プロ野球 OB投手資料ブログ

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ロバート

2025-01-15 13:46:25 | 日記
1997年
ナゾに包まれていたロバートがついにベールを脱いだ。あまりのスロー調整に、この日の朝「二十日までに投げなかったら催促する!」と放任主義が看板の東尾監督も気色ばんでいたが、その雰囲気を鋭く察知したのか、ブルペンで初の力投を演じた。「今日は60㌫の力ぐらいかな。徐々にペースを上げていくよ」と涼しい顔のロバートに、首脳陣は一様に安どの表情を浮かべた。台湾プロ球界セーブ王の前評判で入団したロバートも、キャンプではマイペース調整。投手陣の練習最後に行う長距離走はやらない。ブルペンでも毎日20球程度で終えていた。今キャンプで平均1000球程度投げている他の投手陣に対して、ロバートは約五分の一の通算200球。練習態度も日本球界に慣れようと必死のギブンス投手(31)とは対照的で、森繁投手コーチも「ギブンスの姿勢をもう一人も見習ってほしい」と苦言を述べていた。それが突然の変身ぶり。それも直球が握りを変えて三種類ある。この日は直球とチェンジアップだけだったが、歴代10位の251勝を挙げた東尾監督でさえも魔球に「スライダーとチェンジアップ、シンカーを投げていたみたいだな」と幻惑されたほどだ。森繁投手コーチは「直球でも三種類のサインを考えないとな」とロバート専用の特注サインを用意する構え。色めき立つ首脳陣を横目にロバートは「今後も球数は60‐70球程度。毎年こんなもんだよ」と最後までマイペース調整を貫くことを宣言した。日本人以上に日本的なギブンスにオレ流のロバート、二人の個性派助っ人がレオ投を救えるか?


ウワサの怪腕がついにベールを脱いだ。六回表、ネット裏でスピードガンを構えるスタッフ陣が突然、騒然となった。この回から登板したロバートの直球が、何とMAX150㌔も出たのだ。ブルペンでの本格投球が四日間しかないのに、この快投ぶりだ。ロバートは「自信が付いたと言うより最初から自信はあった」と不敵に笑った。マイペース調整に焦りを感じていた東尾監督も「報告通り。安心したよ」と満面の笑みだった。いまだブルペンでセットポジションを披露していないが、この日も三者凡退でお預け。森繁投手コーチは「本当は走者が出てセットから投げる姿を見たかったなあ」とぜいたくな悩みに頭を抱えて見せた。一様に安どの表情を見せる西武首脳陣に対し、ネット裏で警戒心を突よけたのが青波スコアラー陣だ。「真っすぐに速球だけではない。この日の変化球はカーブ主体で、スプリット(SFF)が1球だけ。この他に握りを変えた三種類の直球にフォーク、チェンジアップと七色の球種を持つ。「イチローもニールもなかなか打てんだろう。マーク?それどころじゃないな」と岡田スコアラーはペンを走らせるのに忙しかった。昨年は台湾・兄弟で一年間プレーし、最多セーブと最優秀防御率に輝いた実績の持ち主。「日本、米国、台湾とどこでも自分の制球力と速球があって、失投がなければ抑えられる」とロバートは胸を張った。ちなみに昨年の被本塁打はゼロだった。「本塁打なんてだれでも打たれるよ」と余裕の表情で笑った。

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