若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

ラグビー場が欲しいから、請願出して、記事にしました ~権力の使い方~

2012年06月28日 | 地方議会・地方政治
行橋市:サッカー場の概要固まる 14年度に完成予定 ラグビー場兼用の可能性も /福岡 毎日新聞 2012年06月23日 地方版
=====【引用ここから】=====
 行橋総合公園内に市が建設を計画しているサッカー場の概要が固まった。グラウンドには耐久性の強い人工芝を用い、周囲に400メートルの長距離トラックを巡らせる。今秋にも予定地の排水工事を始め、早ければ14年度内に完成する予定だ。
 サッカー人気の高まりを受けた市は、県内45市町のうち26市町がサッカー場を有していることもあり、10年度に建設を決めた。事業費は約3億円で半分は国が負担する。芝は、市サッカー協会が天然芝を要望していたが、予定地は海に隣接して塩分の強い風が吹き、管理が難しいうえ、植え替えが必要なことなどから人工芝を選んだ。
 また現在、公園内にある陸上競技のトラックを、サッカー場を取り囲む形で移設する。
 サッカー場がラグビー場としても利用できる可能性もある。行橋ラグビー愛好会が、ラグビーにも使えるよう求める請願を6月定例市議会に出したためだ。同会事務局は「ラグビー場は縦100メートル以内、横70メートル以内でサッカー場とほぼ同じ。専用のゴールポストを付ければ良く、各種大会や合宿誘致もできる」と利点を語る。福岡市のサッカー場、レベルファイブスタジアムもラグビー兼用だという。

=====【引用ここまで】=====


一見すると、
「市役所でサッカー場を整備する計画があり、そこがラグビー兼用になるかもしれないんだ。ほぉ~。」
だけの記事。

だが、よく見るとおかしい。
行橋総合公園内に市が建設を計画しているサッカー場の概要が固まった。
とあるが、
・いつ、計画概要が固まったのか?
・誰が、どのような形で計画概要を発表したのか?
が、記事からは分からないのだ。

10年度に建設を決めた。事業費は約3億円で半分は国が負担する
のであれば、計画概要はもっと早くに決まっているはずだ。国の補助金を得るために、申請段階で事業計画の概要を国へ提示するのが通常だろう。それが、なぜ、2012年6月になって計画概要が報じられたのか。

記事には「行橋ラグビー愛好会が、ラグビーにも使えるよう求める請願を6月定例市議会に出した」とある。タイミングから見て、「サッカー場の計画概要が固まった」から記事にしたのではなく、ラグビー兼用を求める請願が出されたから記事にしたと考えるのが自然だ。計画概要が固まった時期は不明だが、請願提出時期は6月と明らかである。

さてここで。

請願を出した「行橋ラグビー愛好会」について、グーグル先生に聞いてみよう。

京築少年少女ラグビースクール。京築まるごとナビ
=====【引用ここから】=====
お問い合わせ
行橋ラグビー愛好会 降旗(ふりはた)まで
電話:090- -

=====【引用ここまで】=====

降旗英峰ラグビー写真展 楕円球のイロハ
=====【引用ここから】=====
6月25日、京築ラグビースクール設立総会を開き、チームが正式発足しました。顧問に市議の豊瀬さん(下関市大ラグビー部OB)、代表に園部さん(宮崎大ラグビー部OB)という「ツートップ」体制の下、参加家庭の中のスポーツ経験あるお父様方がコーチとして選手指導にあたり、お母様方が広報、交流会幹事、医療など裏方部門を担当する役割分担も決まり、いよいよ本格始動。公式戦デビューを目指します。
  ――――(中略)――――
2016年リオデジャネイロ五輪よりラグビーが男女とも正式競技に選定され、いよいよラグビーも共同参画の時代。
降旗会長の解説付きで英女子W杯の強く美しいアスリートの姿をコーヒーとケーキをお供に楽しみました。
京築ラグビースクール(小学生チーム)発足に向けた意見交換と中盤に入ったトップリーグの熱戦も。

=====【引用ここまで】=====


どうも、「降旗英峰」なる人物が行橋ラグビー愛好会の中心的人物(会長?)と思われる。そして、この名前でまたグーグル先生に聞いてみると・・・


降旗英峰@rugbyyukuhashi
=====【引用ここから】=====
京築初の小学生ラグビーチームを作り、子供たちと戯れながら楕円球を追っています。連帯感、協調性、責任感が育つ子育てに最適なスポーツです。土曜2時、行橋長井浜海水浴場で練習してます。一度おいで下さい。本職はブンヤです
=====【引用ここまで】=====

東日本大震災:クラシックの輪、震災支援に 行橋音楽協会設立20年、あすチャリティーコンサート /福岡 毎日新聞 2012年04月20日 地方版(毎日新聞)
=====【引用ここから】=====
 当日は同協会所属の楽器奏者と声楽家、合唱団に友情出演も交え計約40人が参加。みやこ町のソプラノ歌手、柿野直子さん(54)は、有松さんの長女で同市のピアニスト、有松ひとみさん(52)の伴奏で「荒城の月」などを歌う。2人は「20年間で広がったクラシックを支える人の輪で、東日本の音楽仲間を支えたい」と話す。問い合わせはコスメイト行橋0930・25・2300。【降旗英峰】〔京築版〕
=====【引用ここまで】=====


この人物がブンヤであり、毎日新聞の記者であるということが分かる。


ここで整理しよう。

・毎日新聞記者が、ラグビー愛好会の中心的人物。
・この団体が、自分達の利益を求めて請願を提出する。
・そして、請願が出されたことを、毎日新聞(の同僚か本人)が記事にして宣伝する。


毎日新聞の記者が出した請願だったから、毎日新聞は大きな記事にしたのではないか。記事掲載のタイミングが請願提出後、請願可決前ということを考えると、請願の成立に影響を及ぼそうとしたのではないか、とすら思えてくる(記事掲載が6月23日、請願可決は6月26日)。

もし、そうであるならば、報道媒体の私物化、報道の公平性を問われる問題だ
(「毎日新聞は、請願が出される度に、採択される前の段階で、同程度の面積・文章量で請願内容を紹介してきました!」というのであれば、話は別だが。)

消費税増税だ、社会保障費の増加だ、国・地方債の残高はどんどん膨れ上がっている・・・というご時世の中で、3億円かけてサッカー場を作ること自体そもそも問題だが、よりマイナーなスポーツであるラグビーのために追加費用を発生させるのは、この問題を悪化させるものと言わざるを得ない。

地方公共団体が自主財源のみで作るのであれば、
「住民のみなさん、競技人口の少ないラグビーですが、その分の追加費用も負担してくださいね。お互い、同じまちの住民同士なんだし。」
で済むが、これは国からの補助が入った事業なのだ。

縁もゆかりもない、全く無関係な都会の会社員に、ニーズの低い施設の追加費用まで負わせることに対し、小さな政府・自由主義を掲げる立場から強く反対する。国への依存体質が、地方住民の意識の隅々にまで行き渡っている。

それとも、ラグビー場として兼用するために必要な追加費用を、このラグビー愛好会が負担してくれるのだろうか。それなら、弊害はいくらか軽減されるんだけど、ね。

公務員のお手盛りには厳しく目を光らせないといけないが、それと同じ位に、「第4の権力」たるマスコミのお手盛りにも注意しなければならない。