デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



塩野七生著『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』(新潮社)の下巻、読了。(こちらに上巻の感想あり)
私の身近なところで神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒ二世(フェデリコ二世)の名を知っている人はほぼいない。かくいう私も、勝海舟や坂本龍馬のことは知っていても岩瀬忠震や徳川慶勝については知らない、ダンテやエラスムスやボッカッチョや(画家の)ジョットの名を聞いたことがあってもポッジョやジョルダーノ・ブルーノやフリードリッヒ二世の名は聞いたことがない、という例に漏れない一人なのであった。日本のTVメディアで特集を組まれるようになったのも、ここ15年ぐらいの間で、この皇帝の知名度はまだまだ低いのじゃないかなぁと思う。
この作品の上下巻および『十字軍物語』は、とどのつまり『ローマ亡き後の地中海世界』の(意欲作・労作である)付録・補遺であるというのが率直な感想である。とはいえ、どの分野のテーマにしろ、学術的な事柄が作家の視点を介したものを読むことでまた新しい事実にめぐりあえたり、知っていたことでもより深く理解することは楽しいしおもしろいし、塩野氏の筆で書かれたフリードリッヒ二世とその時代の記述もそこそこ面白かったのは変わりない。(ただ『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』(下) に限っていうと、思いのほか呆気ない印象が漂っているように思う)
教皇と対峙する皇帝の姿勢、および宗教的原理主義に固執するだけで他の宗教を信仰する人々とうまく折り合ってやっていくフリードリッヒ二世の功績はまさに(当時の)世界の驚異であり、今の世でも皇帝の爪の垢を煎じて飲んでほしい人々に彼の功績を知ってほしいと思う。

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