9月8日(土)、四国大学で仲良くさせていただいている彫刻の先生である井下俊作先生が参加されている「徳島彫刻集団」の野外彫刻展の50周年記念展に、徳島城公園に行ってきました。毎年この時期に行われるので楽しみにしています。
公園の各所に32の彫刻作品が点在しています。このような彫刻展が50年も続いているというのは全国的にもまれなのではないでしょうか。
参加されている作家は徳島だけでなく、大阪・兵庫・香川の方もいます。
会場は芝生や大きな樹木、城の石垣、池などがあって、そのような環境を借景にしながら木や金属や石の彫刻が展示されています。
環境と彫刻を一体として考える発想がとても良いと思います。彫刻は美術館の展示場に置くよりも、本来はこうあるべきなのではないかと思います。
井下俊作先生の作品を紹介します。題名は「A MESSAGE TO THE EARTH」です。地球へのメッセージという意味です。
鳴門の名家で、幕末から明治にかけて海運の豪商だった山西家住宅が、数年前に取り壊され、その廃材を利用した彫刻です。この山西家の奥様も四国短大の音楽の先生です。山西家には明治期に日下部鳴鶴や勝海舟も宿泊しているという豪商でした。
廃材といっても、江戸時代の建築材は原料がよく、欅の厚い一枚板をふんだんに使っています。その板から鳥の形を切り抜き、残った鳥型の穴のあいた板も同時にステンレスポールの上に取り付け、風が吹くと少しだけ揺れるように設置されています。ポールを支えているのは黒の御影石です。石と金属と木が組み合わされています。
これを公園のクスの老木の前に設置しています。
先生曰く、「この廃材に使われた欅も、生きているころは多くの鳥のねぐらを提供して、鳥と仲良くしていたはずだ。今、生きているクスの木と生きている鳥、そして過去の欅の木と過去の鳥の象徴としての形を、風に揺らしながら、悠久の自然の姿を表現した。」
んー。深いですなあ。
書道と彫刻というのも、結局のところ、空間と時間の芸術という意味では同じなのだと思っています。そして人間の存在自体も実は同じようなものなのかもしれません。
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