消費者は、
「消費税還元セール実施中!」
という文字が出てくるたびに思い出す。
「セールが終わったら、増税分、値上がりするんだよね」
ということを。
○FNNニュース 消費税還元セール禁止法案批判に甘利大臣「税は納めるもの」(04/12 17:06)
=====【引用ここから】=====
「消費税還元」と銘打ったセールを禁止し、増税分の価格転嫁をうながす法案に対して、流通業界から批判が出ていることについて、甘利経済財政担当相は、「消費税は還元するものでなく、納めるもの」と反論した。
甘利経済財政担当相は「消費税還元セールということはやめてくださいというお願いをしているのであって、消費税は還元するものでなく、納めるものでありますから。消費税はちゃんと納めてくださいと」と述べた。
政府は、消費税を増税した際に、スーパーなどが「消費税還元」と銘打ったセールを実施することを禁止する法案を国会に提出し、12日から審議が始まった。
商品を納める中小企業が、増税分を価格に転嫁できず、経営が圧迫されるような事態を避けるための措置だが、流通大手各社から批判が相次いでいる。
これに対して、甘利経済財政担当相は「消費税は還元するものでなく、納めるもの」とくぎを刺したうえで、「どういう価格設定するとか、いくらで売れということは申し上げてない」と反論した。
=====【引用ここまで】=====
(「消費税は還元するものでなく、納めるもの」という、トンチンカンな反論は放置するとして、)消費税還元セールをされると、政府にとって格好が悪いのだろう。政府の悪政が知れ渡り、人々は改めて「政府が消費税を上げたんだよね」と思い出す。政府の面目丸つぶれである。
だからといって、消費税還元セールを禁止して良いということにはならない。セールをどんなタイミングで、どのような広告を打って実施するかという営業の中身を、政府が取り締まるというのは、表現の自由、経済活動の自由を制限する悪手中の悪手である。
しかも、どういったセールが規制されるのかという政府見解が、法案提出後にコロコロ変わるというお粗末さ。政府の解釈がコロコロ変わるということは、法律の文言の幅が広いということだ。どこまで規制されるかという法律の幅が広いと、官僚の裁量が増える。法案成立後、小売店は、監督官庁の顔色を窺わなければならない日々が続くことになる。これは自由を守るという観点から見た時、危険であると言わざるを得ない。
法律の文言が曖昧だと、セールをしようとする業者は、当局に「このチラシのこの文言は、新法の規制に引っかかりますかね?」と伺いをたてるようになる。当局は、政治家とつながりのある小売業者Aには「うん、その表現なら大丈夫ですよ」と言ってやり、当局の施策に非協力的な小売業者Bには「うーん、どうですかねぇ。法律に抵触するかどうか、判断に迷うところですねぇ」と脅しをかける。そして、後になってからBだけ摘発する、なんて朝飯前だ。
さて。
政府は、
「商品を納める中小企業が、増税分を価格に転嫁できず、経営が圧迫されるような事態を避けるための措置」
を立法理由、建前としている。納入業者に値下げを強要し経営を圧迫するのは良くない、ということだ。しかし、消費税の増税はそもそも、消費者に値上げを強要し家計を圧迫するものだ。立法理由を正しいものとして貫徹するなら、消費税増税を否としなければ話が矛盾する。
中小企業の経営を圧迫してはいけないのに、消費者の家計を圧迫しても構わない。このダブルスタンダードがあるから、人々は政府の建前を信用していない。だから、次のようなことが言われるのだ。
○消費税セールは禁止? 値上げに悩む小売業 | 産業・業界 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト 2013年04月28日
=====【引用ここから】=====
仕入れ側が納入業者の転嫁を拒否するのを防ぎ、納入業者への税負担押し付けを回避するのが立法目的とされるが、「政府、日銀の物価上昇率の目標2%を達成するため、何が何でも増税分を価格転嫁させるのが本当の狙い」(業界関係者)とも揶揄される。
=====【引用ここまで】=====
「政府、日銀の物価上昇率の目標2%を達成するため、何が何でも増税分を価格転嫁させるのが本当の狙い」
はははっ、こりゃ傑作。
デフレ憎けりゃ消費税還元セールまで憎い。
まるで、「党の中でリフレ政策を推進する影響力を確保するため」消費税増税法案への賛成討論を行った、リフレ派エコノミスト議員・金子洋一のようだ。
「消費税還元セール実施中!」
という文字が出てくるたびに思い出す。
「セールが終わったら、増税分、値上がりするんだよね」
ということを。
○FNNニュース 消費税還元セール禁止法案批判に甘利大臣「税は納めるもの」(04/12 17:06)
=====【引用ここから】=====
「消費税還元」と銘打ったセールを禁止し、増税分の価格転嫁をうながす法案に対して、流通業界から批判が出ていることについて、甘利経済財政担当相は、「消費税は還元するものでなく、納めるもの」と反論した。
甘利経済財政担当相は「消費税還元セールということはやめてくださいというお願いをしているのであって、消費税は還元するものでなく、納めるものでありますから。消費税はちゃんと納めてくださいと」と述べた。
政府は、消費税を増税した際に、スーパーなどが「消費税還元」と銘打ったセールを実施することを禁止する法案を国会に提出し、12日から審議が始まった。
商品を納める中小企業が、増税分を価格に転嫁できず、経営が圧迫されるような事態を避けるための措置だが、流通大手各社から批判が相次いでいる。
これに対して、甘利経済財政担当相は「消費税は還元するものでなく、納めるもの」とくぎを刺したうえで、「どういう価格設定するとか、いくらで売れということは申し上げてない」と反論した。
=====【引用ここまで】=====
(「消費税は還元するものでなく、納めるもの」という、トンチンカンな反論は放置するとして、)消費税還元セールをされると、政府にとって格好が悪いのだろう。政府の悪政が知れ渡り、人々は改めて「政府が消費税を上げたんだよね」と思い出す。政府の面目丸つぶれである。
だからといって、消費税還元セールを禁止して良いということにはならない。セールをどんなタイミングで、どのような広告を打って実施するかという営業の中身を、政府が取り締まるというのは、表現の自由、経済活動の自由を制限する悪手中の悪手である。
しかも、どういったセールが規制されるのかという政府見解が、法案提出後にコロコロ変わるというお粗末さ。政府の解釈がコロコロ変わるということは、法律の文言の幅が広いということだ。どこまで規制されるかという法律の幅が広いと、官僚の裁量が増える。法案成立後、小売店は、監督官庁の顔色を窺わなければならない日々が続くことになる。これは自由を守るという観点から見た時、危険であると言わざるを得ない。
法律の文言が曖昧だと、セールをしようとする業者は、当局に「このチラシのこの文言は、新法の規制に引っかかりますかね?」と伺いをたてるようになる。当局は、政治家とつながりのある小売業者Aには「うん、その表現なら大丈夫ですよ」と言ってやり、当局の施策に非協力的な小売業者Bには「うーん、どうですかねぇ。法律に抵触するかどうか、判断に迷うところですねぇ」と脅しをかける。そして、後になってからBだけ摘発する、なんて朝飯前だ。
さて。
政府は、
「商品を納める中小企業が、増税分を価格に転嫁できず、経営が圧迫されるような事態を避けるための措置」
を立法理由、建前としている。納入業者に値下げを強要し経営を圧迫するのは良くない、ということだ。しかし、消費税の増税はそもそも、消費者に値上げを強要し家計を圧迫するものだ。立法理由を正しいものとして貫徹するなら、消費税増税を否としなければ話が矛盾する。
中小企業の経営を圧迫してはいけないのに、消費者の家計を圧迫しても構わない。このダブルスタンダードがあるから、人々は政府の建前を信用していない。だから、次のようなことが言われるのだ。
○消費税セールは禁止? 値上げに悩む小売業 | 産業・業界 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト 2013年04月28日
=====【引用ここから】=====
仕入れ側が納入業者の転嫁を拒否するのを防ぎ、納入業者への税負担押し付けを回避するのが立法目的とされるが、「政府、日銀の物価上昇率の目標2%を達成するため、何が何でも増税分を価格転嫁させるのが本当の狙い」(業界関係者)とも揶揄される。
=====【引用ここまで】=====
「政府、日銀の物価上昇率の目標2%を達成するため、何が何でも増税分を価格転嫁させるのが本当の狙い」
はははっ、こりゃ傑作。
デフレ憎けりゃ消費税還元セールまで憎い。
まるで、「党の中でリフレ政策を推進する影響力を確保するため」消費税増税法案への賛成討論を行った、リフレ派エコノミスト議員・金子洋一のようだ。