人を回りました。しかし集まる筈が有りません。

ヤミ金にも融資を何回も頼みました。この頃になると、何処の貸さず、
たまに月倍の金利で工面してくれるだけです。

ヤミ金に電話です。
「小切手を回すのを4日ほど待ってくれ。
 そうでないと不渡りになる。不渡りになればもう1円も払えなくなる。」
此れは各業者嫌味を言いながら待ってくれました。

しかし待って貰ってもお金は生まれません。
漸く高金利が頭に浮かびました。払いすぎならばいちゃもんを
つけようと計算して驚きました。最初の業者を除き、何処も借りた
お金と戻したお金を比較すると借りたお金の方が遥かに多いのです。
未決済の小切手を全部決済すると遥かに返金のほうが多くなりますが、
今現在は、動いたお金はトータルでもトントンです。
中には1円も返して業者もあります。

ついに不渡りを覚悟しました。顔も見てない業者。
不渡りにすると飛んできて、何もかも目茶目茶にやられるでしょう。
其れも覚悟しました。若し会社に来たら、会社の中には1歩も居れず、
奥で奥さんが110番に電話する手筈に決めました。

「どうしても決済できない。此方から連絡するまで取立てを待って下さい。」
と先ず真っ先に借りた業者に電話です。
「他に貸してくれるところは無いのか。」
「内はもう2-3日ならば待ってやる。」
「まあ、2-3日待って小切手は回すからな。」
思ったよりおとなしかったです。

此れが大きなヒントになりました。
「どうしても決済できません。払えるまで待って頂けませんか。
 其れが出来ない場合は、不渡りでも仕方有りません。その時は
 弁護士を入れて倒産処理をします。済みませんが正式な会社名や
 代表者住所など教えてください。債権者名簿に載せてその時に備えます。」

反応は様々でした。

「お前整理屋か。」

「あほか」

「小切手を回すよ。」

「そんなはした金、呉れてやる。」

皆一様に取り立ては諦めたらしいです。

その翌々日小切手は2枚回ってきました。
銀行に調べて貰うと200キロも離れた銀行からの取立てです。
その銀行はきちんとした手順を踏まないと取立て者のことは
喋れないと言うので聞くのを諦めました。

しかし2枚で50万と云う小額の為に契約違反として銀行に預託をして
一応不渡りを免れました。その後は幸い回ってきませんからKは
まだ不渡りを出しておりません。

結果としてKは、4軒のヤミ金を踏み倒しております。
その損失分は、1軒の儲けです。ぼろもうけの様に見える
ヤミ金も実体はこんなものかも知れません。





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