かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

1年を7月8月で暮らす人たち。

2015-08-21 | 事例
「8月は電話もしませんよ。9月になったら直ぐにお会いしましょう。7・8の売上次第で
 今後の方針を決めましょう。」
こう約束している業者が3軒ある。

一軒は有名な夏期遊園地とも言える、施設の中に売店を借りて居る人。
また人工島の行楽設備の中で、1年中、アイスクリーム専門で商売をしている人。
最後の1軒は、伊豆地方の市の海水浴場の目の前に、ホテル業を営む人だ。

いずれも7月・8月で1年の半分近くを稼ぐ。ただし、その他の月は全くだらしがない。
3軒とも年が明けて直ぐに、万歳を相談に来た人たちだ。
もう、資金は全然持っていない。

「自分の資金作りのためにも、今年の夏は商売をやりましょう。それまで最悪は休業しても
 仕方無いじゃあありませんか。」
直ぐに打った手がある。

一つは夏の手を揃えるためにアルバイトが多い。殆ど首にするか。7月まで待機だ。
大幅に経費が違う。
もう一つは3軒とも借り入れは全部保証協会付だった。全部を代位弁済させた。
決めてから実際に第弁済で話し合いがあるまで、返済は1円もいらない。
どこも大きなお金だった。
しかもその後の支払いは話し合いで出来る。
担保も全て移ったが、逆に保証協会にあった方が他は手が出させず、保証協会は
営業をやっている以上処分は難しい。
店格は落ちるがいいとこづくめだ。

これで殆どが何とか夏までは持つとなった。

本当に目覚めたのか、自分でも改革に乗り出した人もいる。
大企業の設備の中でやって居るから上納金は仕方がないと思って居たが、
この改革に交渉を始めて効果を得た人。
自分の処は同じ人が何時も来て居るからと、固定客を引きとどめるためにクラブを作った人。
ネットに力を入れて週休に効果の見えてきた人。

いずれにせよ、今までは官が手もなかった事を考えて、取り組む姿勢の出来た事は有りがたい。

電話はしないといったものの気になって仕方無いから1回電話を入れた。
声を聞いて安心した。張りがあった。9月にこの声が聞ければよいが。

出来れば今後も仕事は続かせたい。
最悪の場合は、この夏の売上を当面の生活費と将来の軍資金として手を挙ざるをえないが、
いくら将来の軍資金でも今のご時世、他にやることがない。

前日の電話の感触では、何とか今後も万歳をせず、続きそうだ。
自分ではその線で行こうと腹は決まっている。後は当人をその気にさせるだけだ。

単に合理化でなく、リストラの改革も3人とも頭に入った。若干でも業績に影響している。
将来にわたって怖いのは唯一つ。保証協会だ。保証協会が急激に強硬路線をとった時だ。
でもその時は、この3軒だけでなく、何千もの中小企業に影響があるだろう。
大きな社会問題になるとおもう。だから簡単には保証協会も今の姿勢を変えることはできない。

でもくるくる回っている社会。絶対に無いとは言い切れない。
この時が怖い。