月曜日にバイロイト音楽祭は、2016年からの共同代表取締役フォンベルクが来年4月の契約延長をしないことを発表した。12月からはミュンヘンのバイロイト州の文化局で取り締まる。元々有限会社バイロイト音楽祭の取締役から腹違いのエーファパスキエ―婦人が追放されたことで、株主であるバイエルン州が経理などの公正化の為にお目付け役として送った人事で、前職はミュンヘンのレジデンスの支配人だった。そして火曜日の夕刻にはDPA通信社が闘病中の共同代表取締役カタリーナ・ヴァークナーの病状についてバイロイト音楽祭の発表としてニュースを流した。
それによると、「引き続き重篤であるが、現在は容態は安定へと向かっている。回復するまでに何カ月か掛かる。」という恐らく通信社にファックス等で出した原稿の様だ。以前の書き方と異なり、重篤であることが明らかになった。最初の発表では、深刻な重病で当分は職に就けないというものだったので、例えば想像されるような肺癌の症状で手術という事が考えられたが、今回は「重篤」であって、安定化に向かっているというので、最初から臓器不全などで一月以上ICUに入っていると読むのが正しいだろう。
一月以上も掛かるというのは分からないのだが、最初から重篤であったということはコロナに感染したともいえるが、42歳の四十代で亡くなっている人は17人しかおらず先ずは有り得ないだろう。因みにバイロイトは十万人中401人陽性で決して状況が良くはなく死者も十万人に27人出ている。そこまでの末期癌なども昨年の様子では有り得ないように思われて、突然重篤になるような病気で一月ほど状態が安定しないとなるとどのような病気だろうか?
今回途中経過として発表されたのは、「容態が安定して行くのかどうか」ということでの中間報告だったのだろう。いずれにしても本人の意思は最早祝祭劇場の運営では示されないということで、そこでその間に元祖音楽監督の座にいる指揮者ティーレマンがフェークニュースを流した意味合いが少しづつ明らかになってくる。恐らくメディア向かってフェークニュースを流すことで観測気球を上げてみたのだと思われる。その時の談は直接ヴァークナーに電話して、「元気で、とても幸せ」とか言わせて、まるで落語のラクダの二人羽織のようなことをしたのであった。
簡単に表現すればヴァクナーに口があるかどうか、意識があるのかどうか、生きているのかどうか突いてみたのだろう。つまりヴァークナー本人には電話も繋がらないのは当然としても、判断が出来るのかどうかを調べて見たとなる。結果は音楽祭がそのフェークニュースを公に否定することになった。一体元祖音楽監督は何を期待したのか?
辞任する共同取締役とヴァークナの代わりに臨時で入っているセンセ両者とも経営上の立て直しで2013年に送られた人物で、二年後にフォンベルクと交代した。長年のスポークスマンも昨年末に亡くなっていて若い人が後任に入っているので、然るべき立場では身内はいなくなっている。ヴァークナ協会の友の会の代表で元バイエルン州の大臣が今回もお見舞いを述べていた。
元祖音楽監督は、コロナによって夏の音楽祭がキャンセルされたことでのギャラの支払いについてそれも下っ端の音楽家への補償について語っていて、その旨はどこにあったのか?恐らくこれは共同取締役を意識して牽制したつもりだったのだろう。その時点で去就は聞いていたのかどうかは分からない、しかし、ザルツブルクの復活祭でのように公的な権力からの追い出し圧力を感じていて、昨秋からのヴァークナーとの話し合いへのオファーも日本などに行って逃げていたというのは報道されていて、そして年が明けてからも秋以降の延長は決定していない。本日の通信社の記事も「ヴァークナーが回復次第ティーレマンの契約延長問題が決まる。」と祝祭劇場の談となっている。
ここまで来るとフォンベルクが辞任するのは、コロナの事後処理の経済的な損失の責任を逃れてしまうためでもあり、重篤のヴァークナーへとその責任を一切被せて仕舞おうとする州政府の意思のようなものが見えてくる。フォンベルクの四月の辞任だが早くも年内には職場を離れる。ティーレマンの言として「元祖を辞めてただの客演音楽監督のような立場を」欲していたとヴァクナーが語ったのも先に責任を逃れようとしたきらいがそこに窺える。
現在の体制はこの通り既に完全に崩壊している。成り行きを見守るだけになってきている。
参照:
蜘蛛退治をしておくれ 2020-04-28 | 文化一般
ニューヨークタイムズの報道 2020-05-20 | 音