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Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

漫画少女の能動的プレイ

2006-04-10 | 雑感
コスプレを楽しんだ。これの正体を全く知らなかったのだが、インタヴューや補足説明を聞いて幾らかは解って来た。マンガやアニメのキャラクターを肉体化して、演じるのは何も新しい事ではないと思うが、実写の月光仮面や忍者赤影のようなキャラクターを真似るのとセーラームーンやNANAを真似るのとは違う。これは結論のようになるが、これが重要な相違であるのを直感した。

さて、機会があったのでコンテストを観戦して、その前から会場近くの路上をコスチュームで闊歩して、会場の中庭で振りを合わせるティーンエイジャーを観ていると、どうしてももう少しその心理を知りたくなった。ミドル・ティーンを中心にロウティーンから子供連れの若いお母さんまでがコンテストに参加していた。

「天上天下」、「ちょびっツ」、ちぃ、ユズキなどなど、先ずはインタヴューして、未知のタームから、一体コスプレとは何なのかと云う疑問から少しずつ解いていく。何故ならばキャラクターさえ違えばカーニヴァルの仮装とあまりかわらないからである。

各々のキャラクターへの関心を除いて、最も違うのは何だろうかと考えても、なかなか特定し難い。強いて云えば、欧州のカーニヴァルの場合は冬季に近いので、遥かに肌の露出が少ない事と主役となる世代が違う事だろうか。しかしこれも、アニメの実体を見れば、学生ユニフォーム張りの服装や極端なミニスカート、パンクファッションに至らない革の衣装など、オリジナルのキャラクターに忠実なのが理解出来る。つまり演じたり歌ったりする内容を、コスプレの特徴とする事は出来ない。内容に付いて語るならばティーンエイジャーの娯楽としてのアニメの質を批評すべきものなのである。

面白かったのは、こう云う人気キャラクターの衣装などは販売されてもいるのだが、自分で絵から掘り起こして、材料を集め、衣装を作ってしまう能動的な行ないである。これはどうもカーニヴァルの安易な衣装に比べて、作る楽しみなどが満載されている。何しろ、文字通り絵に描いたキャラクターを肉体化させるという点では感心する。

一人の女の子は、「自分はオタクでない」と話してくれた。自分で裁縫して、着るまでに勇気が要って、半年ほどは箪笥に眠っていた事、何回かあるコンテストに出場するが、パーティーとかにはコスプレで出ない事など、歌や芝居もある程度はプレーに含めれる事など本人なりの弁えを語ってくれた。

もう一つのグループは、舞台での構成なども大変優れていて感心したが、キャラクターも自分らのオリジナルなものを加えていて、出番前に何度も型を稽古していた。彼女らにするとコスプレの衣装などは只の意匠で、彼女らは本質的に演じる事を楽しんでいる。

コスプレを演じる少年少女達は一部の極端な層とする見方も強いが、コンテストに集まったような彼ら彼女らは自己表現意欲が強い若者と見做すのが正しい。だからこそ、余計にアニメの影響は無視出来ない。特にユニホーム状のファッションが無意識の内に受け入れられて、嘗てTV番組であったような「権威への服従」の憧れのようなものが蔓延するとすれば害でしかない。反対に、子供達の批判精神のようなものを充分に育成していく必要も感じる。現にファッションセンスへの影響に教育的配慮したアニメもあるそうだ。

これも重要なインターナショナルな媒体とすると、そのアニメの質を社会が充分に議論して行く必要性を強く感じた。コスプレの能動性を評価するだけでなく、ネットの能動性同様、何事にも能動的に対処すべきである。










参照:原理主義のアンチテーゼ [ 文化一般 ] / 2005-09-25

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5 コメント

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びっくり(@@; (shamon)
2006-04-10 08:52:10
おはようございます。



記事を拝見した途端

「あれ?ここpfaelzerweinさんのブログだよね?」

と思わず確認してしまいました(苦笑)。

ヨーロッパでもコスプレですか。日本のアニメ・コミックの影響、恐るべし。

TAF(東京国際アニメフェア)でも多くの外国人が楽しそうに見学してました。





>何事にも能動的に対処すべきである。

同感です。

「ばかばかしいことをするな。」と規制するのではなく、そのエネルギーが間違った方向に行かないよう社会は対処すべきでしょうね。
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ティーンエイジャーの息吹 (pfaelzerwein)
2006-04-10 13:07:50
おはようございます。



私も吃驚です。写真等で観た事があるものの、こうして生を観る機会を得ました。その上直接話を聞けたのは幸運で、ティーンエイジャーの息吹を感じました。奇異な出で立ちとから偏見を持ってしまいますが、人其々に様々な動機があるのが分かります。



加齢するとどうしても受身になりがちで、能動的で無くなります。そういう目からすると、経済的等の意味が見てとれない行為は、全く仰る通りで、「馬鹿な事」としか映らないのですね。
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オタク ワールドワイド (秘密組合員)
2006-04-10 23:39:57
かなり前に、岡田斗司夫さんが世界をオタク文化で洗脳して、世界中の人々が日本人を尊敬するようにするのだ、と冗談でいっていましたが、半ば現実化しているのかな。

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アメコミはいませんか? (やっとかめ)
2006-04-11 00:40:35
日本のアニメのキャラクターは世界に通じる魅力があるらしいですね。でもアメリカもそうなんですが海外のこういうコスプレファンは、自己表現の手段というのは同じでも日本とは微妙に発想が違うような気がします。



日本のコスプレも以前は大柄な人がボンレスハム状態になって小さい衣装に入り込んでいましたが、今はアニメっぽく進化してしまった人間がいるので驚きます。
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社会を正確に映す、特殊事情等が見える。 (pfaelzerwein)
2006-04-11 04:38:36
秘密組合員さん、オタク文化で洗脳は、オタクでないと把握出来ないかもしれません。オタクがオタクである所以でしょうか。ただ尊敬というのは当てはまらなくて、社会を正直に正確に映しているといえるでしょう。



様々な機会にコスプレで参加すると特典が得られるというので、私もコスプレの準備を考えています。そう言うと、「可笑しな真似はしないで下さいよ」と独日翻訳家さんに言われてしましました。



そもそも尊敬するような社会が存在するのかどうかが問題ですね。







やっとかめさん、そうなんです。我々が米国のポパイなどに馴染んだのと同じ背景があります。同様に現在の我々が、試みれば何時でもポパイを批難出来る様に、日本のアニメが批判出来するには時が必要になるのでしょう。しかし上のような能動的な係わりを持っている者の方が直感的な批判精神は強いように思います。



アニメっぽい進化も面白いのですが、下の写真の自作裁縫少女の目線がなんとも可愛いです。作法や科を作るなどのセミナーを開催するのも面白いのではないかと提案しています。すると社会的な特殊事情等も見えて来ますから。

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