若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

増税・社会保障拡充にNo! ~ 稲富観察 ~

2012年12月27日 | 政治
○【衆院予算委】稲富議員が「借金大国」作った先送り体質を批判、一体改革への総理の決意問う - 民主党
=====【引用ここから】=====
 稲富議員は、わが国がこの20年間で国債残高を大幅に増加させた原因が「政治の無責任と先送り体質」にあると総括し、「社会保障を充実するなら負担もお願いせざるを得ない」と指摘。これに対して安住淳財務大臣も「与野党とも税の負担を国民にお願いするのはまことにつらい話なので、均衡した歳入・歳出を守っていくのではなく、税負担はなるべく避けて国債発行という安易な道に逃げてきてしまったためにこれだけの借金を作ってしまった。個々の党の問題というよりも、結果責任はお互いにあるということを踏まえて3党合意に至ったことにはその重みがある」と答えた。
=====【引用ここまで】=====


○7月9日の国会活動報告:予算委員会にて質問 - 衆議院議員 いなとみ修二「変えないかん!!!」
=====【引用ここから】=====
(1)子ども・子育てについて
稲富:増税だけをして社会保障は何もしないんじゃないかという議論がある。この子ども・子育て0.7兆円は、大変大きな財源を使う今回の目玉の一つだ。これにより、仕事と子育てを両立している親御さんたち、一体どういう希望が持てるのか、どういうことを期待できるのか。

小宮山大臣:新たな制度の中では、保育の量と質を確保したい。今回、総合こども園という形はとらないが、先駆的な仕組みであった幼保連携型の認定こども園また保育所、こうしたところを、認可制度を前提にして、大都市部で保育の需要が伸びている、待機児が生じていることに対して機動的に対応できるような仕組みを導入する。また、地方なども含めて、小規模な保育だと家庭的保育の財源が足りなかったので、ここに地域型の保育給付という形で財政支援をしっかりするということで、保育の需要にしっかり応えられるようにしている。また、市町村が潜在的なニーズを把握できていなかったものについてしっかり把握をし、それをもとに学校教育、保育が充実できるようにと考えている。また、待機児は0~2歳が多いが、そこを子ども・子育てビジョンに基づき消費税で財源を入れる。予定どおり、平成29年度までに44%達成できるようにするなど、充実をしていく部分の目玉が子ども・子育て支援だ。子供にとっての保育、そして幼児期の教育の質と量の確保をしっかり達成できる体制になっていると考える。

(2)年金について
稲富:今回の改正の中で、支給要件25年を10年にするとなっている。これまでは、24年11か月保険料を払ったとしても、一銭も年金はもらえないという制度だった。これは諸外国と比べてもかなり長い支給要件。それを10年にするということは極めて大きいのでは。この点で何が変わるのか。

小宮山大臣:無年金者を減らし、なるべく保険料の納付を給付に結びつけるということで、資格期間を短縮する。これで現在42万人と推計されている無年金者のうち、およそ17万人が年金を受給できることになる。

稲富:低所得者や低年金の方々に対する給付が三党合意で決まった。約5600億の予算と伺うがどんな内容か。

小宮山大臣:政府案としては年金の中で仕組みを考えていたが、今回の三党合意で年金の枠外で福祉的な給付措置を講ずるということになった。その内容は、65歳以上の老齢年金の受給者、障害基礎年金、遺族基礎年金の受給者を対象とするということ、給付額は月額5000円を基本として保険料を納付した期間に応じて決定すること、また、保険料の免除を受けた期間がある低所得高齢者に対しては、老齢基礎年金満額の6分の1を基本とする給付を別途行うということである。この措置による所得の逆転を生じさせないように、低所得高齢者の範囲に該当しない人についても補足的な給付を行う。

稲富:この給付は障害者も対象。ぜひ、充実をしてほしい。今の年金、子育て含め、今回の法案の中では、例えば基礎年金の国庫負担二分の一の充当、あるいはパート、アルバイトの25万人の方々に対して厚生年金に加入をいただく、あるいは被用者年金一元化で官民格差をなくしていく、あるいは産休中の方々の保険料を免除する等々、生活者の視点に立つと極めて大事な社会保障の改革が入っている。したがって、社会保障が進まないというご批判は全く当たらないと思う。勿論十分でないこともあるが、むしろそれを一歩として次に進めていくということが必要だと思う。よろしくお願いいたします。

=====【引用ここまで】=====




民主党税制調査会事務局次長として、消費税増税を主導した一人、稲富修二。ほんのわずかだが縁のあった政治家ということで、ちょいちょい観察していた。
(過去記事)
○困った時は、稲富さんに聞いてみよう ~ だって福岡人だもの ~ - 若年寄の遺言
○稲富ヲチ ~ 現金に近い形? ~ - 若年寄の遺言

毎度のことながら、この人には失望させられることばかり。


稲富議員は、わが国がこの20年間で国債残高を大幅に増加させた原因が「政治の無責任と先送り体質」にあると総括

この箇所はそのとおりなのだが、


「社会保障を充実するなら負担もお願いせざるを得ない」と指摘


なんで、社会保障の充実ありきで喋ってるの?

今まで、税収に見合わない社会保障給付をやってきたから、国債残高は大幅に増加した。前政権の莫大な負債を背負った状況からのスタートだったのよ、民主党は。

この状況で採りうる選択肢は、
「社会保障給付を大幅に削減して消費税据え置き(or減税)」か、
「社会保障給付を据え置き(orやや削減)して消費税増税」
だと思うのだが、この人は
「社会保障の充実と消費税率倍増」
という、私からすれば有り得ない選択肢を提示した。

いや、選択肢を「提示」というのは不正確だ。
決める前に提示するのではなく、選択する前に決めてしまったのだから。

2009年の総選挙の際には、これら選択肢を提示していなかった。こうした大きな方向性は、それこそ総選挙で納税者が判断すべき最重要課題であるはずだが、方向性を決めた後で解散・総選挙を行ってしまった。

2009年の時は、有権者には増税のぞの字も言わず、だんまりを決め込んで当選。そして、当選してから「社会保障を充実するなら負担もお願いせざるを得ない」としゃあしゃあと言ってのける神経の図太さ。

社会保障を進めたことで、この国は行き詰った。田中角栄の福祉元年で社会保障費は増大し、不足した分を赤字国債で埋めてきた。増え続ける社会保障費をどうにか抑制しないといけないのに、逆に充実させるとか、正気とは思えない。

「消費税率の引き上げで景気が冷え込み、消費が落ち込み、税収が見込み程は伸びませんでした。一方で、社会保障給付のメニューを拡充して、予算どおりの支出を行いました」
・・・なんてことは、十分に考えられる。こうなった場合、支出と税収の差、不足分はどうするか。結局、赤字国債で補うことになる。これはまさに、「政治の無責任と先送り体質」だ。自民党の無責任体質を非難した民主党は、全く同じ無責任さを発揮した。30代で当選した若手議員が、田中角栄と同じ方向性で、無責任な社会保障拡充を進めようとしたのだ。

国債残高がこれだけ積みあがった状態での、社会保障給付の拡充、という無責任。
選択肢を国民に提示することなく、選挙の前に決めてしまう、という無責任。

自身のホームページで、
日本の将来にわたってどうすれば繁栄できるか、国を潰してはいけない、先輩世代から受け継いだ素晴らしい日本をこの子たち次の世代に引き継がなければならない、このことを最優先の判断基準にしてきました。次世代に素晴らしい日本を引き継ぐ。未来への責任を果たす。私の政治活動は、全てそこにあるいます。
と言っているが、この人のやっていることは真逆。

今、社会保障給付を拡充しても、将来の保障には全く結びつかない。むしろ逆。今、社会保障を拡充して国債残高を増やせば、将来の社会保障給付を圧迫することになる。稲富修二が与党の税調として決めた方針。これが、今の子供世代の将来への重荷となるのは間違いないだろう。

(もっとも、次の自民党新政権が、リフレで赤字国債を実質チャラにしてしまうかもしれない。ただ、その時は事実上の財政破綻であり、「重荷」どころではないだろうが。)

こういう、社会保障拡充を主張する無責任な若手政治家は、これっきりにして欲しい。
今回、落選して本当に良かった。
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眠れる議会が牙をむく ~ 嘉麻市庁舎増設・移設問題 ~

2012年12月26日 | 地方議会・地方政治
嘉麻市役所の位置を定める条例の一部を改正する条例について
=====【引用ここから】=====
   嘉麻市役所の位置を定める条例の一部を改正する条例(案)
 嘉麻市役所の位置を定める条例(平成18年嘉麻市条例第1号)の一部を次のように改正する。
 本則中「嘉麻市上臼井446番地1」を「嘉麻市岩崎1180番地1」に改める。
   附 則
 この条例は、規則で定める日から施行する。

=====【引用ここまで】=====


シンプルな条文だが、これがとんでもない事態を引き起こすことになった。



○話題:市役所住所に庁舎なし- 毎日jp(毎日新聞)2012年12月19日
=====【引用ここから】=====
 福岡県嘉麻市議会が18日、市役所の場所を現在の本庁舎から約4キロ離れた稲築(いなつき)多目的運動広場に変更する条例改正案を議員提案し可決した。市役所は合併前の旧4市町の庁舎に分散しており、本庁舎は旧碓井町にある。市、議会とも統合を検討していたが、市が正式決定しない間に市議会が先手を打つ異例の事態となった。
=====【引用ここまで】=====


○福岡県嘉麻市議会、庁舎移転を突然可決 増改築主張の市長は反発 / 西日本新聞
=====【引用ここから】=====
 嘉麻市は2006年、山田市と嘉穂、稲築、碓井の3町が合併して誕生。合併時の暫定措置として、旧碓井町役場を本庁舎とし、他の3地区に分庁舎を置いている。暫定措置の期限は定めていないが、分庁舎方式は経費がかかりすぎるとして、碓井庁舎の増改築か、移転新築かの集約方法が議論になっていた。
 市が4月、コンサルタント会社に委託した調査結果によると、国の交付金などを除く今後30年間の市の実質負担額は、碓井庁舎の増改築が49億円(耐震改修費など含む)で最も高く、稲築地区の多目的運動広場での新築が36億円と最も安かった。
 松岡市長は地理的条件などを理由に、市中央部にある現本庁舎の増改築を主張。これに対し、議会側は旧稲築町への移転新築を進めたい議員が多数を占め、市側と対立。議会は昨年6月から、調査特別委員会で計7回の協議を重ねてきたが、「このままでは話が進まない」(議員)として、動議の提出に踏み切った。採決は賛成16人、反対6人だった。

=2012/12/19付 西日本新聞朝刊=

=====【引用ここまで】=====


○嘉麻市議会:新庁舎問題再議へ 市長、きょう申し入れ /福岡 毎日新聞 2012年12月21日 地方版
=====【引用ここから】=====
 嘉麻市議会で、市役所の所在地を変更する条例改正案が可決された問題で、松岡賛市長は20日、議会に再議を求める方針を決めた。21日に議会に申し入れる。
 同市は市役所庁舎として合併前の旧4市町の庁舎を利用しており、一本化が課題になっている。松岡市長は旧碓井町にある現・本庁舎の増改築を第一候補としているが、議会は旧稲築町の稲築多目的運動広場に新築するべきだとの意見が多数派だ。
 18日の市議会で、市役所の位置を稲築多目的運動広場に変更する条例改正案が議員提案され、賛成16反対6で可決された。「規則で定める日から施行する」との付則があり、即座に場所が変更されるわけではないが、事前の相談が全くなかった市側は対応を検討していた。

=====【引用ここまで】=====



そして・・・



○嘉麻市議会~定例会・臨時会の日程~
=====【引用ここから】=====
12月27日10:00から平成24年第3回嘉麻市議会臨時会が開催される予定です。
=====【引用ここまで】=====




嘉麻市議会議員の定数は22人。

過半数というと、11人。
再議決に必要な3分の2以上というと、15人。
前回の賛成者16人が再度賛成するのであれば、条例は可決成立することになる。

予算編成権、執行権を持たない議会が、数十億円の予算を伴う庁舎増設or移設の問題で、議会側が先に場所を決めてしまった。市長はどう対処するのだろう。

場所を定める条例を議会が作ったが、この条例の施行日は規則で定めることとなっている。議会は、条例を制定することはできるが、会議規則等を除き、規則を定めることはできない。規則を定めることができるのは市長である。

市長としては、施行日を定める規則を定めないままにしておき、その間に、予算案と庁舎条例の再改正をセットで提出するという手もある。ただ、これをするためには、市長が、議会提案で決まった今回の場所で賛成をした16人を、どうにかして切り崩さないといけない。切り崩し工作ができなければ、市長の意向に沿った予算案、条例案は否決されるだけである。

まずは、12月27日(木)の動きに注目である。議案質疑の中でどんな遣り取りがなされ、移設案と増設案、どちらに大義が示されるか。前回の12月定例会と、次の12月臨時会、会議録の中がとても気になるところである。

議会が受身でなく、ある種の主導権を持っているという意味で、非常に活発な議会である。これが、二元代表制の議会が持つ本来の実力なのだ。条例制定権を持っていると、こんなこともできてしまう。非常に大きな権限と、大きな責任を持たされているのが、地方議会なのだ。



(そして何よりも、仕事納めの直前まで本会議対応をしなければならない、議会の中の人。本当にお疲れ様でございます。)



~~~ H24.12.28追記 ~~~

嘉麻市議会~臨時会議決結果~
再議に付した結果、出席議員21名のうち、賛成14、反対7で条例は再度可決された。ぎりぎりの3分の2である。
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『自由への決断』というミーゼスの著作があるそうな

2012年12月11日 | 政治
○Amazon.co.jp: 自由への決断―今日と明日を思索するミーゼスの経済学 (1980年): ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス, 村田 稔雄: 本

ミーゼス読みを自称していたが、所詮、自称は自称。
これは知らなかった。
やっぱり、ミーゼスの著作は村田先生が翻訳されてるようで。

この本の存在を、こちらのブログで知った。

○自由への決断: リバタリアンは電気羊の夢を見るか

この方の凄いところは、要約まで作ってしまったところだ。
箇条書きで、ミーゼスの主張がとても分かりやすくまとまっている。

総選挙直前、テレビでは各党の政策を紹介している。各党が公約を作って、HP等に掲載している。併せてこの要約を読むと、面白いだろう。ただ、これを読むと、投票に値する政党、候補者があまりに少ないことに愕然としてしまうかもしれないが。
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