○福岡高裁 事件番号平成20(行コ)22 裁判年月日 平成21年02月04日
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国有財産法に基づく境界確定協議は,行政庁と隣接地所有者とが対等の立場で協議することが予定されているもので,私法上の契約の性質を有するものであり,行政庁の優越的地位に基づいてなされるものではないと解されるところ,法律によらなければその効果が付与されない性質のものとは解されず,国有財産の場合と公有財産の場合とで,法律の有無によって,その法的性質が異なるものとは認められない。
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あなたの土地の隣に、市道、国有地、個人が所有していないあぜ道や水路が存在する。そういった場合、行政が「上から目線の処分」をすることは出来ない。土地の境界に関して、行政は一方的に境界を決めるといった優越的地位に立っていない。境界を確定するための協議は「私法上の契約」と同じものであり、あなたの同意がなければ成り立たない。
次に。
○旧法定外公共物に関する境界確定事務等取扱要領
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5 境界確定を行う土地の範囲
境界確定は、原則として、旧法定外公共物と隣接土地との境界を確定することにより行うものとする。
なお、以下の場合のほか、財務局長が適当と認める場合においては、対側地の境界線の確定は要しない。
① 土地区画整理事業、土地改良事業及び国土調査法に基づく地籍調査が完了している地域
② 道路査定図等公共物管理者の保有する資料により、境界が明確な場合
③ 過去において、対側地の境界確定が完了している場合
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例えば、あなたの土地が里道に接している場合。
里道の境界確定をすることで、あなたの土地と里道との境界が確定する。同時に、この里道の境界確定をすることで、里道を挟んだ反対側の土地(対側地という)の境界も確定する。そのため、対側地の所有者の同意も必要となる。
対側地の所有者にとって、自分の知らない所で自分の土地の境界が勝手に確定されてしまうことを防ぐためのルールだ(ただ、このルールは旧法定外公共物という国有地のルールなので、自治体所有の土地についてはそこのルールがあるかもしれない。)。
ただ、これは原則。原則があるところには例外がある。
何らかの理由で、里道と対側地の境界が既に確定しているのであれば、対側地の所有者の同意は不要となる。区画整理事業や国土調査が既に行われていれば、その資料に基づいて境界を決めても「知らないところで勝手に決められた」ということにはならない。
既に境界を判明させるための資料がある、という例外的な場合を除いては、対側地の所有者の同意が必要だ。