自治労が諸手を挙げて大賛成!公契約条例が直方市で成立した。
直方市公契約条例制定 『自治労ふくおか』No.1285 2014.2.1
=====【引用ここから】=====
直方市は、昨年12月議会で、西日本初となる公契約条例を全会一致で制定した。全国的に公共事業や委託事業に対する業者間の競争が激しくなり、それが労働者の賃金にしわ寄せされて「官製ワーキングプア」を生み出す構造がある。そのため、建設業では高齢化と若年層の激減という事態に直面しており、入札が不調に終わるケースも続出している。
~~~(中略)~~~
公契約条例は労働者保護だけでなく、労働条件に底を設けて、それを下回る労働を禁止することで、事業者間の公正な競争の実現を目指すものである。人間らしい仕事(ディーセントワーク)を実現するために、労働者も事業者も住民も行政も全てにメリットがある関係づくりのための重要なツールと言える。
直方市職労の谷口一富委員長は、「今年4月の条例施行に向けて、業者説明や行政内部の意思統一など山を越えなければならないが、直方市職労としても積極的に支援していく」と決意を述べた。今後の取り組みが注目される。
=====【引用ここまで】=====
官製ワーキングプアと入札不調を結びつけるのは、どうなんだろう。官製ワーキングプアと呼ばれる問題は、財政難により減少した公共工事を何とか受注しようと企業が価格競争を繰り広げた結果、受注した企業の従業員の賃金が下がる、というもの。一方、ここ数年増加している入札不調の大きな要因は、震災復興に伴う工事の増加が引き金となって建築資材や人件費が高騰し、1年前、半年前の基準で自治体が設計した予定額では業者が赤字になることから、国や自治体が入札を実施するもどの企業も落札しない、というもの。
官製ワーキングプアは何とか落札しようとすることで生じ、入札不調はどの企業も落札しようとしないことで生じる。そう、逆なのだ。
さて本題。
入札不調の大きな要因となったのは、復興事業に伴う公共工事の発注増という需要の増加に対し、供給、すなわち建築資材の確保や新たな労働者の育成が追いつかなかったことにある。長期的には、ものの価格は需要と供給で決まる。上がる時には上がるし、下がる時には下がる。こうした価格の自然な動きを規制や税制で歪めようとしても、そう上手くいくものではない。逆に意図しなかった別のところへシワ寄せがいくだけだろう。
直方市が馬鹿みたいに食い付いた公契約条例(公共事業における最低賃金の上乗せ条例)は、こうした自然な価格の動きを妨げ、意図しなかったところへシワ寄せが生じる。賃金高騰で入札不調が続いている時に最低賃金の上乗せをして、何の意味があるのだろうか。
直方市は筑豊地方に位置し、かつては石炭の産地として栄えたが、エネルギー革命からの石炭需要の縮小に合わせて活力を失った土地だ。そういうところで、どうにかして役所が地域経済の下支えをしたいと考えたのだろうが、賃金の形成過程にいつまでも介入し続けることはできない。また、介入したからといって活性化できるとは到底思えない。左から右にお金を移しただけなのだから。
この公契約条例については、以前にブログで記事を書いている。
○公契約条例不要論 ~ 問題点だらけですよ ~ - 若年寄の遺言
○公共サービス基本法から公契約条例へ 公務員は喜び、工事業者は喜び、納税者は泣く - 若年寄の遺言
この中で、直方市議会に対して
==========
直方市では、パブリックコメントが終わっていることから、今後、議会へ条例案が提出されることと思われる。直方市議会でも、必要性と有効性が本当にあるかどうかをしっかり吟味してもらいたい。何ら議論がなされず、市長提出の条例案を丸呑みするだけであれば、地方議会なんて必要ない。
==========
と注文を付けさせてもらっていた。
ところが、結果は…最初の記事にあるように「全会一致で原案可決」である。問題点を指摘して否決、廃案、撤回とした議会もある中で、全員が賛成に回るという状況である。しかも、その審査内容たるや、
○のおがた市議会だより第232号 平成26年1月15日
=====【引用ここから】=====
我々委員会としては、適用範囲の拡大や、労働者への賃金支払いの確認など、本条例が実効性のあるものになるよう、また、今後も十分に検証していくよう要望しました。
=====【引用ここまで】=====
問題点を一つも挙げられていない。出されたのは「適用範囲を拡大しろ」「条例を実効性あるものにしろ」と、追認する意見だけである。執行部の議案に対し追認するだけの議会なら、審査時間の無駄、議員に払う報酬の無駄。直方市民は、市長の愚かな提案を丸呑みするだけの議員を飼うために、毎年1億2200万円も費やしている。
「地方議会・地方議員は、住民の多様な意見を反映させることを使命としています」「地方自治は民主主義の学校です」なんて言われるが、実際のところは首長にぶら下がって金を分捕るために各地域から派遣された強請り集団でしかないのだろう。残念ながら、これが議員の圧倒的多数なのだ。
直方市公契約条例制定 『自治労ふくおか』No.1285 2014.2.1
=====【引用ここから】=====
直方市は、昨年12月議会で、西日本初となる公契約条例を全会一致で制定した。全国的に公共事業や委託事業に対する業者間の競争が激しくなり、それが労働者の賃金にしわ寄せされて「官製ワーキングプア」を生み出す構造がある。そのため、建設業では高齢化と若年層の激減という事態に直面しており、入札が不調に終わるケースも続出している。
~~~(中略)~~~
公契約条例は労働者保護だけでなく、労働条件に底を設けて、それを下回る労働を禁止することで、事業者間の公正な競争の実現を目指すものである。人間らしい仕事(ディーセントワーク)を実現するために、労働者も事業者も住民も行政も全てにメリットがある関係づくりのための重要なツールと言える。
直方市職労の谷口一富委員長は、「今年4月の条例施行に向けて、業者説明や行政内部の意思統一など山を越えなければならないが、直方市職労としても積極的に支援していく」と決意を述べた。今後の取り組みが注目される。
=====【引用ここまで】=====
官製ワーキングプアと入札不調を結びつけるのは、どうなんだろう。官製ワーキングプアと呼ばれる問題は、財政難により減少した公共工事を何とか受注しようと企業が価格競争を繰り広げた結果、受注した企業の従業員の賃金が下がる、というもの。一方、ここ数年増加している入札不調の大きな要因は、震災復興に伴う工事の増加が引き金となって建築資材や人件費が高騰し、1年前、半年前の基準で自治体が設計した予定額では業者が赤字になることから、国や自治体が入札を実施するもどの企業も落札しない、というもの。
官製ワーキングプアは何とか落札しようとすることで生じ、入札不調はどの企業も落札しようとしないことで生じる。そう、逆なのだ。
さて本題。
入札不調の大きな要因となったのは、復興事業に伴う公共工事の発注増という需要の増加に対し、供給、すなわち建築資材の確保や新たな労働者の育成が追いつかなかったことにある。長期的には、ものの価格は需要と供給で決まる。上がる時には上がるし、下がる時には下がる。こうした価格の自然な動きを規制や税制で歪めようとしても、そう上手くいくものではない。逆に意図しなかった別のところへシワ寄せがいくだけだろう。
直方市が馬鹿みたいに食い付いた公契約条例(公共事業における最低賃金の上乗せ条例)は、こうした自然な価格の動きを妨げ、意図しなかったところへシワ寄せが生じる。賃金高騰で入札不調が続いている時に最低賃金の上乗せをして、何の意味があるのだろうか。
直方市は筑豊地方に位置し、かつては石炭の産地として栄えたが、エネルギー革命からの石炭需要の縮小に合わせて活力を失った土地だ。そういうところで、どうにかして役所が地域経済の下支えをしたいと考えたのだろうが、賃金の形成過程にいつまでも介入し続けることはできない。また、介入したからといって活性化できるとは到底思えない。左から右にお金を移しただけなのだから。
この公契約条例については、以前にブログで記事を書いている。
○公契約条例不要論 ~ 問題点だらけですよ ~ - 若年寄の遺言
○公共サービス基本法から公契約条例へ 公務員は喜び、工事業者は喜び、納税者は泣く - 若年寄の遺言
この中で、直方市議会に対して
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直方市では、パブリックコメントが終わっていることから、今後、議会へ条例案が提出されることと思われる。直方市議会でも、必要性と有効性が本当にあるかどうかをしっかり吟味してもらいたい。何ら議論がなされず、市長提出の条例案を丸呑みするだけであれば、地方議会なんて必要ない。
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と注文を付けさせてもらっていた。
ところが、結果は…最初の記事にあるように「全会一致で原案可決」である。問題点を指摘して否決、廃案、撤回とした議会もある中で、全員が賛成に回るという状況である。しかも、その審査内容たるや、
○のおがた市議会だより第232号 平成26年1月15日
=====【引用ここから】=====
我々委員会としては、適用範囲の拡大や、労働者への賃金支払いの確認など、本条例が実効性のあるものになるよう、また、今後も十分に検証していくよう要望しました。
=====【引用ここまで】=====
問題点を一つも挙げられていない。出されたのは「適用範囲を拡大しろ」「条例を実効性あるものにしろ」と、追認する意見だけである。執行部の議案に対し追認するだけの議会なら、審査時間の無駄、議員に払う報酬の無駄。直方市民は、市長の愚かな提案を丸呑みするだけの議員を飼うために、毎年1億2200万円も費やしている。
「地方議会・地方議員は、住民の多様な意見を反映させることを使命としています」「地方自治は民主主義の学校です」なんて言われるが、実際のところは首長にぶら下がって金を分捕るために各地域から派遣された強請り集団でしかないのだろう。残念ながら、これが議員の圧倒的多数なのだ。