とある市役所のホームページに、「空き地に雑草が生えて困る」という相談が寄せられていた。
○空き地の草刈について
=====【引用ここから】=====
Q:空き地の草刈について 【2009年9月更新】
家の前に空き地があります。誰が所有する土地かは不明ですが、噂では遠方の方と聞いています。
さて、この空き地ですが、まったく管理されておらず、雑草が伸び放題となっており、秋にはカメムシが大量発生し我が家に飛来したり、セイタカアワダチソウの花粉が飛散したりと、ひどい状態になっています。
今までは私を含め、近所有志の方で草刈を仕方なくしていましたが、最近、「伊賀市あき地の雑草等の除去に関する条例」があることを知りました。
そこで、この条例に基づき、所有者に適正に管理させるよう厳しく指導いただきたいと希望します。
=====【引用ここまで】=====
この空き地は市有地じゃなくて個人の所有なんだから、自分で所有者を探し出して、所有者に雑草を刈ってもらうのが筋。それを、所有者の特定すら自分でせずに、役所に駆け込む。
この条例が無ければ、近所有志で草刈をし続けていたはずだ。条例の存在を知るまでは、自分達の利害に関することを自分達で処理するという、当たり前のことが出来ていた。それなのに、条例を知ったことで「よし、役所に頼んでやってもらおう」という発想に転換してしまったのである。
この「あき地の雑草等の除去に関する条例」は、行政の肥大化と、これに反比例して住民から自発性が失われていくことをよく表している。
さて。
最近、空き地の草刈条例や、空き家の管理条例等を制定し、その中に行政代執行を規定する自治体が増えている。行政代執行とは、自治体が条例に基づき除草や撤去を命令し、その命令を所有者が実施しない場合に行政が代わりに除草や撤去を行い、その費用を所有者から徴収するというものだ。
この代執行の制度は、最終的には所有者の負担により賄われるというのが建前だ。だが、所有者に支払いの意思が無い、資力が無いといった場合、結局のところ役所が負担することになってしまう。
草刈条例で代執行を適用する事例というのは、所有者が遠方にいるとか、草刈業者に頼む金が無いといった場合がほとんど。所有者が自分でしないから代執行になるのであって、要した費用を所有者が素直に払ってくれることは少ないだろう。結局のところ、役所負担=税負担になる場合が多数出てくることは容易に想像できる。
しかも、雑草は毎年生えてくる。2年も放置すれば、立派な荒地になる。一度、役所に草刈してもらった人たちは
「去年刈ってくれたから、今年も刈ってくれ」
と頼むであろうし、この話が広まれば
「よそでやったのなら、今度はうちもやってくれ」
「今まで有志で刈ってたのがバカバカしい。役所に頼もう」
となるのは間違いない。
民民の近隣トラブルを、税負担で解決する愚策。この草刈条例は、所有権という自由な社会の根幹を大きく歪め、ひいては「強すぎる行政と、依存しきった住民」という社会を築く。
○「迷惑空き地」全国で増加 雑草「誰が刈る?」 2010/8/2 12:00 日本経済新聞 電子版
=====【引用ここから】=====
踏み込んだ対策を講じたのは三重県名張市だ。「名張市あき地の雑草等の除去に関する条例」を改正し、08年4月から行政代執行による強制除草をできるようにした。毎年6月、空き地の所有者に適正管理を促すはがきを発送。複数回にわたって勧告や命令をしても改善されない場合、所有者の住所や氏名を公表し、市が強制的に除草する。
「除草費用は所有者から徴収する。実効性を高め、抑止力が働く施策にしたかった」と同市生活環境部の田中実部長は話す。すでに09年、2件の行政代執行をした。ただ課題もある。条例改正により、空き地の状況が改善されるという期待が高まったことで、09年度の苦情件数は約1400件と改正前の4倍弱に急増した。。「どの空き地に行政代執行を適用するのか明確な基準が必要」(田中部長)
また、代執行の導入には異論が残る。草刈り費用を土地所有者が払えない場合、自治体が負担を背負うことになるという声や、私有財産である土地に行政が介入するのは望ましくないという意見だ。
千葉市では今年、民主党の議員団が「空き地条例」に行政代執行の規定を盛り込む改正案を提出したが、反対意見が出て否決された。
東京工業大学の中井検裕教授(都市政策)は「まず空き地の管理は所有者の責務だという共通認識をつくるべきだ。その上で、地域の住民や町内会が管理を代替したり、希望があれば買い取ったりできる仕組みをつくらないと解決は難しいだろう」と話す。
=====【引用ここまで】=====
地域の住民や町内会が管理を代替する、空き地を買い取る。こういった解決策を採るために、行政が出来ること、すべきことは何もない。
あるとすれば・・・町内会で登記をするための地縁団体を設立する手続き・・・くらい?
○空き地の草刈について
=====【引用ここから】=====
Q:空き地の草刈について 【2009年9月更新】
家の前に空き地があります。誰が所有する土地かは不明ですが、噂では遠方の方と聞いています。
さて、この空き地ですが、まったく管理されておらず、雑草が伸び放題となっており、秋にはカメムシが大量発生し我が家に飛来したり、セイタカアワダチソウの花粉が飛散したりと、ひどい状態になっています。
今までは私を含め、近所有志の方で草刈を仕方なくしていましたが、最近、「伊賀市あき地の雑草等の除去に関する条例」があることを知りました。
そこで、この条例に基づき、所有者に適正に管理させるよう厳しく指導いただきたいと希望します。
=====【引用ここまで】=====
この空き地は市有地じゃなくて個人の所有なんだから、自分で所有者を探し出して、所有者に雑草を刈ってもらうのが筋。それを、所有者の特定すら自分でせずに、役所に駆け込む。
この条例が無ければ、近所有志で草刈をし続けていたはずだ。条例の存在を知るまでは、自分達の利害に関することを自分達で処理するという、当たり前のことが出来ていた。それなのに、条例を知ったことで「よし、役所に頼んでやってもらおう」という発想に転換してしまったのである。
この「あき地の雑草等の除去に関する条例」は、行政の肥大化と、これに反比例して住民から自発性が失われていくことをよく表している。
さて。
最近、空き地の草刈条例や、空き家の管理条例等を制定し、その中に行政代執行を規定する自治体が増えている。行政代執行とは、自治体が条例に基づき除草や撤去を命令し、その命令を所有者が実施しない場合に行政が代わりに除草や撤去を行い、その費用を所有者から徴収するというものだ。
この代執行の制度は、最終的には所有者の負担により賄われるというのが建前だ。だが、所有者に支払いの意思が無い、資力が無いといった場合、結局のところ役所が負担することになってしまう。
草刈条例で代執行を適用する事例というのは、所有者が遠方にいるとか、草刈業者に頼む金が無いといった場合がほとんど。所有者が自分でしないから代執行になるのであって、要した費用を所有者が素直に払ってくれることは少ないだろう。結局のところ、役所負担=税負担になる場合が多数出てくることは容易に想像できる。
しかも、雑草は毎年生えてくる。2年も放置すれば、立派な荒地になる。一度、役所に草刈してもらった人たちは
「去年刈ってくれたから、今年も刈ってくれ」
と頼むであろうし、この話が広まれば
「よそでやったのなら、今度はうちもやってくれ」
「今まで有志で刈ってたのがバカバカしい。役所に頼もう」
となるのは間違いない。
民民の近隣トラブルを、税負担で解決する愚策。この草刈条例は、所有権という自由な社会の根幹を大きく歪め、ひいては「強すぎる行政と、依存しきった住民」という社会を築く。
○「迷惑空き地」全国で増加 雑草「誰が刈る?」 2010/8/2 12:00 日本経済新聞 電子版
=====【引用ここから】=====
踏み込んだ対策を講じたのは三重県名張市だ。「名張市あき地の雑草等の除去に関する条例」を改正し、08年4月から行政代執行による強制除草をできるようにした。毎年6月、空き地の所有者に適正管理を促すはがきを発送。複数回にわたって勧告や命令をしても改善されない場合、所有者の住所や氏名を公表し、市が強制的に除草する。
「除草費用は所有者から徴収する。実効性を高め、抑止力が働く施策にしたかった」と同市生活環境部の田中実部長は話す。すでに09年、2件の行政代執行をした。ただ課題もある。条例改正により、空き地の状況が改善されるという期待が高まったことで、09年度の苦情件数は約1400件と改正前の4倍弱に急増した。。「どの空き地に行政代執行を適用するのか明確な基準が必要」(田中部長)
また、代執行の導入には異論が残る。草刈り費用を土地所有者が払えない場合、自治体が負担を背負うことになるという声や、私有財産である土地に行政が介入するのは望ましくないという意見だ。
千葉市では今年、民主党の議員団が「空き地条例」に行政代執行の規定を盛り込む改正案を提出したが、反対意見が出て否決された。
東京工業大学の中井検裕教授(都市政策)は「まず空き地の管理は所有者の責務だという共通認識をつくるべきだ。その上で、地域の住民や町内会が管理を代替したり、希望があれば買い取ったりできる仕組みをつくらないと解決は難しいだろう」と話す。
=====【引用ここまで】=====
地域の住民や町内会が管理を代替する、空き地を買い取る。こういった解決策を採るために、行政が出来ること、すべきことは何もない。
あるとすれば・・・町内会で登記をするための地縁団体を設立する手続き・・・くらい?