夕方5時前だというのに、もう電車が混んできている。
ベビーカーの男の子が乗車してきた。
ああ~~ん、ああ~ん、ああ~ん、ああ~ん、
大声で鳴いている。
いや、泣いているというより、声を出している。
自分の存在を強調している。
(ボク、あんまり機嫌よくないんだよ~)
ああ~ん、ああ~ん、ああ~ん、
2歳くらいか、結構大きい。
歩くことはできるけど、男の子はちょろちょろして面倒なので、
ベビーカーにくくり着けておくのが、母親にとっては都合がいいらしい。
ああ~~ん、ああ~ん、ああ~ん
どうでもいいけど、とりあえず泣いとこう的泣き方。
おい うるさいぜ。
見ると、顔もちっともかわいくないガキンチョ。
電車は都心に近付くにつれどんどん混んできて、
ベビーカーの周囲を人が取り巻く。
ガキンチョ
ぴったりと泣きやんだ。
人が多くて驚いたようだ。
その後は、ずっと静かに座っていた。