1966年
「日本のプロ野球のレベルは予想外に高かった」と、はやくも壁にぶつかった感じの韓国出身の李源国(東京)投手。永田オーナーじきじきのスカウトで、「第二の張本」を目標に来日以来、腕を磨いている李だが、最近は登板する度に早い回に打ち込まれ、スゴスゴとマウンドを降りてくるシーンが多くなった。一日現在、7試合に登板して1勝3敗。だがピッチング内容は日増しに悪くなっている。通算26イニング1/3投げて被安打30、失点16の自責点15防御率5.19は一寸お粗末。コントロールが甘いため、手加減したような投球ぶりでは「韓国随一の速球」も威力半減。このためまだ三振は8個しか取っていない。三十一日の対東映九回戦(東京)では大張り切りで先発したものの、先頭の高島正にいきなりホームランされ、二回にも集中打を浴びて一挙に4失点。東映の各打者は「体はでっかいけど、まだ攻め方が単調だし、投げ込むのが精一杯という感じだから威圧感なんか全然ないョ」と辛い採点。李の前途はこの分だとかなり多難である。しかし、植村ピッチング・コーチら首脳陣は、この不出来をそれほど気にしていない。「まだフォーム堅めの段階だし、相手バッターを研究して投げるところまでいっていないんだから仕方ないョ。大成するためには打ちこまれて、自分自身の体でピッチングを覚えるのが一番・・・」とやや負け惜しみのきらいはあるが、大きな目で見ている。