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新年の横断幕

2013年01月05日 | インポート

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1月5日(土)、昨年末に徳島市の東新町商店街から、新年に飾る横断幕や垂れ幕の揮毫を依頼されました。短い時間でしたが、3~4年生の学生5名に頼んで一気に仕上げました。年末年始は徳島を離れて北九州市にいて、3日夕方に帰宅したので、展示されたのを見たのは初めてでした。

予想以上に商店街の雰囲気に合っていました。これは籠屋町との合流点の広場の上に設置された垂れ幕で、右には「迎春 東新町商店街」、左には「巳 謹賀新年 2013 四国大学書道文化学科 岡加奈枝書」と書かれています。幅1m、長さは5mあります。今回は、甲骨文と大篆をアレンジして創作されたものです。特に、干支を表す「巳」は、大蛇がうねりながら上昇するように、景気も上向くことをイメージして4年生の岡さんが創作しました。東新町商店街は昨今、チュロスカフェや、アニメ映画館などモダンな店舗が増えてきていますので、篆書の文字がけっこう合うのです。

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こちらは3年生の藤井 宏君お得意の蘇軾風行書で書いた「謹賀新年」です。躍動感ある作品です。

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次はその裏面に飾られた行書の「迎春」。揮毫者は3年生の神出なつみさんです。堂々と書かれています。

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次はおなじ「迎春」ですが、おおぶりな隷書で書かれています。これは3年生の石田里茉さんの作品。彼女の作品はいつも迫力いっぱいです。

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その裏面には3年生の石丸陽一君が隷書で書いた「謹賀新年」が飾られています。安定感があります。

今回は、クリスマスの時から杉の間伐材が柱に飾られていて、正月には書の横断幕と絶妙なコラボを見せました。

近代的なアーケードの建物の空間に自然の樹木と学生の書作品が入ると、森の中のように暖かな空間に早変わりします。とても不思議です。

東新町商店街でこのような大規模な横断幕は初めて展示させていただきました。今回の展示のために商店街の皆さんが、棒やロープなどを使って苦労して展示してくださった様子がよくわかりました。

今後もこのような形で書を活用してくださるとうれしいです。学生の書いたものは、決して完璧なものではありませんが、逆にその不完全な手作り感が温かいイメージを演出します。

東洋藝術は不完全さこそが命であって、その足りない部分を、観覧する人が頭の中で埋めながら見るところに価値があるのだと思っています。色のない水墨画に見る人が勝手に色を想像して見るようなところです。

学生の書の不完全さ、商店街の人が素人なりに一生懸命作った横断幕の器具などに、同様な価値があるのかもしれません。


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