ベルチャ四重奏団演奏会、とても素晴らしい会だった。この金曜日にはその実況録音が中継されるのでプログラムを明かすのは躊躇するところもある。なぜならばその隠されたプログラム自体がこの演奏会のコンセプトであり、それは演奏後の座談会で聴衆を交えて話されたことである。第二ヴァイオリンとチェロのなどはバーゼルで仕事をしていた筈だが、それどころかあのアマティ四重奏団でもヴァイオリンを弾いていたようだ。今ベルリンの楽団を率いているヴィリ―・ツムマーマンの後に一時的に入ったのだろろうか。しかし誰もドイツ語では話さなかった。英国を本拠地としているので英語であるのは仕方がないが、いづれにしてもベルチャがロンドンに長い以外は皆大陸の人なので、いづれスイスのアンサムブルになるのではなかろうか?兎に角仕事の中心は今後はドイツだろうと思う。既にマネージメントはベルリンのジメナウワーになっている。
さて隠しプログラムの効果は可成りあった。どういう効果か?それは虚心坦懐に聴くことで生じるかもしれないが、曲目当てをしながら色々と考えていても思い当たることも少なくない。先ずは私の成績は、八曲中五曲は分かった。名前は出ながらも定かでなかったのはクルタークの曲で、全く分からなかったのはアデス作品12「アルカーディア」六楽章だ。詰まらない曲だと判断した。シマノフスキーも名前は出なかったが東欧系だとは認識していた。クセナキスなども想い浮かんだが当てはまるものが無かった。分からずに悔しかったのはシマノフスキー作曲「五つの曲」五番で、どちらでもいいわと思ったのはアデスである。バルトークの第五四重奏曲の曲の全体像がもう一つ浮かばなかった。若干情けなかったのはベルクの「抒情組曲」の五楽章の前後楽章が思い浮かばなかったことだろうか。ショスタコーヴィッチの15番二楽章も何番かよく思い出せなかった。嘗てベートーヴェン四重奏団というのが初演したかでよく流れていたのを思い出すだけでその後は殆どか係っていないからだ。だから「抒情組曲」へのご無沙汰が痛かった。
しかしこの企画はそんなにおバカな曲目当などでは全然なかったのだ。放送では最初に紹介されるかどうかは分からない。曲を知っているのを知らないようにはならない。だから知らないほどにはその効果は生じないかもしれない。耳を傾けなければいけないのはそこでやっている音楽である。(
続く)
参照:
口をパクパクさせた 2020-10-21 | 雑感
身体に力が漲るか 2020-10-11 | 生活
僅か八十人程の音楽会 2020-09-08 | 生活
I. Beethoven: Streichquartett op. 130, 1. Satz: Adagio ma non troppo. Allegro
- Schostakowitsch: Streichquartett Nr. 15 op. 144, 2. Satz: Serenade
- Kurtág: Streichquartett op. 13 "Zwölf Mikroludien", Nr. 10: Molto Agitato
II. Beethoven: Streichquartett op. 130, 2. Satz: Presto
- Barber: Adagio für Streichquartett op. 11
III. Beethoven: Streichquartett op. 130, 3. Satz: Poco scherzoso. Andante con moto ma non troppo
- Webern: Fünf Sätze für Streichquartett op. 5, 3. Satz: Sehr bewegt
- Bartók: Streichquartett Nr. 5 Sz 102, 4. Satz: Andante
IV. Beethoven: Streichquartett op. 130, 4. Satz: Alla Danza tedesca. Allegro assai
- Berg: Lyrische Suite für Streichquartett, 5. Satz: Presto delirando
V. Beethoven: Streichquartett op. 130, 5. Satz: Cavatina. Adagio molto espressivo
‐ Szymanski: Fünf Stücke (1992), Nr. 5
- Ades: Streichquartett op. 12 »Arcadia«, 6. Satz: O Albion
VI. Beethoven: Große Fuge op. 133