3月の22・23日にTBSテレビで放送されたドラマ“
リーダーズ”を昨日と今日見た。感動だった。
トヨタが国産自動車を作った話だが、日本の物づくりにかける情熱と格闘の物語だ。
最近、日本の戦前戦後を振り返るドラマが多いが、今になってようやく戦後の状況とそれに対処した人々の姿を冷静に振り返り分析することができるようになったといえる。やっとそれだけの年月を経たということなのだろう。
今は世界のトヨタとしてゆるぎない一流企業だが、当時はまだ性能もよくなかったし、それを努力で克服したところで、敗戦国の日本の産業が、GHQに支配されていて、思うようにはならなかった状況が痛いほどわかった。
日本には国産車を作らせないで、アメリカ車を買わせるという方針は、石油業界でも同じだったなあと思い出した。数か月前に百田尚樹の「海賊と呼ばれた男」を読んだが、これが出光興産の話で、そのときもアメリカが日本には石油を作らせず、高い製品を買わせようという魂胆だったことが描かれていた。ここでも、主人公を中心にその会社の同士がなんとか日本製品を作る方策を考え、資金繰りをし、格闘し続けた。
こういうひとたちのおかげで今の日本の産業が成り立っている。
“リーダーズ”で「アイチ自動車」(トヨタ)の愛知佐一郎が、社員を家族と考えて、何があっても解雇はしないと考えていたのは、“海賊と呼ばれた男”で国岡商店(出光)の国岡鐵造の考えと同じだった。ただ、トヨタ自動車は労働組合を佐一郎自ら部下に作らせるが、出光では家族に組合は不要ということで、労働組合を作らなかったというのは有名である。人員整理の噂が持ち上がったときに、トヨタでは労働組合がストライキを起こし、過激な行動に出てしまったのは残念だったが、会社の存続と従業員の雇用問題は避けては通れない課題だ。それが現実であって、人員整理をしなければ会社がつぶれてしまう。
そして、経営者も責任を取る。
リーダーズの最後は、愛知佐一郎が夢をかなえる前に一生を終えるという悲しい結果に終わってしまった。ドラマは自動車製造に大成功し、日本経済が復興し発展した結末で華々しく終わるのかと思っていたら、意外にも寂しく終わった。
確かに、この人の人生は成功では終わらず、志を成し遂げないまま終わってしまったのだろう。しかし、1代で築き上げたのではなく、その後に続く人々が意志を受け継ぎ、今の成功に至っていることは誰でも周知の事実である。
主役を演じた佐藤浩市はよかった。妻、山口智子もいい妻だった。
その他の出演者もよかったなあと思う。
銀行員の役では香川照之が出てきて、「半沢直樹」を思い出したけど、今度はまた銀行員の役ながら悪役ではなかった。
銀行と企業、融資と物作りは切っても切れない関係だし、政治が大きくかかわる。
そして、いつの時代も、ずっと先を見て動いている人が存在する。そういう人は今、何十年後を見据えて何を夢としているのだろうか。自分には何ができるんだろうか?と思った。
日本には技術しかない。技術がある。人の根性がある。それだけが財産。