○外国人参政権問題 官房長官「地方の意見は関係ない」(産経新聞) - Yahoo!ニュース 1月27日20時32分配信
平野博文官房長官は27日の記者会見で、政府が永住外国人への地方参政権(選挙権)付与を検討していることに対し、都道府県知事や地方議会から反対表明や反対決議採択が相次いでいることについて「自治体のみなさんの決議・意見は承知していないが、そのことと、この問題とは根本的に違う問題だ」と述べた。参政権付与法案提出は、地方自治体の意見に左右されないとの見解を示したものだ。
民主党は昨年の衆院選の政権公約(マニフェスト)で「地方主権」の確立を掲げているが、平野氏は「(この問題)地方主権の考え方とはまったく違う」と指摘。その上で「地方自治体の問題ではなく、わが国に住んでいる住民の権利としてどうなのかという概念だ」と主張した。
○原口氏、外国人参政権では地方の意見を聴く(産経新聞) - Yahoo!ニュース 1月22日20時33分配信
原口一博総務相は22日の閣議後会見で、永住外国人に地方参政権(選挙権)を付与する法案について、「地方そのものの問題なので、地方側の意見をよく聴いていきたい」と述べ、全国知事会など地方側の意見を踏まえ、法案作成を進める考えを示した。
○亀井氏、外国人参政権法案は「今国会に提出できない」2010.1.28 17:27
国民新党代表の亀井静香郵政改革・金融相は28日、産経新聞社のインタビューで、鳩山由紀夫首相が永住外国人への地方参政権(選挙権)付与法案の国会提出には与党合意が必要と表明したことを受けて、「国民新党が賛成しないと逆立ちしても法案を出せない。首相は分かっている。今国会に提出できないことは間違いない」と述べた。亀井氏は「帰化要件を緩和すればいい。(参政権を得るには)帰化し(日本国民として)同化していく方法を選ぶべきで、同化しないで権利だけ付与すると民族間の対立を生んでいく危険性がある」と指摘した。
官房長官は
「外国人参政権の問題は地方主権の考え方とは全く違う。地方自治体の問題ではない」
と述べ、総務大臣は
「外国人参政権は地方そのものの問題だ」
と述べる。郵政改革・金融担当大臣は
「国民新党が賛成しないと逆立ちしても法案を出せない。帰化要件を緩和すればいい。」
と述べる。
・・・てんでばらばらだなぁ、この内閣。
国籍が何かということを考えれば、この件に関しては亀井郵政改革・金融担当相が最もまともなことを言っている。
国籍というのは、個人と国家の帰属関係を表す法的紐帯である。国籍を持つことで、海外に行っても国籍国の法律が当該個人に及ぶ。また、国籍国は、国籍を持つ者の最終的な身柄引き受け元であり、外国に滞在できなくなった場合、国籍国はその者を受け入れる義務を持つ。国籍とは、民族的出自を表すものではなく、あくまで国籍国との法的なつながりを表すものだ。国籍に対し何らかの民族感情を持つのは個人の勝手だが、そうした感情を元に国籍の効力を論ずるのは間違いの元だ。
このように、海外にいても国籍という帯で国籍国との関係を保っているからこそ、在外邦人の参政権が行使できるということになる。日本国民が海外にいても現地の大使館で一定の手続きをとれば、日本の選挙で一票を投じることができる。これが可能なのは国籍の法的な効力があるためだ。
こうした取り扱いは日本独自のものではなく、国籍の効力として広く認められたものだ。例えば、韓国では在日韓国人の本国での選挙権が保障されており、日本に住民登録したままで韓国に居住申告すれば、韓国での投票権が行使できるようになっている。
外国人が日本に来る。日本人が海外へ行く。それぞれが帰国する。また出国する。こうした国境を越えた人間の出入りが激しくなっても、国籍の意義は失われない。むしろ、存在感が強まるのではなかろうか。A国の国籍を持つ人がB、C、D国と転々としているとして、最終的にどの国に帰属しているのかと言われればA国になる。B、C、D国で何かトラブルがあって滞在できなくなった場合、その者はA国に戻らなければならないし、A国はその者を受け入れる義務がある。
A国の国民とは、誰か。A国に滞在している者か、A国籍を持つ者か。A国はA国籍を持つ者の受け入れを拒むことは出来ないが、A国籍を持たない者の滞在には法律で条件を付けることができ、この条件に合わない者の滞在を拒むことができる。こういう観点から、国民とは、その国の国籍を持つ者(=最終的にその国に帰属する者)と解すべきであり、参政権は最終的に帰属する国に対して行使すれば良いということになる。
国籍を持っていれば、国籍国は滞在を拒むことはできない。しかし、その国の国籍を持っていない場合、その国に滞在できるかどうかはその国の法律のさじ加減となってしまう。法律のさじ加減でその国に滞在できるかどうかが決まってしまう者を、その国の国民として取扱うことはできない。
上記のような考え方は、在留期間が1年程度の外国人であろうと、永住許可を持つ外国人であろうと、同じことだ。外国人はあくまで外国人であり、在留期間の長短によって国籍国の法的管轄がなくなってしまうということはない。たとえ日本での永住許可を持っていても、その外国人が日本から一歩外へ出て国籍国へ帰ると、何事もなかったかのようにその国の国民として生活することになる。生まれも育ちも日本で、韓国では生活したことのない在日韓国人であっても、日本との法的なつながりは(刑法や再入国手続き等を除いて)一歩国境を出た瞬間にほぼなくなる。
基地移設問題が最大の争点となった名護市長選のように、外交・防衛に直結する問題が地方選で争点となることはこれからもあるだろう。そのような選挙で、「日本から一歩外に出たら、もう日本とは関係ありません」となる外国人に票を委ねることは避けなければならない。
さて。
外国人参政権の賛成論として、「外国人に参政権を認めないのは差別」「納税しているのだから参政権が付与されて当然」といったものがあるが、これは現在の法体系に照らして筋が通らない。
まず、「外国人に参政権を認めないのは差別」について。
日本国籍を取得せず外国籍を保持し続けるということは、いざという時に国籍国はその者を受け入れる義務がある等、国籍国との一定の法的関係を維持したままになっているということだ。国籍という法的紐帯を基準として参政権の有無を判断することが差別となってしまうのであれば、在外邦人の参政権は認められなくなってしまう。
特定の人種・民族のみに対して日本国籍の取得を制限していたり、日本国籍を取得したのに人種・民族を理由に参政権行使を制限していたりすれば差別となるが。差別うんぬんを言うのであれば、むしろ、国籍国との法的な関係は同じなのに、在留期間の長短で選挙権を持てる外国人と持てない外国人とを分けてしまう「永住外国人への地方参政権付与」こそが差別だ。
次に、「納税しているのだから参政権が付与されて当然」について。
納税の有無に関係なく、成人であれば選挙権を行使できる。これを普通選挙という。普通選挙制を採用している限り、納税の有無と選挙権の有無とは切り離されている。納税しているから投票させろ、というのは普通選挙制を根底から揺るがすものだ。納税を基準とするのであれば、憲法改正は避けて通れない。
(私は、日本国民であっても、税金を払っている者に対してのみ選挙権を付与し、生活保護受給者・年金生活者・公務員といった税金からの給付で専ら生計を立てる者には選挙権を認めるべき、普通選挙制は放棄すべき、と考えている。国籍を基準とせずに外国人参政権を認めるのであれば、納税を基準とすべきだ。払わない者は口を出すな。払った者が払った分だけ口を出せる、ということだ。)
「法案は明らかに違憲」 外国人参政権の理論的支柱が自説を撤回 2010.1.28 21:47
外国人参政権をめぐる長尾教授インタビュー詳報「読みが浅かった」 2010.1.28 21:52
平野博文官房長官は27日の記者会見で、政府が永住外国人への地方参政権(選挙権)付与を検討していることに対し、都道府県知事や地方議会から反対表明や反対決議採択が相次いでいることについて「自治体のみなさんの決議・意見は承知していないが、そのことと、この問題とは根本的に違う問題だ」と述べた。参政権付与法案提出は、地方自治体の意見に左右されないとの見解を示したものだ。
民主党は昨年の衆院選の政権公約(マニフェスト)で「地方主権」の確立を掲げているが、平野氏は「(この問題)地方主権の考え方とはまったく違う」と指摘。その上で「地方自治体の問題ではなく、わが国に住んでいる住民の権利としてどうなのかという概念だ」と主張した。
○原口氏、外国人参政権では地方の意見を聴く(産経新聞) - Yahoo!ニュース 1月22日20時33分配信
原口一博総務相は22日の閣議後会見で、永住外国人に地方参政権(選挙権)を付与する法案について、「地方そのものの問題なので、地方側の意見をよく聴いていきたい」と述べ、全国知事会など地方側の意見を踏まえ、法案作成を進める考えを示した。
○亀井氏、外国人参政権法案は「今国会に提出できない」2010.1.28 17:27
国民新党代表の亀井静香郵政改革・金融相は28日、産経新聞社のインタビューで、鳩山由紀夫首相が永住外国人への地方参政権(選挙権)付与法案の国会提出には与党合意が必要と表明したことを受けて、「国民新党が賛成しないと逆立ちしても法案を出せない。首相は分かっている。今国会に提出できないことは間違いない」と述べた。亀井氏は「帰化要件を緩和すればいい。(参政権を得るには)帰化し(日本国民として)同化していく方法を選ぶべきで、同化しないで権利だけ付与すると民族間の対立を生んでいく危険性がある」と指摘した。
官房長官は
「外国人参政権の問題は地方主権の考え方とは全く違う。地方自治体の問題ではない」
と述べ、総務大臣は
「外国人参政権は地方そのものの問題だ」
と述べる。郵政改革・金融担当大臣は
「国民新党が賛成しないと逆立ちしても法案を出せない。帰化要件を緩和すればいい。」
と述べる。
・・・てんでばらばらだなぁ、この内閣。
国籍が何かということを考えれば、この件に関しては亀井郵政改革・金融担当相が最もまともなことを言っている。
国籍というのは、個人と国家の帰属関係を表す法的紐帯である。国籍を持つことで、海外に行っても国籍国の法律が当該個人に及ぶ。また、国籍国は、国籍を持つ者の最終的な身柄引き受け元であり、外国に滞在できなくなった場合、国籍国はその者を受け入れる義務を持つ。国籍とは、民族的出自を表すものではなく、あくまで国籍国との法的なつながりを表すものだ。国籍に対し何らかの民族感情を持つのは個人の勝手だが、そうした感情を元に国籍の効力を論ずるのは間違いの元だ。
このように、海外にいても国籍という帯で国籍国との関係を保っているからこそ、在外邦人の参政権が行使できるということになる。日本国民が海外にいても現地の大使館で一定の手続きをとれば、日本の選挙で一票を投じることができる。これが可能なのは国籍の法的な効力があるためだ。
こうした取り扱いは日本独自のものではなく、国籍の効力として広く認められたものだ。例えば、韓国では在日韓国人の本国での選挙権が保障されており、日本に住民登録したままで韓国に居住申告すれば、韓国での投票権が行使できるようになっている。
外国人が日本に来る。日本人が海外へ行く。それぞれが帰国する。また出国する。こうした国境を越えた人間の出入りが激しくなっても、国籍の意義は失われない。むしろ、存在感が強まるのではなかろうか。A国の国籍を持つ人がB、C、D国と転々としているとして、最終的にどの国に帰属しているのかと言われればA国になる。B、C、D国で何かトラブルがあって滞在できなくなった場合、その者はA国に戻らなければならないし、A国はその者を受け入れる義務がある。
A国の国民とは、誰か。A国に滞在している者か、A国籍を持つ者か。A国はA国籍を持つ者の受け入れを拒むことは出来ないが、A国籍を持たない者の滞在には法律で条件を付けることができ、この条件に合わない者の滞在を拒むことができる。こういう観点から、国民とは、その国の国籍を持つ者(=最終的にその国に帰属する者)と解すべきであり、参政権は最終的に帰属する国に対して行使すれば良いということになる。
国籍を持っていれば、国籍国は滞在を拒むことはできない。しかし、その国の国籍を持っていない場合、その国に滞在できるかどうかはその国の法律のさじ加減となってしまう。法律のさじ加減でその国に滞在できるかどうかが決まってしまう者を、その国の国民として取扱うことはできない。
上記のような考え方は、在留期間が1年程度の外国人であろうと、永住許可を持つ外国人であろうと、同じことだ。外国人はあくまで外国人であり、在留期間の長短によって国籍国の法的管轄がなくなってしまうということはない。たとえ日本での永住許可を持っていても、その外国人が日本から一歩外へ出て国籍国へ帰ると、何事もなかったかのようにその国の国民として生活することになる。生まれも育ちも日本で、韓国では生活したことのない在日韓国人であっても、日本との法的なつながりは(刑法や再入国手続き等を除いて)一歩国境を出た瞬間にほぼなくなる。
基地移設問題が最大の争点となった名護市長選のように、外交・防衛に直結する問題が地方選で争点となることはこれからもあるだろう。そのような選挙で、「日本から一歩外に出たら、もう日本とは関係ありません」となる外国人に票を委ねることは避けなければならない。
さて。
外国人参政権の賛成論として、「外国人に参政権を認めないのは差別」「納税しているのだから参政権が付与されて当然」といったものがあるが、これは現在の法体系に照らして筋が通らない。
まず、「外国人に参政権を認めないのは差別」について。
日本国籍を取得せず外国籍を保持し続けるということは、いざという時に国籍国はその者を受け入れる義務がある等、国籍国との一定の法的関係を維持したままになっているということだ。国籍という法的紐帯を基準として参政権の有無を判断することが差別となってしまうのであれば、在外邦人の参政権は認められなくなってしまう。
特定の人種・民族のみに対して日本国籍の取得を制限していたり、日本国籍を取得したのに人種・民族を理由に参政権行使を制限していたりすれば差別となるが。差別うんぬんを言うのであれば、むしろ、国籍国との法的な関係は同じなのに、在留期間の長短で選挙権を持てる外国人と持てない外国人とを分けてしまう「永住外国人への地方参政権付与」こそが差別だ。
次に、「納税しているのだから参政権が付与されて当然」について。
納税の有無に関係なく、成人であれば選挙権を行使できる。これを普通選挙という。普通選挙制を採用している限り、納税の有無と選挙権の有無とは切り離されている。納税しているから投票させろ、というのは普通選挙制を根底から揺るがすものだ。納税を基準とするのであれば、憲法改正は避けて通れない。
(私は、日本国民であっても、税金を払っている者に対してのみ選挙権を付与し、生活保護受給者・年金生活者・公務員といった税金からの給付で専ら生計を立てる者には選挙権を認めるべき、普通選挙制は放棄すべき、と考えている。国籍を基準とせずに外国人参政権を認めるのであれば、納税を基準とすべきだ。払わない者は口を出すな。払った者が払った分だけ口を出せる、ということだ。)
「法案は明らかに違憲」 外国人参政権の理論的支柱が自説を撤回 2010.1.28 21:47
外国人参政権をめぐる長尾教授インタビュー詳報「読みが浅かった」 2010.1.28 21:52