アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

富士山は誰のもの?

2011年03月26日 | Weblog
 「条例」は、地方公共団体が国の法律とは別に定める自主法。よって、地域に根ざした様々な条例が生まれる。
 静岡県には、「富士山の日条例」がある。・・・世界に誇るべき国民の財産であり、豊かな恵みをもたらしている富士山について理解と関心を深め、富士山を後世に引き継ぐことを期する日として、富士山の日を設ける・・・
 それで、富士山の日ですが、「2月23日」とした。「ふじさん」で「223」。水戸の日→3月10日、虫歯予防ディー→6月4日、納豆の日→7月10日、いい夫婦の日→11月22日などと同じ、ゴロ合わせ。(なお、水戸の日は、3月10日で、水戸の郵便番号も310なんですけど、知ってた?では、郵便番号758はどこでしょうか?「名古屋!」…残念でした山口県でした)

 2月23日に行われた、「富士見の式典」が、何とも厳かで楽しそうで、かつ知的で…。
 1 オープニングパフォーマンスは、現代劇と能を融合した「羽衣」…三保の松原ですねえ。天女が舞い降りて羽衣をかけた「羽衣の松」、樹齢650年です。付近の御穂神社には、羽衣の切れ端が保存されている…その切れ端は…は、伝説なのに証拠の切れ端があるところがおもしろい。
 2 世界文化遺産登録への決意表明…富士山は、世界自然遺産の登録を目指していたのです。ところが、ゴミやし尿で汚し尽くされた山肌、リゾート開発の進んだ裾野の環境・景観問題等により、自然遺産としての登録の道は断たれたわけで…それならばと、文化遺産への登録を目指すことにしたんですねえ。それにしても、なぜ山が文化遺産なのか?文化遺産の定義は、「優れて普遍的な価値を有する、歴史・芸術・研究上重要な建造物や遺跡など」なのですけど。
 3 「富士三保松原図屏風」寄附受納式 …勝手にやってください。
 4 「富士山百人一首」披露…百人一首まで作っていたとは!
 5 ふじのくにコンサート …好きなようにやってください。
 6 「ふじのくに」づくり宣言…決意表明とか宣言が好きな県ですねえ!
 そして後半は…「ふじのくにフォーラム」として、梅原猛氏の基調講演「富士と日本文化」。とどめとして、パネルディスカッション。テーマは、「21世紀の花鳥風月」。パネリストに、川勝平太静岡県知事も。

 さて、この「富士見の式典」、県教委は、この日を休校にするように公立学校へ求めた。あれあれ、このあたりから雲行きが怪しくなってきた。富士山の日で、富士見の式典をするから学校を休みにしろってどーゆうこと?県立の学校へは強制力があるので、県立の高校(中等部を含む)や特別支援学校は全て休校した。しかし、市町立学校で休校にしたのは、4市5町だけだった(静岡県に、村はない)。35市町がありますから、74%の市町では休校にしなかった。県の意向に背いて。どうして?

 まず考えられることは、「学校の独自性」。県教委に、「休校にせよ」と言われて、はいそうですかと休みにするわけにはいかない。
 うがった考えとしては、「山梨県はどうなんだ?」ということ。世界自然遺産登録を目指していたときは、山梨県と協力し合っていた。それが今、静岡が単独で、「富士山の日」を決めて、学校まで休校にすることを求めてきた。おいそれと従えないということ…。

 「富士見の式典」の招待状は、 県内の首長に送られた。島田市の桜井市長は、この晴の式典を欠席。桜井さんは、以前から「富士山の日」に批判的。
 「何の歴史的な意味もない休日。語呂合わせに過ぎない」「式典のために他の公務を犠牲にできない」…静岡県としては、「歴史的な意味」を考えて富士山の日を決めると、桜井さんも出席してくれたのに。語呂合わせはまずいよね。

 あと、山梨県のことを考えずに突っ走ったのがまずい。富士山は静岡県だけのものではないのだから。
 県民が、こぞって賛同、協力する富士山の日にしてほしいね。条例を変えて出直した方がいい。