Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

索引 2009年5月

2009-05-31 | Weblog-Index



酒が進まなかった夜 2009-05-31 | 生活 TB0,COM0
今漸く乗り越えようとする壁 2009-05-30 | 雑感 TB0,COM0
岩との戦い酸との戦い 2009-05-29 | 試飲百景 TB0,COM2
ご披露したい昔取った杵柄 2009-05-28 | アウトドーア・環境
夏日の火照りを内から癒す 2009-05-27 | 試飲百景 TB0,COM4
辺境の伝統の塩味ピーマン 2009-05-26 | 試飲百景 TB0,COM2
失明しそうになる液晶モニター 2009-05-25 | 雑感 TB0,COM0
お勧め上手の伯爵夫人2009-05-24 | 女 TB0,COM2
史実に立つ頭打ちシナの現実 2009-05-23 | マスメディア批評 TB0,COM0
肝臓を休められない日々 2009-05-22 | その他アルコール TB0,COM2
お好み詰め合わせのGC 2009-05-21 | ワイン TB0,COM2
いざ闘争の狼煙を上げよ! 2009-05-20 | 生活 TB0,COM2
懐しく身近で暖かな気持ち 2009-05-19 | 女 TB0,COM2
熟成の秋を待つ初夏の日 2009-05-18 | ワイン TB0,COM2
手に負えない大馬鹿野郎達 2009-05-17 | 試飲百景 TB0,COM5
二日三件で呑まれるヨナ書 2009-05-16 | 生活 TB0,COM2
アメちゃんの混ぜものポンチ 2009-05-15 | 雑感 TB0,COM2
脛毛を撒き散らし葡萄踏み 2009-05-14 | ワイン TB0,COM0
素性があまり知れない蝸 2009-05-13 | アウトドーア・環境 TB0,COM0
雨に流れた朝食ピクニック 2009-05-12 | 生活 TB0,COM0
効きが悪かったヴァイツェン 2009-05-10 | アウトドーア・環境 TB0,COM2
パン屋の総合点数評価 2009-05-10 | 料理 TB0,COM2
初夏の朝の森の散策 2009-05-09 | アウトドーア・環境 TB0,COM6
良酒に休肝日など要らない 2009-05-08 | ワイン TB0,COM3
病が癒えて再び喉に埃が 2009-05-07 | アウトドーア・環境 TB0,COM0
アップライトのテークオフ 2009-05-06 | 生活 TB0,COM2
自由主義者の戦後社会学 2009-05-05 | 文学・思想 TB0,COM0
アスパラガス牛ステーキ 2009-05-04 | 料理 TB0,COM0
イリアスの発想の転換 2009-05-03 | 文学・思想 TB0,COM2
小動物ににじり迫り寄る 2009-05-02 | 雑感 TB0,COM0
現を抜かすインフルエンザ 2009-05-01 | 生活 TB0,COM0
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酒が進まなかった夜

2009-05-31 | 生活
昨晩は這うようにベットに逃げ込んだ。風呂桶に使ってシャワーマッサージを繰り返したあと、疲れたとかなんとか以上に病人のようになって床についた。

目が覚めたのはサイレンの音だった。ぱちぱちと木材が弾ける音で仕方なく起き上がった。寝る前以上に元気である。二時間の睡眠が確かに力を回復させてくれている。就寝前の若ニシンの芥子付けと野菜が美味かったが、酒はあまり進まなかった。アルコールの麻酔効果よりももしかすると筋肉の極限状態で久しぶりにアドレナミンの放出があったのかも知れない。

醸造所の古い納屋が火事であった。午前二時から三時過ぎまで消火作業はシュノーケル車二台と延焼を食い止める多量の水の音で騒がしいぐらいであった。

一時間程ネットに入り、再び深い眠りに落ちた。朝起きて、連休中の野菜を買い、スーパーに行き、パンを買いこんで、森の中を四十分ほど歩いて身体を解した。その足で、注文していたワインを取りに行く。

これからそこで取ってきたソーヴィニオン・ブランで、生ハムのアスパラガス巻きのグリルを愉しむ。
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今漸く乗り越えようとする壁

2009-05-30 | 雑感
こんな思いをするのは何十年振りだろうか。体中の力を振り絞ってからからになってしまった。水曜日に続いて金曜日にクライミングを出来たのはとても嬉しいことだが、とてもではないが筋力が足りない。

立て続けに難易度六級越えを登るだけの筋力が足りない。途中で朦朧として登りながら目を瞑ってしまった。十代の頃の筋力を使う場所は、カラビナを握ったりしていた場所で、現在のようにフリー化した岩場では全身の力を反力などを利用して使う事になる。決して馬鹿力ではないのだが全身の筋力を上手に緊張させたり弛緩させたりしないと登れない。

その証拠に、あれだけ歩きつけているに拘らず二時間足らず登ったりしていただけで足腰がふらふらして歩けなくなってしまった。腹筋や上体の筋肉痛は週末のお楽しみでさえある。

子供の時の山登りのお師匠さんには、「リュックサックを担いで野山を駆け回るよりも岩場でじっくりと登るほうが足の筋力などがつく」などという主張を聞かされていたが、なるほどここまでやると確かにかなりの負荷が掛かっていることが分かる。

当時は、馬鹿力と身軽さだけで勝負していたので、現在やろうとしているスポーツ的な筋力の使い方はしていなかった事になる。いよいよ十代の時に感じた壁を今漸く乗り越えようとしているようだ。
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岩との戦い酸との戦い

2009-05-29 | 試飲百景
クリストマン醸造所のピクニックは、今年はレーブホルツ醸造所を優先させて遠慮した。その分、金曜日の夜の一時間半なりを十分に試飲に費やせた。VDP会長の若旦那さんに挨拶しながらも、日本の最近噂に関しては今回は敢えて控えさせて貰った。

早速はじめたリッター瓶は残糖感があってあまり良くなかった。「酸との戦い」が上手く行かなかったのだろう。グーツリースリングも酸が勝っていて今一つである。フォン・ブールやビュルックリン・ヴォルフが香りを発たせて上手く醸造しているのに比べると、如何にも自然酵母への拘りが其処に感じられて美味くないのである。なにも天然酵母を飲む訳でなく、美味しいワインを探しているだけなのだ。此方は、どこかのマニアのような物好きではない。ルッパーツベルクもギメルディンゲンも昨年と比べると魅力が薄く、2008年産のえぐさがあるだけだ。

それでも、今年は2007年産と2008年産を直接比較して試飲出来るものが多くて楽しめた。リンツェンブッシュなども「一年経って落ち着いたもの」と「ぴちぴちとしながら個性の強い新しいもの」では、前年のものを選ぶ。ビエンガルテンは今一つで、モイスヘーレでは、一年経ったものに砥石風のミネラルが楽しめる半面新しいものはまだまだ独特のミネラル風味が出ていない。オェールベルクが醸造所内では評判が良いようだが、私にはあまりに何もかもが張り過ぎていて厳しい。なにも苦労して飲むほど美味くはないと感じたのも事実である。ここの醸造所のリースリングは天然酵母に拘っているため都会的な軽みやデリケートさが出ないのでプファルツの田舎臭さが炸裂している。この手のワインをこの地域の代表とするのは一体どこの誰なのか?

二番手ワインのルッパーツベルクSCや、ホーヘンモルゲンとランゲンモルゲンを含むダイデスハイマーSCとの差があまりなくて失望した。ギメルディンゲンSCは、昨年のような派手なマンデルガルテンの下品な果実みがない分、もしかすると上品かもしれない。マンデルガルテンGCはだから期待出来るだろう。

しかし結局はシュペートブルグンダーの2005年産オェールベルクを選ぶ。同じ種であってもブランデノワールは、ここでもレープホルツVDP支部長の所と同じで色が出過ぎのようだ。ここは味が漬物臭く、先方は素っ気無さ過ぎる。

この日は、評価本信奉者には出会わなくて喧嘩を吹っかける事は出来ずに不満であったが、醸造所の女の子にここ暫らくのご無沙汰を紹介した寿司屋の話しを交えてした。

「この赤ワインは何時から売りに出ている?」と、オェールベルクのピノノワールに不意を突かれながら聞く。

「大分経っているのと違うかしら、いやあれはSCの方だったから、ここ数週間の事かしら」と答える。

「そうでしょ。ここ二か月は余所の石切り場で働いていたから、一寸寄れなくて失礼しましたが、来週からまた此方の現場に参りますので予約で置いておいて下さい」とお願いする。

さて、今年は低位のリースリングはあまり買えそうにないから、グローセス・ゲヴェックスでもその時に注文しようかと考える。
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ご披露したい昔取った杵柄

2009-05-28 | アウトドーア・環境
今日はコンディションが良かった。なによりも涼しい初夏の雰囲気がとても良かった。そして前夜の雷雨の湿気もなく石切り場も良く乾いていた。そしてなによりも体調が良かった。昼寝をすることが出来、更に出かける前に熱めのお湯で身体を解すことが出来たからだろうか。

兎に角、身体も軽く、小さな手掛かりも安心して掴むことが出来たので、余裕を持ってザイルを伸ばすことが出来た。この二月間通った岩場もこれで終了で、来週からば昨年通った石切り場へと舞台が移される。そして体調が良いものだから金曜日に繰り上げて引越しをするつもりである。

昨年は苦労した箇所が余裕を持って登れる可能性があるのが楽しみである。そしてここでは最後に、先週登れなかった課題も解決してまずまずの満足感を得た。少しずつであるが、力がついてきているので、今後が本当に楽しみである。

先ずは、筋肉痛の出具合を観察して、金曜日に今日以上の力が出せるかどうかが興味深い。体力的に問題なく週二回練習出来るようになれば、技術向上が目に見えて速まることが予想出来るからである。周りに三十五年もの経験者は殆どお目に掛からない。昔取った杵柄を少しづつでもご披露出来るようになれば嬉しいと思う。
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夏日の火照りを内から癒す

2009-05-27 | 試飲百景
真夏日の始まってから窓を閉めては寝れなくなり、パジャマも夏物に着替えた。雷が夜中に轟き、一雨二雨来るとやっと涼しくなった。気温摂氏三十度から今度は二十度を切ると気持ち良い風が吹く。それでもTシャツ短パンからなかなか戻せない。涼しいのはやはり気持ちが良い。

日曜日は陽射しも強く、三十分も炎天下を歩くと赤外線効果で体の中から温まってしまった。ゲオルク・モスバッハ醸造所の冷えたワインを片っ端から試飲する。ここでも2007年産と2008年産の比較試飲が楽しめた。両手にグラスを掴んで二挺拳銃である。グーツヴァインが6ユーロであるが、オルツヴァインのヴァッヘンハイマーもフォルスターも同価格なので商品構成に若干問題があるような気がする。逆にオルツヴァインの方が味が落ちる場合もあるという、方々の醸造所でも遭遇した似た傾向があって、必ずしもグーツヴァインとオルツヴァインの格付けが旨く行かないと言う事例であろう。要するに2008年産の各醸造所のグーツヴァインは、現時点で市場最高の質に至っている。VDPの今後の課題かも知れない。

その中で2008年産で明白だったのが久しぶりに地所シュティフトから魅力あるリースリングが出来上がっていることである。酸の量感と熟成度が美味くバランスすることで、ややもすると重みがあるこの地所の土壌の良さが復活したという感じがする。一本7ユーロ20は適価であろう。その反面ヘアゴットザッカーは薄っぺらさが災いして今一つである。当然のことながら、より酸の強いエルスターは現時点では強過ぎる。次なる両年対比はモイスヘーレである。2007年産がやはり良いミネラル味を出していてマニア向け推薦である。ムーゼンハングの脆弱性に対して、ヘアゴットザッカー・シュペートレーゼの両年は現時点では前年度にやはり軍配が上がる。更にラインヘーレ辺りになると繊細さが欠けるようになり物足りない。

2006年産のバサルトが日本のワイン会で評判が良かった報告を若旦那さんに話したのだが、私自身は2007年産のそれや2008年産のそれを比較試飲しても同じような質であまり楽しめない表情を顔に出すと、旦那は「あれはうちの二番手レヴェルのワインだからな」と此方の真意を読まれた。

グランクリュのフロインドシュトックがまだ残っており、キーセルベルクとウンゲホイヤーともども試飲するどころか、それでアスパラガスとニコゴリサラダを楽しむ。けちけちしていて食事を流し込む程は注いで貰えなかったのだが、それでも追加購入を決心させるには十分な新鮮さと美味さであった。

「それなら、ウンゲホイヤーはどうだ?」と訊ねられる。

「その昔はボディー感のあるフローラルなリースリングと思われていたが、最近は熟成するとエグミが出てくるなど必ずしも容易なワインではないよね。どの辺りでしたっけ?」

「真ん中辺の地所」

「んん、そんな訳でどちらかというとご婦人向けのフロインドシュトックの方が飲み易いかな。お宅にはないがホーヘンモルゲンなんかも人気が出て来ているからね。一寸似ていないかな?」

「いや、ホーヘンモルゲンはどちらかといえば隣り合わせ地所のキーセルベルクなどに近いから、フロインドシュトックは寧ろウンゲホイヤーとかに近い筈だけど」

この先はどうしても話が進まなくなってしまう。「土壌の話は難しい」と、自称土壌原理主義者は思う。最終的には主観的な意味づけがなされるので、地理的な話と混同してしまうと話は更に煩雑化してしまう。何れにしても2008年産のそれの出来は間違いなさそうである。重くはならないでより膨らみ感がありそうだ。ヌガーキャンデー味が強くなればとても面白いだろう。

兎に角、古いものより新しいものの方が濃いぐらいにワインの色が違うのは生物学的熟成の相違がある訳だから、レープホルツ氏の発言のように、2008年産は秋の林檎酸からワイン酸への移行が特徴でもあろう。冬の気温と相俟ってワイン酸からの酒石が集積したのも納得である。そして瓶の中に残る林檎酸が良い熟成をするとなると将来が楽しみである。それがどれほどミルキーになるかは化学的微生物学に調べて見ると分かるかもしれない。

2005年産のウンゲホイヤーのアウスレーゼや2007年産のTBAも試飲したが悪くはないが其処まで投資する価値は感じられなかった。むしろ二種類の2006年産の赤ワインシュペート、ブルグンダーとメルローを試飲して2003年産の良さを思い出した。

今晩は涼しく眠れそうだが、赤ワインで温まると言うよりも、質の高いヴァッヘンハイマー・アルテンブルク・リースリングを開けて次ぎの夏日に備えて身体を癒したいものである。



参照:
スパイシーな相互感応 2008-05-26 | ワイン
チーズの付け合わせ葡萄 2008-09-05 | ワイン
胃に沁みる夕べの祈り 2008-11-20 | 料理
今年度の消費とその番付 2008-12-29 | ワイン
放言、よー、観てみよー 2009-01-05 | ワイン
疎まれるようでありたい 2009-02-20 | 試飲百景
小動物ににじり迫り寄る 2009-05-02 | 雑感
辺境の伝統の塩味ピーマン 2009-05-26 | 試飲百景
堺東にあまたの巨匠を迎えて (新・緑家のリースリング日記)
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辺境の伝統の塩味ピーマン

2009-05-26 | 試飲百景
レープホルツの講話会は週末の試飲会の頂点であったのは疑いようがない。今回は前回に比べて、2008年産の評価の仕方へとお話が進んで行った。その成長の可能性を2004年産で示した事で、概ねどうしたワインになるかは其処で語られている。

1990年産のシュペートレーゼが供されたが、いつもの幾らか糠臭い熟成香は感じられたが美味く冷してあり清涼感すらあったのは糖分を押さえた醸造法の勝利であろう。但し、こうしたワインを飲むために十七年間も待つ酔狂者は無かろうと思わせる素っ気無さである。当時は、ヘクター辺りの収穫量が100HLと言うから現在のものはもっと素晴らしいと言うのだろうが、灰汁も強くなるのではなかろうか?少なくとも当時のリースリングは、ある種ザール流域の古酒のような水に近くなる辛口と言えよう。

そうしたものを夏に楽しむならば流行のソーヴィニオン・ブランが気持ち良いが、ゲオルク・モスバッハーがやるような素晴らしい南国の香味ではなくて、本人が新世界ではなくてロワールのそれを手本としていると語るように全く異なるものである。彼の好きな味ピーマン味がここにも顔を出していて、それだけでも誰があまり感じなかったカシスなら良いが誰がこのようなワインなど喜ぶものかと不審に思わせる。少なくともフランスのそれは香りが軽やかで豊かであろう。

貝殻石灰質のそれを丸みのある酸と称して、ロートリーゲンデンのメロン味などに関しては月並みな説明の域を越えないが、何れにしてもソーヴィニオンブランにも塩味を求めるから恐れ入る。親から引き継いだしろワインの例のマイシェ漬けの心は塩の心のなである。今回の講話では非常に保守的に「なぜそれを変える必要があろうか」としたので驚いた。

前年にも増し「酸が強く、一部ではそれを恐れていると報じられていたが、2007年の清潔なのと比べて上級ワインは良いが簡単なワインはどうでしょう」と聞くと、「そんな事はないんだ。これら2008年既に飲み頃になっているから、一年前の2007年産の方が難しかった筈だ」と反撃する。彼に言わせると「2008年産は、葡萄を熟成させた分、塩が良く利いている」となる。

シュペートレーゼの飲み頃も訊ねると、「うちのワインは、新鮮なものが飲みたければキャビネットで一年ぐらい。シュペートレーゼは寝かすかどうかはその人の好みだけだ」と明言する。しかし、シュペートレーゼを本年からSと名付けるようになったのを見ても、其処には市場を見ながらの配慮があるに違いない。

ゲヴルツトラミナーは甘口しか作らない理由を尋ね、またマイシェ漬けのあとの絞り方などを質問するが、なかなかその回答などが興味深かった。ムスカテラーを緑のソースに合わせるとするのも記録しておこう。

今回は、昨年は腹具合の関係で飲めなかった赤ワインも試飲するが、そのシュペートブルグンダーは、2005年産の貝殻石灰土壌のそれの塩味が強かったが色ももう一つで、2003年産のゾンネンシャインはまだまだ力が強いだけ価格も四十ユーロと高過ぎる。赤ワインやロゼの出来は、そのお得意の醸造法の影響を受けないので上手に力強く醸造しているが並みの品質と言えようか。

講話会の最後に飲んだのが、2004年産のグラウブルグンダーであって、2005年からエコに移る前の最後のヴィンテージらしいく、長持ちする素っ気のない飲み口の良質の水のようなブルグンダーとして秀逸であった。

そこで、早速早く売り切れると教えてくれたゾンネンシャインのリースリングと雑食砂岩のガンツホルンを予約注文しておいた。昨年はレープホルツ氏自身がごたごたして住所をデーターベースに登録できなかったが、それを小言して奥さんに注文して置いたので今度は適時に案内が来るであろう。

ここまで来るといつも御馴染みのワインスノッブ叩きとなるが、試飲会毎にそうした人間を見つけてはおとなしく改心させるように指導している。裸の王様状態になっている連中にはたと気付かせるだけで良い。幾ら名産で有ろうが無かろうが不味いものは不味い、美味いものは美味いと。レープホルツのような辺境の伝統主義者が、プファルツの盟主のような者とは程遠いのは本人が最もご存知だからこそ、また分かっている顧客は、それをして名産と呼ぶのである。象の鼻を触って、それで像を知ったと思っている馬鹿者達が多いから目を醒ませてやらなければいけないのだ。

顧客名簿に日本人の名前を見つけたが、全体の分からない者にその価値が分かる訳はないのである。全く笑い話である。



参照:
偏屈者の国際市場戦略 2008-05-28 | 試飲百景
南北にワイン街道行脚 2008-05-24 | 生活
今年度の消費とその番付 2008-12-29 | ワイン
放言、よー、観てみよー 2009-01-05 | ワイン
地域文化の快適行軍 2009-02-01 | アウトドーア・環境
どちらが七十年先に旨いのか 2009-02-09 | ワイン
夜中になにを吟味する? 2009-03-17 | ワイン
手に負えない大馬鹿野郎達 2009-05-17 | 試飲百景
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失明しそうになる液晶モニター

2009-05-25 | 雑感
目が潰れそうになった。安物のソニーのモニターが目に良くなかったようだ。久しぶりにブラウン管のモニターをサブからメインのシステムへと移し替えた。表面のガラスに傷をいれてしまっているのだが比較的新しく、色も美しく陰影が素晴らしくてこれ以上に見える必要が無いと言う具合にくっきりと見える。さすがトリニトロンである。

DVD再生やVIDEOや映像は当然の事、なんといっても背景の色に拘らずも字が読みやすくなったのは素晴らしい。やはり今でも液晶ではかなり投資しなければ駄目なのだろう。大きいだけの画面では邪魔になるので、どちらかといえばコンパクトで細部がより摂り難いものが良いが高価でなかなか買えないだろう。千ユーロも投資するなら、プロジェクターでホームシアター機能を付けてしまう方に興味がある。

そのような理由で、机周りの模様替えをした。サブの机にモニターを追い遣ったので、キーボードも横へ移し変えて、スピーカーも移動させた。スピーカーは副次的なものだがやはり立派なステレオ効果になれてしまうと今更あらぬ方向に設置する事は出来ない。マウスは無線であるから殆ど問題がないが、主デスクの遠くからコントロール出来るのがなかなか良い。

最大の問題はタイピングの姿勢で、大分姿勢が変わるので健康にどのような影響を与えるかどうか暫らく様子を見なければいけない。
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お勧め上手の伯爵夫人

2009-05-24 | 
鮭の寿司は欧州のもので、どうも日本人の口に合わないのだろうか?それを最初に食したのは、フランクフルトかどこかのすし屋さんだと思うが、少なくとも欧州で食せる寿司ネタの中では抜群に美味くて、なによりも安心して食べれるものだと思っている。

生ものは危険であるのには間違いないが、鮭の流通は燻製ものを中心に日本などよりは遥かに多く、フィヨルドのそれなどで有名な大変珍味なものが少なくない。

元々鯛の刺身には御湯や御茶を掛けてしか食べない、ああしたゴム状の淡白な河豚刺しなどもあまり有り難く思わない性分であり、どちらかといえばハマチなどの方が好きなのである。その昔は鮪なども喜んだ時期があったが、冷凍解凍の実態や重金属の含有量を考えると食指が失せた。

マンハイムの寿司屋の御囲地町で修行したと言う韓国人が、「冷凍じゃないよ」などというのを聞くと、「寿司職人など二年もあれば」と板前の世界では低く見られている意味が納得出来るのである。

先日の英国庭園での試飲会にチロルの名門マニンコール醸造所の伯爵夫妻がゲストで自らのワインを紹介していた。シャドネーやロゼを含む大変力のある赤ワインなどを試飲したのだが、私にはスキー休暇で御馴染みのカルタラゼーワインが興味を引いた。

奥さんに、「いつも友人とこれを飲んで馴染みがあるんですよ。もちろんこんな良いものではないですけどね」と、その充実した味に吃驚していると、

「私ね、チューリッヒで山葵で鮭にこれを試したことがあって、山葵との相性が素晴らしかったわよ」と奥様が仰るのだ。

「そうですか、それでも山葵となると醤油を付けるから、台無しでしょう」と切り替えす。

「違うのよ。鮭はね醤油だけど、マリネーにしてあったのよ」

「ああ、そうか、それは考えたことがなかった。恐らくそれは粉山葵だけど本当の山葵ならもっと凄く合うと思いますよ」と、一寸認識を改めた。

「なかなか、勧め方が御上手ですね」と、またご主人には、高度差三百メートルもある大きな山肌の谷間での栽培状況などを伺った。

シャドネーなどは四百メートルほどの場所に植わっていて、酸も備わる仕組みになっている。また摘み取り時期が異なったり、様々な気候が同じ斜面にあるのはとても面白そうである。そして過熟成を避けたビオデュナミで品質を目指しているのは、どのワインも高品質であった事で示されていた。

此方としては、あの谷の光や香りを感じることが出来て、旅の思い出に浸るような感じで即それを持ち帰った。その軽い赤ワインにヴォルムスのグラスキャップを使っていたのもまた話題である。

「今度旅行でそちらに向う節は、きっと立ち寄りますよ」と握手して別れた。



参照:
初めて、贅沢独り外食 (うさたろうのフランス生活)
お好み詰め合わせのGC 2009-05-21 | ワイン
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史実に立つ頭打ちシナの現実

2009-05-23 | マスメディア批評
ジョン・ラーベのことが記事となっている。同じ史実に纏わる二つの映画の中国での大反響をマルク・ジーモンスが伝えている。片や未だ嘗てないドイツ映画の成功であり、片や中国商業映画史上最大の成功作品なのである。

特に目新しい面はないようだが、中華作品「南京、南京」の内容にも触れており、両作品のトレーラーなどを纏めてネット掲載してあるので便利である。

それによると中華作品では大日本帝国陸軍の兵隊の目で描かれる小型カメラ視線での情景が少なくないようで、虐殺を加害者の人間的目で描いているらしい。

これで思い出すのは、朝日新聞などが田中角栄の金脈外交によってなされた日中国交回復時に取ったような中日人民の友好的関係の視線なのである。「罪を憎んで人を憎まず」と言うか、何一つ意味を齎さない「人類兄弟、世界は一つ」の掛け声そのものなのだ。

そうした「現実」が白黒映像でドキュメンタリー風に「史実」として描かれるところにプロパカンダが存在している事に間違いがない。経済的な影響力を背後に「南京虐殺は悪であるが日本人は悪くない」との中共の検閲の方針は、「良心的なナチ」にも掛かるが、それによって両敗戦国の否決権を持つ常任理事国入りまで支持して世界に中華思想を打ち出した新体制へと移行しようというのだろうか?

こうしたプロパガンダは、まさに国交回復時の日本の大新聞社が取った政策報道そのものであり、それに違和感をもち得なかった大衆は同じ誤まりを再び繰り返すに違いない。

要するに戦略的な関係とする以上に、友好とかなんとか言うプロパガンダの裏にはなんらかの利権などの魂胆が存在すると見るべきである。だからここに紹介されているネットなどでの「犠牲者は絶対許さないぞ」とか「日本人のために史実を取り繕いやがる現代の売国奴」とこの中華人映画監督を脅す者の意見に、典型的な被差別意識に立脚する民族主義者や国粋主義者のトラウマに落ちる被害者意識が強く表れる。そうしてこうしたどこにも存在するヤクザ者の意見に対して、中共映画協会の副理事は新聞紙上にて、「芸術の創造力は、公の場において護られるべきであり、決して文革の三角帽子への嘲笑のようなものと同じとすべきではない」とその映画を支持する。

そしてその映像表現への取り組み方自体がマルクス主義に倣ったシュールレアリズム的な「表現の効用」に準拠するようであり、一方のドイツ映画に措けるそれが美学的に開かれた歪なものである対照がとても面白い。芸術家を含むどのような層のシナ人にとっても現実認識の方法に大差は無く、如何に伝統に立脚した毛思想が偉大であり、近代シナを形勢している事実に間違いはないと示されているとするのは早計だろうか。少なくとも、日本の修正主義者を含む学識文化人とはまた異なる意味で、シナ人にとって自然科学を含めたあらゆる知的活動分野での活躍は明らかに頭打ちなのが現実ではなかろうか。



参照:
John Rabe bittet um Verzeihung, Mark Siemons, FAZ vom 19.05.09
自由主義者の戦後社会学 2009-05-05 | 文学・思想
未だ覚醒しない兄弟との確執 2009-04-19 | 歴史・時事
独・ユダヤ・シナ・日本の愛憎 2009-04-14 | 歴史・時事
「ドイツ問題」の追憶の日々 2009-04-13 | 歴史・時事
情報の洪水を汲み尽くす阿呆 2009-04-12 | マスメディア批評
知性に劣る民を卑下する美徳 2009-04-06 | マスメディア批評
「南京事件を描いた映画「ジョン・ラーベ」の日本公開を求める署名 」 
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肝臓を休められない日々

2009-05-22 | その他アルコール
久しぶりに疲れた。水曜日は二時間ほどみっちりと暑い中をクライミングの修行をして、帰りがけに自分で作ったミニザウマーゲンを挟んだパンを食して、一杯引っ掛けた後に、シャワーを浴びてマンハイムに向う。

其処でヴァイツェンビーアを一杯引っ掛け、十一時前に帰宅して零時ごろにベットに向う。

最近なかった事であるが興奮して眠れないのである。理由は分かっているのだが、結局貪るようにして一度トイレに行きながらもなんとか朝五時まで横になる。

急いで、朝食と昼飯のサンドウィッチを拵えてコーヒーを沸かすが食が進まない。結局昼食用の冷えたワインと行動中の冷えた薬草茶をもって、六時半過ぎに家を出る。

155KMの距離の途上強く雨に振られるが、約束の九時よりも一時間程早く町に着く。町が予想以上に大きく、あまりにも多角経営なホテルの本部が見つからない。

駅前に駐車して歩く準備をしてから、パリやマコンからのフランスからの仲間達も集まるホテルへ向うと、雷雨のため一時間ほど出発を遅らすというではないか。

十時から歩き出して正午には木陰で持ち寄ったワインで乾杯をする。夕方再び雷にあったが、雨を避けて午後四時前には無事にホテルへと戻った。

其処から帰宅の途上、ラムのコトレットとナオウサで食事を済ます。当日既に飲んだワインはグラス二杯ほどヴァイツェン一杯と、ワインの試飲会を週末に控えて、なかなか肝臓を休められない。
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お好み詰め合わせのGC

2009-05-21 | ワイン
日曜日の試飲に纏わるワインを回収した。その時の試飲の風景はあまりに多種多様すぎてなかなか容易に纏められない。結局予約させて置いたもの六本と新たに御好み詰め合わせで六本購入した。一本平均の価格は高いと言えば高いが、まあそんなものだろう。

2008年度産の特徴は特別なスパイシーさと酸にあるのは間違いないが、傾向としては高級グランクリュなどに特に素晴らしいものが集中しそうである。予約していたランゲンモルゲンは、昨年の美味さは現時点では出ていないが、酸が強い分一年ほど経つととても期待が出来る。兎に角こうしたものは毎年纏めて買って、試金石にしなければ意味がない。もともとは細身のゲリュンペルが好みなのだが、やはりダイデスハイムのその土壌は味の深みが違うのでヴィンテージ毎の特徴の出方と熟成の巾が異なる。一寸大人のワインなのである。先日飲んだ1999年産も良かったので、十年ぐらいはびくともしない辛口であり、素晴らしいフルーツの楽園が森の中の静かな湖に広がってくるのだ。

今回は今まで購入した最も高価なリースリングが含まれる。遂に2001年産ホーヘンモルゲンを購入してしまった。日曜日のビュルクリン・ヴォルフのオペラ劇場横に広がる英国庭園での試飲会でも酔って目が蕩けた奥さんに迫られてしまったのだ。「高いけどどうよ?」と聞かれれば、「本当に高いけど、価値は高いですよ、しかし、なにか食事でも合わせようと思うと難しいよね」と答えた。なにも単体だけで十分に楽しめるのだが、どうしても食事に合わせたくなるのは私の性分である。とは言っても、纏めて箱買いした訳でなく、一本を大事に開けると言った按配で、昨年からホーヘンモルゲンを押してきた者としては少なくとも自分の金で飲まないといけないと思った。

2007年産の健康な葡萄のそれも先ずは一本確保して、更にペッヒシュタインを数年後のために先行投資した。そして、今飲んでも良し、十年先でも良しのガイスビュールも買い付けた。

ホーヘンモルゲンは、バッサーマン・ヨルダン醸造所のものを毎年購入しており、今年のクリスマスぐらいに早熟の2006年産を開けてやろうかとも考えている。そこのワインを、ここのワインよりも割高と考える人も居て、なるほどそのカテゴリーによっては、その根拠も分からないことはない。

グランクリュリースリングは、優に二桁の瓶が地下で眠っているので、これだけあれば今後毎年のクリスマスや正月に特別に開けるものが徐々にそろってくる事になる。こうなればなにもつまらないシャンペンや高級シャンパーニュを購入する必要もなかろう。
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いざ闘争の狼煙を上げよ!

2009-05-20 | 生活
狼煙を上げろ、笛を吹き鳴らせ、鼓を打ち続けろ!闘争の始まりである。ハイデルベルク市は私に対する懲罰を取り下げなかった。こうなれば、司法へと場が移される。相手はハイデルベルク市である。次回市長か村長かと再会することがあれば嫌味の一つも準備しておこう。騒音防止のために急激な速度制限をしているのは只都市計画の問題だろう。

そこまで争うことが出来るかどうかは判らないが、自動車係争保険に入っている自動車クラブに早速連絡して、ネットで近所の弁護士を選択する。まだ若くてやる気がありそうだ。民事上の責任の擦り付け合いや保険会社との交渉・係争と違って、行政への反論は法的な解釈に依存するので遣り甲斐があるだろう。

180ユーロの罰金と三点の反則それに四か月の猶予をもった一月間の免停である。その内容よりも反則自体に異議がある訳だから、先ずは自転車を買おうなんて考えないでおこう。私の名誉が問題なのだ!

具体的には先ず内容如何によらず異議を申し立てて、訴状や証拠を取り寄せ、当方の反論を法的に相談すると言う事になる。法的解釈や裁定の結果はさておき、罰則が全く承諾出来ない限り行政にそれを質し、司法に訴えるしかないのである。行政の一方的な判断解釈を決して許してはいけないのである。遵法精神を尊重するためにもである。
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懐しく身近で暖かな気持ち

2009-05-19 | 
久しぶりにある女性に電子メールを認めた。直前になっての招待など、もともとそうした口実をつけて書いたのだ。最後に会ってからかなりの年月が経つ。

プレゼントに貰ったワインのことを書き記した。当時の価格と現在のそれとの違いに生じるドイツワインのあり方に係わる話である。

もちろん、そのワイン自体が今どのように熟成を迎えているかは飲んでみなければ分からないのだが、色々と想像するだけで楽しい。グランクリュの先行投資と時間の投資はそれはそれで素晴らしいのだが、そうではなくて予想以上に新鮮さを保ちながらぴちぴちとして熟成していればもっと嬉しい。

あまりにワインの熟成を彼女に対する期待に重ねていると思われるといけないが、八年も経てばお互いにそれだけ老けている事は間違いない。実はそうした経年変化を鬱陶しく思っていた時期もあったのだが、今はなぜか大切に仕舞っていたそのワインと同じくとても興味深く尚且つ楽しみになって来ている。

良く考えれば自らの事はさておき、彼女に対してのはちきれん若さとは裏腹の物足りなさを示していた此方の真意は明らかだった訳で、逆に今こうして良い経年を信じて疑わない気持ちに彼女に対する信頼のようなものが表れていると自己分析する。

時がその間に流れているのは否定しようもない事実であり、それは好悪の問題ではない。自らを振り返ると、なにも決して否定的な経年ではなく、彼女においても間違いなく肯定的な経年である事を確信する。

あの時のどうも硬さのある感情とは違う、とても懐かしく身近で暖かな気持ちを感じ出して来ている。こうなればなにも慌てる理由はない、しかし遠くない内に再会出来れば良いと思う。さてどうなることだろう。
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熟成の秋を待つ初夏の日

2009-05-18 | ワイン
何人もの醸造職人と話すことが出来た。生来不器用な性分であり、周りに職人というものがあまりいなかったためか、職人という職業には一種の憧れのような親しみを感じるのである。今回も親方などと話していて、それほど有名でもないと思われる親方にオートグラムを求めてやってくる若者がいる。私が親方であるなら、もちろん御客様であることだからそれに応じるが、内心「こいつ何を考えているのだろう」と思うのではないか。要するに、そうした連中は誰かが書いた親方の写真付きの名人百選のような評価本を評価しているだけで、親方が誠心込めてやり遂げようとする事を何一つも理解していないばかりか評価していないことが殆どだからである。

先ずは年長のシュヴァルツ親方の五酒混合のボルドー型2005年産赤ワインを飲んでとてもよかったので話が弾んだ。昨年は友人やらがチヤホヤするので私は一言も声を掛ける気がせず、そこに出されていたつまらないワインばかりかこの「隠居さん」に対して「一体何を考えているのだ!」と酷評したものだ。

しかし、同じワインでも今年はそれはぐっと成長していて、タンニンだけでなく酸も強く効いていてまだ五年ほどはぴんぴんしていそうである。ノイシュタットの町からハールトへと抜ける坂道の左側にメンヒガルテンはあるらしい。そこで赤ワインやシャドネーなどを作っているのだがリースリングは既に空になっていて試飲出来なかった。シャドネーはフランスのマコンなどのそれのように酵母の澱の上澄み液のようなもので大した事はない。なるほどリースリング作りから赤ワインに年とともに目覚めた親方は、醸造上全く正反体のそれに熱中しているらしい。「シュペートブルグンダーの単体もやりたいのだけど、量が十分でないけど、もしかすると今年辺り」と目を輝かせてる。チヤホヤされて迷惑顔半分で大物面されてはみていられないが、「2001年のリースリングを大事に取ってあるよ」と小声で言うと、「ミュラーカトワールのか」と嬉しそうにする。話の輪にいた男が「2001年が最後でしたか」とか「お尋ね」すると、絶えず笑みを絶やさないまでもまたいつもの愛想の感じに戻って見えたのは私の気のせいだろうか?

ゲストとしてやって来ていたアウグスト・ケセラーの親仁には、「今ラインガウの試飲から戻ってきたところだ」とリースリングを試飲しながら挨拶した。「何処行ってきたの」と尋ねるので、「フォン・ジムメルン」と答えると一寸力抜けしたような表情になった。到底比較出来るようなリースリングではないから仕方ないであろう。辛口の少しの残糖感が厭らしい。「先ずは白ワインを片付けてから赤ワインを飲まして貰うよ」と辞去して、再び戻ってきてアスマンハウゼンなどのそれらを試飲し直す。2003年産のヘーレンベルクの樹齢は百年と謳い文句のようで、なるほど凄いタンニンの効きである。「日本には行ったことありますか?」と聞くと「二十回以上」と答える。なるほど日本市場のワインの理解程度なら、これで十分なのであろう。素朴で大変いい親仁さんだが、それほど日本旅行するぐらいなら、もう少し職人として自宅でワイン作りに拘りを持っても良いのではないかと思わせる。

ラインガウのエルトヴィレで様々な地所をみてまわっている時に高速の横に小さな地所を見つけた。シュタインモルゲンというと、クニプハウゼン伯醸造所でそれを聞いた。なかなか廻りに肥料の匂いが漂っていてそのワインは意外に面白いのではないかと思わせる。御目当てのフォン・ジムメルンでは様々な地所の話をするが、やはりバイケンは特別なものである。今年からスクリューキャップになったキャビネットでも一年ぐらい寝かさないと味が開かないのは、幾らファンでもとても買い難いほどマニア向きなのである。そして昨年購入したシュペートレーゼが最後となって今年からは長く寝かしたグランクリュとなる。それも樽試飲したが2007年産より格段に透明度が増して良さそうである。やはりなんどもの葉落としなどをしてキャビネットで十月中旬まで収穫を待ったというから、グランクリュはその十日ほど後になったようである。量が少なく、決して生易しくないリースリングなのだ。しかし、当方からすればマルコブルンやその他のマンゴ味程度ならば態々買いに行くほど珍しくも嬉しくもないのである。それにしても提供されたチーズや果物類は二時間ほどで退散するには惜しいものであったが、上客さんはさっさと決めて大量に購入して早く切り上げてしまう。やはり、ロバート・ヴァイル醸造所などのようなフランクフルトの成金とは違う上質の固定客層がいると思わせる。何よりもなにも分からない評価本を見て訪れるような馬鹿者が少ないのではなかろうか。

さて、最後にフォン・バッサーマン醸造所のメル親方である。先代の方に馴染みがある一部の今や古手となる私のような顧客は、どうも新人で小柄で農協から移って来た彼への信頼度は決して高くはなかった。恐らく彼自身もそれと戦い続けてきたようなところがあって、今一つ斜に構えたようなところがあったのだ。しかし、今や彼は自信に満ち溢れているようにさえ見受ける。その親方が近年私のような難しいお客さんに熱心にアプローチするようになって来ている。なぜかと考えると、やはり年間で可也の購入数に至っている偽りない支持の実証があるのだろう。そして2008年産などは、嘗ての親方から敢えて購入していた「取って措きの甘口」の89年ものや92年ものに替わる買い付けの可能性が生まれたことを告げる。今まで繊細な辛口では完全に自信を持っていた彼も、温暖化の気候に因る酸不足で強い甘口を完成出来なかった引け目のようなものがあったのだろう。それが、コルク替えの四半世紀に迫ろうとする当時の甘口とそろそろ入れ替えしなければいけないこの時期にこうして二十年後の候補となる甘口ワインを提供して評価を受ける栄冠を彼は噛締めているかも知れない。「十五年に一度の甘口」が提供される2008年産は、反対に辛口では一部は初めて秋に発売されるものが少なくなく、その熟成の味を秋まで待つことになる。



参照:
飽きない気持ち良い生活 2008-05-18 | ワイン
水で割る経済格差の味覚 2008-07-02 | 試飲百景
本当に力が漲るとは 2008-12-02 | ワイン
放言、よー、観てみよー 2009-01-05 | ワイン
俗物図鑑のための閻魔帳 2009-04-21 | 試飲百景
手に負えない大馬鹿野郎達 2009-05-17 | 試飲百景
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