アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

「正直者は救われる前に騙される」 開運なんでも鑑定団

2011年02月09日 | Weblog
 昨夜、「開運なんでも鑑定団」を観ました。もめているお宝について白黒つけるというテーマ。このテーマには5組が出演しましたが、4組は、「このお宝、ドヤ!」…毎週放送されているものと大きな変わりはありませんでした。
 大きな変わりがあったのは、「渡世舵(とよだ)さん(司会者が、とよださんと呼んでいた。内容から、~渡る世間の舵をとる~ということで、漢字表記を渡世舵とさせていただきました)」。渡世舵さんは、2枚の浮世絵の鑑定を依頼した。その経緯は…

 およそ30年前、渡世舵さんは、地方公務員をしていた。同僚の国定さん(仮名)に、「ちょっと金を借りるんだけど、保証人になって」と、頼まれた。国定さんとは、毎日職場で顔を合わせ、個人的にも行き来があったので断り切れなかったという。当然でしょう。奥さんには内緒で保証人になった。それから1年を経過し、消費者金融から渡世舵さんへ電話が来るようになった。
 「国定さんが、お金を返さなくなったので保証人であるあなたが払ってください」…!渡世舵さんは、その都度国定さんに連絡。国定さんの返事は、決まって、「大丈夫、大丈夫!」。

 それからしばらくして、公証人役場から分厚い封書が渡世舵さんに届いた。給与差し押さえの書類でした。全然大丈夫じゃなかった。驚いたのは、渡世舵夫人。「何やってんの?!このまま放置していたら、あなたの公務員人生も終わりかねません。虎の子の定期預金を解約して支払ってしまいましょう」…こういう時の女性は強い。立て替えて払った金額は、36万円だという。当時の給料のおよそ2か月分。ここまでの話では浮世絵が出てこない。

 隣町へ転勤していた国定さんから、36万円返却の話は一切なかった。やむなく渡世舵さんは、国定さん宅へ行った。
 国定さんは、「いやーっ!凄いものが手に入ったんだよ。浮世絵なんだけど、豊國と広重!2枚で100万円はくだらない。タダでやるわけにはいかんが…1枚6万円にしてあげる」
 渡世舵さんは、「36万円のカタに、100万円の浮世絵をもらったのでは申し訳ない」と、1枚6万円。2枚で12万円で買った!

 奥さんには、12万円出して買ったとは言わなかった。奥さんは、「36万円が、この薄汚れた絵2枚なの?」と怒っていた。本物と信じていた渡世舵さんだったが、奥さんの剣幕に物置深くへ仕舞い込むしかなかった。
 まあ、このような経緯。鑑定の結果、2枚合わせて1万円だった。これはひどい話です。スタジオに来られて人たちから、「アーーっ」という声が漏れていました。30年前の48万円(36万円+12万円)が、1万円ですから!

 冒頭「大きな変わりがあった」と書いたのは、本物かニセモノかという番組に、「人現模様、人間関係」を吹き込んだ依頼人だったということ。
 「保証人になってはならない」ということぐらい、赤ちゃん以外は誰だって知っている。
 しかし、親しくしている職場の同僚に頼まれて拒否できますか?渡世舵さんはできなかった。
 渡世舵さんの人間くささは、欲もあったということころ。「高価な(本当はいい加減なものだったのだが)もの」といわれて、12万円出しても何年か後には、48万円をはるかに超えるお金になるのではないか?皮算用を働かせてしまいましたねぇ。「ミイラ盗りがミイラになる」典型的な例。
 考えさせられた番組でした。悪い人がいるのはよく分かった。騙された人を、「バーカ!」とは言えないよなあーと。

 司会者に感想を求められた渡世舵さんは…
 「正直者は…救われる前に…騙される…」と、かぼそい声で言っていました。