私は、九想話を書くとき、
自分のことをあらわす場合、
「おれ」と「私」を使い分けている。
書くとき、いつも悩みます。
以前は、全部「私」だった。
このほうが、あたりさわりがなく、気が楽だった。
しかし、気軽な、たわいもない話を書くときにも、
「私」ではなんかかたく、文章のバランスがとれないな、
と思い、それからはときどき「おれ」を使っている。
「ぼく」というのは、謙虚でいいな、と思うのですが、
田舎育ちの私は、口が裂けても「ぼく」なんて書けません。
先日、居酒屋の楽家で、
一家言持っているKさんに、このことをいってみた。
「そりゃ、基本的には『私』ですね。
『おれ』に対するものは、『おまえ』だ。
だから『おまえ』といえる相手にだけは『おれ』といっていいが、
それ以外には、『私』を使わなければだめだ」
といわれてしまった。
ものすごく説得力がって、
もう「おれ」と書くのはやめようかな、と考え込んでしまった。
しかしなァ、私の実生活で、
「おまえ」といえない人にも「おれ」といっている。
「おれ」と「私」にとって、難しい問題です。
今日、定時に帰ってきて、
まだ女房が帰って来ていない居間でテレビを観ていたら、
テレビ朝日のJチャンという番組で
「パラサイトシングル」を、特集していた。
「結婚まではパラサイト〝だってラクだもん〟
何ともはやの若者急増」
ほんとうに多いんですね、パラサイトシングル。
おれなんて、家から出たくてしょうがなかった。
だって、実家には自分の居場所がなかった。
現在は、みんな豊かになり、
子どもも自分の部屋を持っている。
自由な空間があり、
食事、洗濯なんでもやってくれる母親がいるんだから、
なにも家を出ることはない。
これはいいことなのか?
解説の人がいっていた。
生活に不満の少ない若者は、保守的になる。
その通りだと、九想も思う。
あまりいいことではない。
なんてことを考えてたらわが家にも、
パラサイトシングル予備軍が2人いる。
大学を出たらおん出そうかな。
まてよ。
考えたらおれが“パラサイト世帯主”だったりして。
おれが先に家を出ようかな。
昨日観たNHKの「プロジェクトX」はよかった。
液晶ディスプレーにかけた男たちを描いていた。
世界で初めて液晶表示の実用化に成功したのは、
シャープの日の当たらない境遇にあった技術者たちだった。
和田富夫さんという人が、その中心人物だ。
ある開発をしていた当時係長の和田さんは、開発に失敗し、
グループは解散させられ、管理部に移動になった。
3年後、液晶というものをテレビで観て、
「液晶の開発をしたい」と上司にいう。
その頃電卓が生まれ、その表示に液晶を使うことを提案した。
そのいきさつをメモしきれず、うまくここに書けないが…。
そうだ、こんなことがあった。
1人の研究員が、その頃高価だった液晶の、
容器の蓋をするのを忘れて家に帰ってしまった。
だめになってしまったか、と思ったが、
高価なものだから、捨てずに実験に使ったら、
それがいいはたらきをした。
いろいろなことがあり、実用化できることになった。
液晶の表示板を作る装置を、頼みに行ったとき、
今契約してくれるなら、造ろうということをいわれた。
そのとき和田さんは、独断で2000万円の契約した。
もし、会社の承諾が得られなかったら、
自分で払おうと覚悟した、という。
帰って上司に契約のことをいうと、
「責任はおれがとる」というようなことをいってくれた。
いい上司だな。そんな人の下で私も働きたい。
そんなことがあり、電卓に液晶表示板が載り、
その電卓は、爆発的に売れた。
朝、6時半、いつものように、
ポケットラジオを聴きながら蒲団をたたんでいると、
河島英五が死んだ、とアナウンサーがいった。
48歳だった。
知らなかった、私より1歳年下だったなんて。
彼の歌は、21、2の頃、
よくギターを弾いてうたっていた。
「酒と泪と男と女」
あの頃の私の気持ちにぴったりだった。
そのあとの、「時代おくれ」「野風増」は、
私のカラオケのレパートリーです。
もう息子たちが二十歳になってしまったので、
少し想いが弱くなりましたが、
二十歳になる前は、「野風増」をよくうたっていた。
45歳を過ぎると、ぽつぽつ亡くなる人がいる。
私なんか、いつ死んでもおかしくない。
慢性の睡眠不足、酒は毎日寝るまで飲み、
煙草は吸えるときはいつも吸っている。
こころには鬱がのさばり、
自己嫌悪光線で自分を痛めつける。
私は、べつに早く死にたくて、
こういう生活をしているわけではない。
九想というばかものが生きていくためには、
しかたないんです。
今夜、NHKの「地球・ふしぎ大自然」
「奇跡のガラパゴス・イグアナただいま進化中」
という番組を観た。
今、ガラパゴスには、
新しいイグアナがいるそうです。
遺伝子で調べたら、
ウミイグアナとリクイグアナのハーフだそうだ。
エルニーニョ現象で海水の温度が上がり、
ウミイグアナの食べる海草が激減して、
ある島では、ウミイグアナは90%ほど死んだそうです。
ウミイグアナのやせ細った姿が映ってました。
それで、なんとか生き延びたいやつが陸に上がった。
海草だけを食べていた彼が、陸の草を食うんですね。
それで、子孫を残したい一心でリクイグアナをナンパした。
結果、生まれたのが新種(?)のイグアナだという。
でも、そうして生まれたハーフのイグアナは、
まだ20匹ぐらいだそうです。
そのイグアナが繁殖しないと、「新種」にはならない。
どうなるんだろう。
新種になったら、なんて名前になるんだろう。
ウミの「ウ」とリクの「リ」をとって、
「ウリイグアナ」がいいなと、
私は提案します。(よけいな、おせわですね)
しかし、そもそもウミイグアナは、食料の貧しい陸に住む
リクイグアナが海の豊富な幸を求めて進化してなったという。
それが、また陸に上がるとは、
自然って面白いな、としみじみ思った夜でした。
4月15日は、女房の誕生日でした。
朝食を食べてるUに、
「今日はなんの日?」
と、わが愚妻が訊く。
「え~と、だれかの誕生日?」
「だ~れだ」
無言で、Uが女房を見つめる。
「そうよ、ママの誕生日よ。何もいらないから、
『ママ、誕生日おめでとう』っていって」
「…おめでとう」
と、Uがいう。
「『ママ、誕生日おめでとう』って、いって」
しつこく、愚妻が食い下がる。
「いえないよ」
といって、Uは素っ気なく自分の部屋に消えた。
夜の9時頃、Kが台所に来た。
「K、今日は何の日か知ってる?」
女房がテレビの前からいう。
「えっ。なんの日だっけ」
「ママの…」
「誕生日か」
「K、何もいらないから、
『ママ、誕生日おめでとう』っていって」
「そんなこと、二十歳過ぎていえないよ」
「なんで~。ママっていって」
「いえるわけないよ」
今日は、テレビで大リーグを観た。
レッズXメッツには、新庄が出て、
マリナーズXエンゼルスには、
イチロー、佐々木、長谷川が出場した。
たまりませんね。
大リーグにはうとい九想も、
夢中で観てしまいました。
今日の新庄はすごかった。
4安打にフォアボール。
どうしちゃったんだろうね。
阪神ファンのおれとしては、複雑な想いです。
イチローは1安打だったけど、
守備でオトコを上げたなー。
初めてプレーする球場で、
あのフェンス間際でのファインプレー。
エンゼルズの長谷川が出てきたときは、
イチローと対戦するかな、とドキドキした。
そして、昔オリックスの同僚だった2人が、
大リーグの球場に立ったときには、
こころが震えました。
大リーグの初対戦では、イチローが勝った。
しかし、佐々木は残念だった。
9回裏でホームランを打たれて、負け投手になった。
おれは、こころうなだれていたら、
長谷川が勝利投手になったと、アナウンサーがいった。
長谷川も好きなピッチャーです。
こういう試合は、観ていて複雑です。
でも、うれしいです。
申し訳ありません。_●_
こういうわけで、昼間ホームページのこと
何もしていません。
夜、やっとひとつの小説追加しました。
さっき見てみたら、
アクセスカウンターが「160」になっていた。
(このうち、20くらいはおれなんだけど)
1週間でこの数字は多いのか少ないのか分かりませんが、
うれしいです。
これまで、友人や昔メール交換した人にメールを書いて
九想庵のことを知らせた。
ASAHIネットの会員のページにも登録した。
「さぶみっといっと」というHPで、
いろんな検索エンジンに登録した。
(登録されるまで、10日間ぐらいかかるらしい)
毎日、九想庵を更新している。
9時頃寝て、11時頃に起きて、
深夜4時ぐらいまでやっている。
ばかですね。
眠いです。いつも睡眠不足バージョンの九想です。
でも、燃えてます。
明日は久しぶりに土曜日が休みなので、
いろいろやります。
小説を増やしたいし、「転びすぎ」も載せたい。
これまでの「九想話」もUPしたい。
「九想庵のいろり端」という掲示板を作りました。
九想庵に掲示板は考えていなかった。
メールで感想などもらえたらいいな、
と考えていたのですが、
なかなかメールを書いてくれる人はいないんじゃないか、
と思うようになった。
それで掲示板でも作ってみようと考えたのです。
でも、見るたびに何も書いてなかったら、
寂しいだろうな。
でも、作っちゃいました。
よろしくお願い致します。
昨日、以前ここに書きました「ほぼ日刊イトイ新聞」に
連載しているガンジーさんからメールが来た。
実は、3日前からガンジーさん宛に毎日メールを書いている。
ガンジーさんが書いたことに対して、そのつど感想を書いている。
少しでも、あのひとにつながっていたいという想いからです。
そのひとからメールが来るなんて。
「ほぼ日刊イトイ新聞」は、どのぐらいの人が読んでいるのだろう。
かなりのひとが、ガンジーさんにメールを送っていると思う。
今日の書き始めはこうだった。
> 動機付け、って漬物はどうやって漬けるんだろうね
ガンジーさんの文章は、機転がきいてて知性があり、
おまけに“ダジャレ”がトッピングされている。
ガンジーさんて、すてきなんです。
日曜日(4/8)5時前、図書館から帰る車の中で、
ケータイがなった。
車を運転中にはケータイをとらないようにしているが、
女房からの電話かなと思うとそうもいかなく、
赤信号で停まったときに、携帯電話をとった。
「今どこにいんの」
「図書館からの帰りの車ん中」
「ごめん、こっち来るとき、瞬間接着剤持ってきて」
「なんで」
「フラメンコの靴の底が剥がれたの」
「どこにあんの」
「電子レンジの棚の下の引き出しの中、
昨日買ってきたのがあるはずだから。
受付に渡しといて。開演前に大丈夫?」
「分かった。持ってくよ」
我が家の電子レンジは、
昔使っていたパソコンラックにのっている。
プリンターをのせる場所には、
コーヒーメーカーとトースターがある。
家に帰って、引き出しを探す。
瞬間接着剤はあったが、古そうだった。
他のを探したがない、5時を過ぎてたので諦めた。
新所沢発5時23分の電車だった。
6時30分開演に間に合うかな、と不安になった。
6時15分に中野駅に到着。
ゼロホールへ向かって必死に早歩き。
人混みをかき分けて、受付の女性に話すと、
楽屋に行ってくれ、といわれた。
外に出て探したが、楽屋が分からない。
ケータイを取り出し電話する。
「今、受付に渡そうとしたら、直接持っていって、
といわれたんだけど、楽屋が分かんない」
といった。6時20分。
結局、ホールの中に入り、渡せた。
しかし、ケータイが鳴る。
「これ古いやつで使えないよ」
と女房が泣き出しそうな声でいう。
ああ…、昔、逆なことがあったな、と思った。
結婚した頃、職場の人たちが祝いのパーティを
開いてくれた。
そのとき、お礼にケーナを吹こうと思い、
女房に持ってくるようにいっておいた。
いざそのときがきて、女房にケーナを出してくれ、
というと、それは、篠笛だった。
あんときは、腹がたったな。
でも、同棲したばっかりだもの、
ケーナも篠笛も分かんないよな。
女房のフラメンコは、うまくなりました。
ほんと、オセージではなくさまになっていた。
始めた頃は自信がなく、ただフラメンコの振りをまねしてる、
という感じだった。
あのうまさの陰に、おれの苦労がある。
練習の日、おれは息子のメシの心配をし、洗濯をし、
乾いた物を取り込んでたたみ、台所の食器を洗う。
これは残業をして家に帰ってからのことだ。
晴れやかに、すまして踊ってる女房を見ていて、
おれは、胸が熱くなった。
涙なんていうやつも出てきやがった。
いやな会社を我慢してきた彼女。
昔のことも想った。
双子の息子たちが小さかった頃、
ギャーギャーいって世話してたあいつ。
おれが転職するたびに、
「こんどの会社、いいとこだといいね」
といってた女房。
「私、これだーってものがないんだ」
といい続けてやっと見つけたフラメンコ。
若い子たちに混じって、謙虚に踊ってる43歳のおばさん。
デジカメで撮るには遠すぎる座席で、
おれは、女房の姿を追い続けた。
写真の一番左が女房です。