Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

不思議な風景と惜別の情

2008-04-20 | 雑感
訪日前には、なぜか「帰ってくるのだろう?」と宣う者までいて、なにやらおかしな雰囲気を醸し出していたのかなと今思う。以前と比べても、旅行前になにやら特別感傷的な想いがなかった訳でもない。我ながら不思議に思っている。

敢えて言えば、日本での日程や段取りが直前まで決定していなかった状況を反映していて、出た所勝負の旅行であったからだろう。だからか上空からみた日本の不思議さ以上にドイツの空を離れるのが忍びなかった。

そして、今回は日本国内を旅行する予定は皆無であった。それでも建築中の写真などを見せてもらっていた友人の新築の家に、「どうぞ日本間を使ってください」と招かれていて、時間があれば立ち寄りたいと思っていた。

結局、第二週目に帰路のブッキングを変更して、滞在第三週目のフライトを予約した。滞在を延長するならば湘南の家を訪問する可能性を伝えていただけに、延長後直ぐの週末に訪問を決めた。その近所には、妻帯後初めて会う友人も住んでいて、残った最後の一本のワインを皆に飲ませたいと思ったのである。

既に報告した鎌倉見物はおまけのようについて来たのだった。今回の滞在の中でも予定外ということもあり束の間の休日を味わうだけでなく、旧交を温める事が出来て新鮮なワインの味も格別だったのである。

そして、新婚当時にドイツに滞在していて、スキーツアーにも何度もご一緒した奥さんやそこで生まれて十歳になる娘さんにも再会した。なんと言ってもそこで出された食事の数々は、その当時に一度お呼ばれしたものが、更に進化した料理の腕で図らずしも特にリースリングワインに推奨できる日本食の皿となって出されたのには感激した。

一つはたらの芽の天ぷらであり、もう一つは鯵の梅酢サラダであった。前者の苦味はむしろ苦味のきついジルファーナーなどの白ワインにも合うが、後者の梅酢との組み合わせは野菜独自の香味と共にリースリングにはなんとも見事な一品であった。

前者はフォン・バッサーマンヨルダンの2007年産キーセルベルクと食されて、この些かの素っ気無さを旨みに変える苦味を与えてくれたようで、現時点で最高のリースリングとして紹介したワインが日本で高い評価を得て満足している。後者はライタープファードの青林檎ともニワトコの花とも言われるフルーティーさを梅が押さえつつ際立たせてくれた。

その他に手作りのさつま揚げも素晴らしく、今後当方でレシピーを貰い研究する事にした。ちょっとした工夫で日本料理もドイツリースリングに合わせる事が出来るのである。

日本間の蛍光灯の下で旅の荷を紐解き、息子の嫁に感謝して胸を一杯にする三国連太郎紛する田舎から出てきた親父のような気持ちになって、蛍光灯の紐を引っ張って床についた夜であった。

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