若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

お手盛りの次は飴玉モゴモゴ また緒方夕佳さんですか? ~熊本市議会のトラブルメーカー~

2018年10月01日 | 地方議会・地方政治
熊本市議会の「子連れ市議」こと緒方夕佳さんについては、以前に
この人は合議体である市議会の議員には向いていない
という指摘をした。
(そういう意味で、当ブログでは「緒方市議」ではなく「緒方氏」と呼ぶ)

前回は子連れ市議会、今回はあめ玉市議会。
どうやら、トラブルメーカーな性格は相変わらずのようだ。


【あめをくわえてた事がそんなに悪いのか、という方へ】

経緯を見ていこう。
熊本市議会 緒方市議あめをなめながら登壇で紛糾 - FNN.jpプライムオンライン
======【引用ここから】======
午前10時に始まった市議会、議案の採決を前に請願の扱いをめぐり緒方議員が登壇、1時間近くが経過したとき、緒方議員が飴玉を口に入れたまま登壇し質疑を行っていたことが分かり議会が紛糾。
======【引用ここまで】======

この日の市議会本会議には、事前通告に基づき緒方氏の発言が日程に組み込まれていた。

○平成30年第3回定例会質疑通告(7件の請願の審査に対する質疑通告)
○平成30年第3回定例会討論通告(7件の請願に対する賛成討論通告)

項目が多く、見るからに長時間になりそうな質疑通告。
実際に、トラブルが起きた時点までで1時間を費やしている。
さらに討論まで予定されている。

他の市議達が

「この人は一人で何時間喋るつもりなんだ。」
「『採択すべきでは』という内容なら討論で述べるべき。この内容を質疑で喋り、しかも別枠で討論もやるのか。」
「同じ内容の繰り返しじゃないか。」

とウンザリしている中、あめ玉をくわえたことで

「傍聴者もおり、区役所でモニター中継もされ、録画して後日ネット上でも公開されるのに、あめをくわえながら演説するのは市民に対し失礼ではないか。」
「あめ玉モゴモゴをyoutube配信するために請願を審査してきたのか。」
「あめを舐めてるのか、市民を舐めてるのか。」

と、総ツッコミ状態になったであろうことは容易に想像される。
緒方氏は「咳き込むから~」と言い訳していたが、

「自席であめを舐めて喉をケアしておき、演壇に立つ前に包み紙に出す」
「あめをくわえながらではなく、咳き込みそうになった時に備えてペットボトルのお茶を手元に用意しておく」
「議長に対し、あめをくわえながら演説することについて事前に了解を得ておく」

といった、演壇で演説する人間としての配慮は全くない。
しかも、

 議場において議長や他の市議から指摘されても態度を改めない。
 本会議中断中に議会運営委員会で批判されても謝罪をしない。
 さらには懲罰特別委員会で決定した陳謝文の読み上げも拒否。

こうした一連の対応の結果として、最終的に出席停止処分となっている。
今回の騒動は、

「緒方さんがあめ玉をくわえているぞ!出席停止だ!」

といきなり出席停止になったわけではない。
段階を踏んでいった結果の出席停止処分である。
あめをくわえていたことが直接の理由というよりも、議長の議事整理権に基づく注意や懲罰特別委員会の決定に背いて議事を混乱させたことにより処分が重くなったと考えるべきだ。

【地方議会は信頼関係で成り立つ「合議体」】

演壇で喉あめ、出席停止=「子連れ市議」に―熊本市議会(時事通信) - Yahoo!ニュース
======【引用ここから】======
 議会運営委員会は「社会人としての常識を逸脱している」などと批判し、緒方氏に謝罪を求めたが、同氏は「品位を尊重しているが故に行った」として拒否。その後懲罰委が設置され、出席停止を議決した。この騒動で本会議は約8時間中断した。
======【引用ここまで】======

もし、この議会運営委員会の段階で

「すみませんでした、今後気をつけます。」

と謝罪しておけば、本会議は空転せず、懲罰までには至らなかっただろう。

なお、他市の例を見ても、物を食べながら議会に出席し発言をするのは注意を受ける対象となる。このこと自体は、社会通念に照らしても当然のことだ。

「のど飴」で議会を退席に。乳児同伴で話題になった熊本・緒方夕佳市議に真意を聞いた。
======【引用ここから】======
ほかの議会では?品位って何だろう

議会と飲食については、2009年に奈良市の仲川げん市長が、答弁中にガムを噛んでいたことで物議を醸したことがある。この時は、議会終了後に議長から注意を受け、市長が謝罪した。議会の中断や、退席といった処分に付されることはなかった。

======【引用ここまで】======

これについて、会議中に注意を受けるか、会議終了後に注意を受けるかは、会議の進行状況や当事者間の信頼関係の程度による。どの段階で注意を受けるにせよ、最初の注意を受けた時点で謝罪しておけばここまで大事にはならなかったであろう。
奈良市の市長は注意を受けて謝った。しかし、緒方氏は謝らなかった。

もし、この市議会の議長と緒方さんとの間に市議としての信頼関係が構築できていれば、他の市議から苦情が来ても、議長が他の市議に対し

「緒方さんに対しては、会議終了後に議長から注意しておきますから。」

と伝えて穏便に済ませることができたであろう。
また、信頼関係を構築できている市議が他にいれば、

「注意で済ませませんか。懲罰特別委員会の設置までする必要があるでしょうか。」

と擁護する意見も出たんじゃないかと思われる。
しかし実際には、他のどの市議も緒方さんを擁護しようとする動きを見せなかった。

熊本市議会 緒方市議あめをなめながら登壇で紛糾 - FNN.jpプライムオンライン
======【引用ここから】======
緒方議員を除く全員の賛成で設置された懲罰特別委員会で緒方議員に対して『公開の議場における陳謝』とすることが全会一致で決定しました。緒方議員は再開した本会議で「お断りします」と懲罰特別委員会の決定には応じず陳謝文の読み上げを拒否しました。
======【引用ここまで】======

老若男女問わず、保守・リベラル問わず、自民会派から共産会派、他の一人会派に至るまで、全員賛成で懲罰特別委員会の設置を決めている。

振り返ってみるに、緒方氏は、前回の子連れ騒動の時に、熊本市議会議員として年収1000万円を超えているにも関わらず
「自費のベビーシッターではダメなんだ。税金で私のための託児施設の整備をしろ」
と熊本市議会事務局に圧力をかけていた。
このような自分への利益誘導、醜いお手盛りを平然と行い、マスコミの前でパフォーマンスをする姿勢は、他の市議の不信感を募らせたことだろう。子どもをダシにして懐を肥やそうとする人間は最低である。信頼関係構築とは程遠い状況だ。

だから言ったでしょう、緒方氏は市議に向いてないんだって。
市議会は合議制であり、他の市議と交渉し合意形成できる性格・能力がなければどうにもならない組織なのだ。

【緒方さん寄りの市民団体の主張について】

さて、そうこうしていたら出てきました「市民団体」ですよ。
”のどあめ議会”市民団体が要請|NHK 熊本県のニュース
======【引用ここから】======
これをめぐって、熊本市の市民団体「熊本市自治基本条例をより良くする会」が1日、熊本市役所で記者会見を開き、議会の対応を批判しました。
この中で団体側は「議員はせきが出ないようのどあめを使っていて、懲罰には法的な正当性がなく議会の決定は納得できない」と訴えました。
また、審議が中断された時の議員の質疑は、団体が提出していた議会改革の実施を求める請願に関するものだったとして、「本会議を招集し、議員の質問や請願の採決などの手続きを再び行うべきだ」と訴えました。
このあと、団体のメンバーは、議会事務局を訪れ、主張をまとめた文書を議長などにあてて提出しました。

======【引用ここまで】======

私から言わせてもらえば、請願の紹介議員が市議会内での信頼の薄い緒方氏という時点で、この市民団体の負けである(笑)。そして、この市民団体は、緒方氏ではなく、共産党会派なりリベラル系会派なりに改めて紹介議員を頼んで出直した方がいいと思う。

この市民団体の主張のうち、気になった点が二つ。

一つ目は、
「懲罰には法的な正当性がなく議会の決定は納得できない」
という点について。

地方自治法は、議会の自律性を重視している。議場の秩序維持を目的として、議会に対し所属する議員に対する処分を行う権限を認めている。そして、議員の身分の得喪に関する処分(除名処分など)以外の処分については、議会の自律性を重視する観点から、司法審査の対象とはならないとされている。裁判では、今回の出席停止処分について法的な正当性を争うことは出来ない。

このため、熊本市議会としては、この市民団体の主張を無視、黙殺してしまっても構わない。
丁寧に対応して納得を得ようということあれば、市民団体から提出された文書に回答するという形で、今回の経緯をまとめた説明文を作成して市民団体に送付する方法を採ることになろう。説明文を送って、それでおしまいである。

二つ目は、
「本会議を招集し、議員の質問や請願の採決などの手続きを再び行うべきだ」
という点について。(これも無理筋だな~)

この件は、地方自治法の再議の類型には該当しないと思われるし、市長が緒方氏の肩を持って再議権を行使するとも思えないので、「手続きを再び行う」という場面は生じない。
この市民団体が請願事項の実現を本当に望んでいるのであれば、質問や採決などの手続きを再び行うことを求めるのではなく、緒方氏ではない別の市議に紹介議員を頼んで(笑)、新規に別の請願として提出するしかない。
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3 コメント

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ユーチューバ―議員 (ぽんすけ)
2018-10-02 20:29:44
明晰かつ冷静な内容で、全く同意です。
そもそもこの問題議員、トラブルを敢えて起こして注目を得るだけ(しかも何も実を得ない)という発想が、ビュー数至上のユーチューバ―と一緒。議員として何がしたいのか全くわからない。せいぜい好意的に考えても何かの人格障害ないし真性の●鹿なのかもしれません。
こんな議員に請願を託そうとする自称市民団体も同じ穴の貉で、トラブルを起こして楽しむ程度の脳みそしか無いんではという気がする。
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Unknown (Unknown)
2018-10-19 19:08:55
そういう馬鹿ともうまくやってくための合意形成です。馬鹿にしているだけでは何の改善にもなりません。アサーティブの精神と交渉の技術にかけています。
返信する
Unknown (傍聴者)
2024-03-01 19:12:18
のど飴を舐める騒動前の経緯は理解出来ました。
長時間の発言が問題であれば、発言内容のまとめ方を注意するか、簡潔な内容の発言を求めるべきだったと思います。
周囲の議員さんの気持ちは理解出来るのですが、ここでのど飴を指摘するのは言い掛かりと指摘されても仕方がない運営側の落ち度の部分と感じました。
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