〈リバイバル・アーカイブス〉2023.7.24~8.7
原本:2014年9月5日
2014.7.25. 5:34 富田林市新堂 石川河川敷(左岸)にて
なにやらボコッと大きな穴が!専門家の森山先生(富田林高校の理科の先生、四天王寺大学講師)や樽野 博幸 氏( 元大阪市立自然史博物館 学芸課長、現在 同 地史研究室外来研究員 )によりますと、100万年前のアケボノゾウの足跡化石やそうです!よくみるとひづめの跡や蹴り返しできたと思われるような形状がみられますね。左上部がゾウの進んだ方向になります。
2014.7.25. 5:36 富田林市新堂 石川河川敷(左岸)にて
ゾウと思われる足跡化石、2カ所。これもひづめの跡がよくわかる。左上の方向に歩いて行ったようです。
現在生息しているゾウは、アフリカゾウとアジアゾウ(インドゾウ)ですが、樽野氏の話によると、ゾウの祖先は何千万年も前に生息していて、その子孫は100種類以上に分かれていたが、絶滅してしまったそうです。特に人間が生息域を広げる2万年前以降に絶滅したゾウが多く、マンモスやナウマンゾウもその仲間に入ります。人間が食べたのか環境の変化なのかわかりませんが、このアケボノゾウも絶滅してしまいました。 日本には500万年前~2万年前に、8種類のゾウがいたそうです。
2014.7.25. 5:39 富田林市新堂 石川河川敷(左岸)にて
チョキの形のシカの足跡化石 樽野氏によると当時住んでいた小型のシカ、カズサシカのもののようです。ニホンシカと同じくらいの大きさで、そういえば奈良公園のシカの足跡もこれそっくりですね。「サインはV(この番組を知っている方は60歳前後)」をしていますが、二本ひづめの偶蹄目は、ウシ、ヤギ、イノシシ、キリン、カバ、ラクダなどがいます。
2014.7.25. 5:39 富田林市新堂 石川河川敷(左岸)にて
波状(ナミナミ)に表面がウェーブしている粘土層。私は化石漣痕だとおもうのですが、確定していない。異説あり。なんでしょうかね? 下の写真のような波打ち際がそのまま大水の時に一気に埋まったのではないでしょうか?
→その後の調査で化石漣痕でないことが判明しました。以前に河川整備のため、川底の入った重機の爪であることがわかりました。(記:2015.6.21.アフラコウモリH)
2014.9.3.17:14 富田林市錦織東二丁目 石川にて撮影
2014.7.25. 5:41 富田林市新堂 石川河川敷(左岸)にて 上流から下流を写す。
ボコボコしているのがゾウの足跡化石。川の流れのすぐきわにあります。向こうの山は二上山。ここは大雨ごとに増水し、川底になってしまいます。2014年9月15日の台風18号の時も、先日の8月10日の台風11号の時も水に浸かっちゃいました。
2014.7.25. 5:40 富田林市新堂 石川河川敷(左岸)にて下流から上流を写す。向こうの橋は金剛大橋。橋から150m。すぐ近くです。富田林駅からも、「寺内町」の街並みを通り、約10分で石川に出ますので、お立ち寄りください。おとなりの羽曳野市や河内長野市では見られない足跡化石です。
2014.8.19. 産経新聞 朝刊の記事
「新たに古代ゾウの足跡化石」「市内の男性が発見」「あす現地学習会」とありますが、実は「市内の男性」はアブラコウモリHです。
2014.8.20. 14:02 富田林市新堂 金剛大橋橋脚下 足跡化石現地学習会会場にて
「富田林市教育委員会」と今回の一連の化石林・足跡化石を保全し多くの方に見ていただこうと組織された「富田林の足跡化石と化石林実行委員会」の主催で行われた現地見学会
現場見学前の解説風景です。ここでの解説は、写真右端の森山 義博 氏(四天王寺大学講師)が担当されました。同氏は元富田林高校の理科の先生で、実は25年ほど前に上流2.4kmの石川の川底でアケボノゾウやシカの足跡化石や直立樹幹化石を発掘されたお一人です。当時、富高の理化部の生徒さんが発見され話題となりました。その時の指導の先生です。
その隣の方が、前述の実行委員会の代表 辰 義孝氏です。他多くの方の尽力で今回の現地学習会を行うことができました。
2014.8.20. 14:02 富田林市新堂 金剛大橋下流部150m 足跡化石発見現場にて
やはり現物をみると、感動しますね。ゾウは一生のうちになんぼでも歩きますので、足跡化石がいっぱいできるわけです、いい条件が重なればの話ですが...
金剛山があまり高くなく、人も住んでいない100万年前に、体高2m近い牙の大きいアケボノゾウ(角と臼歯化石が美山台で出土)やシカマシフゾウ(鹿間四不像=頭は馬に似ているが馬でなく,ひづめは牛に似ているが牛ではなく,体はロバに似ているがロバではなく,角は鹿に似ているが鹿ではない、結局大型のシカの仲間です。角化石が美山台で出土)、カズサシカ(小型のシカ)が、仲よく暮らしていました。
2014.8.20. 14:59 富田林市新堂 金剛大橋下流部150m 足跡化石発見現場にて
解説はおもに樽野 博幸 氏( 元大阪市立自然史博物館 学芸課長、現在 同 地史研究室外来研究員 )の解り易い解説、好評でした。
現場は現在も保全されていますので、見ることができます。足跡化石を壊さないように、注意してご覧ください。
2014.8.20. 15:02 富田林市新堂 金剛大橋下流部150m 足跡化石発見現場にて
クリーニングされたゾウの足跡化石、解説にあるように爪跡の形状より、右前足と後足。歩幅が同じなので前足と後足の足跡はほぼ同じところにできるそうです。
2014.8.20. 15:34 富田林市新堂 金剛大橋下流部150m 足跡化石発見現場にて
人類がまだここに存在しなかったと思われる100万 年前のアケボノゾウの足跡化石です。直径は30cm前後。100万年前と大まかにお伝えしていますが、原則的には上流部ほど大阪層群が古く、下流部に至るほど新しくなります。25年前に富田林高校の理化部が発見した深溝(ふこうど)井堰下の発掘現場近くがピンク火山灰層(ほぼ100万年まえの、北九州耶馬溪あたりから飛んできた火山灰の層、層がうすピンク色をしている。)を含んでいるので100万年前と特定できます。上流部は110万年くらい、ここあたりは100万年より新しい層の可能性が高いと言えます。
2014.8.20. 15:35 富田林市新堂 金剛大橋下流部150m 足跡化石発見現場にて
クリーニングするとチョキの形がよく解るようになりました。偶蹄目の足跡化石 V字型の蹄は第3指と第4指です。指二本で体を支えるように進化しました。ちなみに、シカは蹄の上の方にあと2本、第2指と第4指があり、親指は退化しています。V字でしっかり大地をグリップさせるのですね。奇蹄目の馬はもっと速く走れるように、第3指の一本で体を支えます。
先日の8月10日の増水で水に浸かり、クリーニングしないとわかりにくい状態になってしまいました。
2014.8.20. 15:02 富田林市新堂 金剛大橋下流部150m 足跡化石発見現場(見学会場)にて
樽野氏の解説に聞き入る参加者。 3班3回に分けて解説されました。とても暑い日で解説者も参加者も大変でしたが、みなさん熱心に解説を聞かれ、質問をされていました。当日の参加者は約100名。前日には、「100万年前の化石林発見現場(富田林市錦織東二丁目)」にて、現地学習会が行われました。前日の産経・読売新聞の掲載も相まって盛況でした。
この付近には、他に2か所でゾウ・シカの足跡化石、100万年前の木片や種子がでる大阪層群も確認しております。みなさんも見つけてください。
また、ここから上流約3kmは大阪層群の露頭が出ているところがありますので、興味ある方は歩いてみてください。新発見があるかもしれませんよ! ゾウの骨格や牙、シカの角が出て来るかもしれません。
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2014.9月05日 ( HN:アブラコウモリH )
森山先生、元気にしておられるようでよかったです。