第159回 2017年5月9日 「王様の漆器をあなたの食卓に~沖縄 琉球漆器~」リサーチャー: 小野ゆり子
番組内容
琉球王国時代、国の威信をかけた贈答品として、華麗な装飾を発達させた琉球漆器。貝をあしらった螺鈿(らでん)や、漆を盛り上げて立体的な文様を表現する堆錦(ついきん)など独特の加飾技法は、今も受け継がれている。そして、伝統のワザを用いながら、よりカジュアルに、モダンに変身した漆器が登場している。ゴーヤーなど立体的な柄をあしらった小皿、マットな輝きで人気の器など、沖縄の今の漆器を小野ゆり子さんがリサーチ。
*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201705091930001301000 より
1.角萬漆器
「琉球漆器」の多くは柄が立体的に表現されていますが、これは「堆錦」(ついきん)という琉球漆器独特の技法だそうです。
創業120年を超える老舗漆器店「角萬漆器」では、この伝統を受け継ぎながらも現代風にアレンジした堆錦(ついきん)作品を精力的に作っていらっしゃいます。
6代目の嘉手納豪さんが人気のゴーヤーの皿が作られている工房を案内してくれました。
琉球漆器は「堆錦餅」という漆に、顔料を混ぜた固い粘土のようなものを加工して作ります。
沖縄県工芸士の宇良英明さんが、「生漆」から「堆錦餅」を作る様子を紹介してくれました。
沖縄の高温多湿な気候は、漆を固めるのに最適なのだそうです。
2.「東道盆」(トゥンダーブン)(漆実験工房)
かつて、重要な客人を迎える際、ご馳走を入れた「東道盆」(トゥンダーブン)。
沖縄県となってからは使う機会が減ってしまった「東道盆」(トゥンダーブン)を現代に蘇らせようとしているのは、
若手工芸家の前田春城・貴子さんご夫妻(漆実験工房)です。
前田さんご夫妻は、3年前、職人・デザイナー仲間6人でプロジェクトを立ち上げ、螺鈿や堆錦といった伝統的な技法を用いながら、現代のライフスタイルに合ったデザインの「東道盆」を作り上げました。
3.「木漆工とけし」(木地師・渡慶次弘幸、塗師・愛さんご夫妻)
那覇の人気セレクトショップに並ぶ漆器。
中でも人気を集めているのは、金属的な光沢の皿。
作っていらっしゃるのは、「木漆工とけし」の木地師・渡慶次弘幸(とけしひろゆき)さんと奥さんで塗師の渡慶次愛(とけしあい)さんご夫妻です。
工房の木地師の渡慶次弘幸さんは、沖縄に自生し、一般的には漆器に向いていないとされる「センダン」という木の木目の強さを活かし、敢えて残すことで、個性的な風合いを出してます。
削った後は、塗師で妻の愛さんが塗りを施します。
愛さんは、沖縄で採れる砂岩「ニービ」の粉や、 スズの粉を撒き、独特の質感を出していました。
渡慶次さんの家では、この器を日常使いしているそうです。
*https://omotedana.hatenablog.com/entry/Ippin/Okinawa/shikki より
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