昨夜遅く、アマゾンプライムで何か映画でも見ようかなと思って開いてみると、第一に役所広司主演の「perfect day」っていう映画が出てきたので、素直にそれを見ることにした。
何の予備情報もない状態で見はじめたのだが、公衆トイレの清掃員である一人暮らしの中年男性(役所広司)の地味な日常生活を描いたものだった。
彼は、スカイツリーのそばの下町地域の古いアパートに住んでいて、早朝の外の箒の音とともに目覚め、布団をたたみ、歯を磨き髭を剃り整えて家を出る。
自動販売機で缶コーヒーを買い、掃除道具を積んだ自分の軽自動車に乗り込み、カセットテープで好きな曲を流しながら首都高を運転していく。
そして東京都のいくつかの公衆トイレを夕方まで掃除する。
公衆トイレは様々なデザインのものがあり、人々が出入りするが、その一つ一つを丁寧に手際よくきれいにしていく。
昼休みは外のベンチで木を眺めながらパンを食べる。
仕事が終わると、夕方は早い時間に銭湯に行く。それから、決まった大衆飲み屋食堂のようなところで一杯やりながら夕飯を食べる。
夜は布団に寝ころびながら暗い明かりの下で老眼鏡をかけて文庫本を読み、疲れると老眼鏡をはずして伝統を消し、眠りに落ちる。
日常的に係わる人は、同僚の若い男くらいで、昼ご飯を食べるベンチの隣のベンチでいつも一人で食事をしている女性、道を歩いている妙なホームレスの男性、銭湯のおじいさんたち、夕飯を食べる店の店主や常連客は目に入る程度である。
休日は、ちょっと違う。部屋の掃除をする。コインランドリーに行って洗濯をする。古本屋に行って文庫本を買う。例えば幸田文の「木」。夕方はいつもよりちょっと良いカウンターのある飲み屋に行く。料理もおいしく、そこには綺麗で感じがよく歌がうまいおかみさん(石川さゆり)がいる。
趣味は種から生えた小さなもみじを自宅の室内で育てたり、フイルム写真で梢の写真を撮って現像して、気に入ったものを残しておくことだ。そして車の中での音楽鑑賞と読書である。
彼の生活は基本的に、単調なそれの繰り返しであるが、同僚の若い男性とガールズバーの彼女とのカセットテープのことでのやり取りエピソードや、姪のニコが家出して彼の家に泊まりにきて一緒にトイレ掃除に回って行動を共にしたり、裕福そうな妹が迎えに来たり、飲み屋のおかみさんに元夫(三浦友和)が訪ねてきて、その人と川べりで心を通わせたりする。
・・・
見ていると、この人の孤独な日常を感じてしまうが、
(ここまでで書きかけのまま終わっていました。時間がないので中断したまま年末の帰省をしてしまったようです。)
2025/1/18 以下に続きを書きます。
見ていると、この人の孤独な日常を感じてしまうが、彼はそれを自然に肯定的に受け入れて生きている。
それはまるで、自然の中に生えている樹木のようでもある。おかれた場所を受け入れて風や日光を気持ちよく感じて生きており、生命を脅かされることもない。
彼の過去には何かあったのかもしれない。本当はもっと社会の中で忙しく、優位な立場で戦うような裕福で頭脳も明晰な人だったか、そうなる可能性の高い人だったように推測される。
彼の父などは絶対にそういうタイプであり、息子もそのような道に進むことが当然と考えていたのであろう。
でも、彼はそのような道は選ばず、無理のない自然な生活の中に身を置いているのだ。
それは欲がなく、不満もなく、質素ではあるが生活費が足りなくて困るような状況でもなく、過不足なく満足できる有意義な人生なのであろう。
そういうのが、本来の生命の原点なのかな?
単調な毎日ながら、質素に清潔に丁寧に生きる。そういう当たり前のことが基本であり大切なことなのだ。
(年末に書きかけたまま放置していたことを思い出し、続きを書いてみましたが、日数が経って記憶も遠のいています。当時書こうと思った内容とは違うかもしれません。
今日、テレビで「役所広司さんが出ていた映画に出てきた透明のトイレ」って芸能人の人が言ってる公衆トイレが映っていて思い出しました。
一応ちょっとだけ加えてまとめたので、下書きで中段していたのを公開にしました。(1/18 記) )
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