アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

学校の活動から部活動を切り離す

2009年07月17日 | Weblog
 教育の現場としては、「もう限界だ!部活動は学校教育から切り離してくれ!」と、声を上げなければなりません。しかも、大声を!
 日本の中学校・高校では、放課後に教員が部活動の指導をする。普通の心を持っている教員は、自分が担当する部を強くしたい(体育系)。あるいは、好成績を上げさせたい(文化系)」と、思うはずです。そう思わない人は、教員以前の問題ですからとっとと教員を辞めればいい。いきおい、土曜、日曜、祝祭日も練習日となる。土・日・祝祭日は、体育系部活動にとっては、対外試合(練習試合等)を積む貴重な日です。

 その練習試合、徒歩で行ける所で行えるケースは稀というより、「ない!」。都市部なら電車で移動できるでしょう。しかし、野球部員30人が電車で練習試合へ行く…実際的な話じゃないでしょう。
 では、選手輸送の実態は?公的交通手段を使っていたのでは、隣町の学校との練習試合ですら一泊しなければならない。そんなことやっておられません。ではどうしているか?金銭的に余裕のある場合は、貸し切りバスの利用。そうでない場合は、教員、保護者の車での輸送…。毎度、貸し切りバスではお金がすぐに底をつく。中古の大型バスを買い、部活動担当者が大型の免許を取り選手輸送をする。
 有名どころでは、国見高校の元サーッカー部総監督の小嶺忠敏さんも、自ら大型バスを運転して選手輸送をしておりました。小嶺さん、参議院選に出馬して落選…立候補を引き受けた本人にも問題はあったのでしょう。しかし、有名人を担ぎ出そうとする人たちの、節操のなさの犠牲者であると思います。

 そして、この度の柳ケ浦高野球部バス事故。運転をしていた副部長が、自動車運転過失傷害容疑で現行犯逮捕された。亡くなった部員、重軽傷を負った42人の部員、そして運転していた副部長…人生が変わってしまいました。副部長さんの家族も親類縁者も、「針のむしろ」でしょう。

 自分の時間も、家族サービスも全て犠牲(やる気のある教員は、犠牲だなんて思っていませんが)にして、部活動の指導に打ち込んできた。それでも、負ければ周囲から叩かれる。良くて当たり前、少しても悪いと罵られもする。自分の車で選手を輸送したり、バスの運転もしなければならない。事故は、全て自分の責任。
 「馬鹿馬鹿しくてやってられない!」この考えを批判することは出来ません。「部活動の指導手当もらってるんだろう!」って?部活動の手当など、皆無と言えば間違いですが、コンビニの幕の内弁当1個分です。

 担当教員の自己犠牲の上に成り立っている、中学・高校の部活動。この機会に学校の活動とは切り離すべきです。教員は、部活動の指導には携わらない。勤務時間が終了したら速やかに帰宅する。教材研究で勤務時間外に学校に残っているのはよしとしましょう。
 では、中高生には部活動をさせないのか?させます。学校とは関係なくチームを作ることになります。スポーツ少年団やクラブチーム方式だと考えると良いでしょう。活動場所は、学校の施設を借用することもあります。指導者に、教員が名を連ねることもあっても良いでしょう。但し、あくまで、学校の教員としてではなく、「社会教育を支援する一市民」としてです。
 練習試合の選手送迎は、自家用車への分乗、バスの借り上げ。支援者が運転することもあります。もちろん、バス等の事故は、運転者の責任です。それなら、現行と同じだろうって?事故を起こしたら責任は運転者にあるという点以外は、全く違います。
 「事故の責任は運転者」というのは、当然のことでしょう!例え運転者が、教員でも、役場職員でも、不動産屋のオヤジさんでも!「クラブチームだから事故の責任は運転者にない」などということはありえません。

 春夏の高校野球甲子園大会はなくなるのか?高校対抗はなくなります。例えば、「本日の第二試合は、青森県代表『ジャンボクラブ』対沖縄県代表『八重山棒球団』です」と、いう感じになります。選手は、高校生に限るとすればよい。他の競技も同様です。
 
 「学校の活動から部活動を切り離すのは無理だろう」って?教員が部活動の面倒をみる国って、日本だけでしょう!諸外国に出来て日本に出来ないはずはありません。
 一日も早く教員を、雑務中の雑務から解放し、教科・領域の教育に集中していただきましょう。部活動は社会体育で。