リバタリアンでない人と話をする時によく議論になるのが、「無政府、あるいは政府を小さくし過ぎると、無秩序になってしまうのではないか?」という点。この論点について、「無政府社會は可能だ - ラディカルな經濟學」では、政府が無いのに秩序が成立しうることについて、事例を挙げて論じている。
ところが…
○高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門 政治経済 現代社会 小さな政府論は、本当にむちゃくちゃ
=====【引用ここから】=====
あるいは、「無政府社会(小さな政府の究極)」は可能だといって、ソマリアを例に出して、「ほらどうだ!」と言います。
クリック
↓
無政府社會は可能だ
厳密には、ソマリアと、ソマリア内のソマリランドは別ですが・・
なんだか、もう、ついていけません。ソマリアを出して、「可能だ」と言われても…そりゃ可能は、可能でしょうが、無秩序(部族による秩序はあるらしいですが)地帯で、人(内国人・外国人)が住めるか?です。
=====【引用ここまで】=====
・政府が無くとも秩序は成立しうる
・実際にソマリランドで秩序が成立している
これらの点について反論をせず、
「もう、ついていけません」
「無秩序地帯で、人は住めるか?」
と述べている。なんと中身のない印象操作であることか。
「小さな政府論は、本当にむちゃくちゃ」
と題名を付けているが、菅原氏には、具体的にどこがどう無茶苦茶なのかを指摘してもらいたいものだ。
さて。
○高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門 政治経済 現代社会 小さな政府論は、本当にむちゃくちゃ
=====【引用ここから】=====
そもそも、そんなに、「小さな政府」が経済的にいいのなら、「小さな政府の方が、経済成長する」とか、「小さな政府の方が、一人当たりGDPは大きくなる」ということを、実証しなければいけません。
=====【引用ここまで】=====
「GDP=民間消費+民間投資+政府支出+純輸出」
という算式で表現される、GDP。
「高校生からの~」のブログ主である菅原氏は、しきりにGDPが増えることを求めているが、算式からも分かるように、政府支出が増えればGDPは増える。GDPを増やすだけなら簡単なことだ。政府が金を使えば、定義に従いGDPは増える。
ところが、それで世の中が良くなるほど単純ではない。
菅原氏は別のところで、
高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門 政治経済 現代社会 三権分立 行政 その1
=====【引用ここから】=====
経済=エコノミー=節約のことです。経済学=エコノミクス=それを追求する学問です。
節約とは、「最少費用で、最大効果」つまり「効率」を追求することです。時間や、費用や、人員をいかに合理的に使うか、いかに効率的に使うか、これが経済学です。
=====【引用ここまで】=====
と経済学の意義を述べている。限られた資源をいかに合理的に、効率的に使うかが経済学だ、と。これは正しい。
ここで、GDPの総体を眺めてみても、政府支出の効率性は分からない。
むしろ、「GDPの増加が経済成長の指標である」と単純な声が、政府支出による非効率な事業を後押しする。「一見無駄に見えるこの公共事業でも、結果的にはGDPを押し上げることになるんだから」と正当化することになってしまう。
GDPはあくまでも
「民間消費+民間投資+政府支出+純輸出」
でしかない。政府支出を増やせば、いかに無駄なもの、馬鹿げたのもが含まれていても、GDPとしては増えることになる。GDPは味噌糞混ざったものである。GDPの増加を手放しで喜ぶのではなく、GDPの増加分が果たして味噌が増えた分なのか、糞が増えた分なのかを厳しく峻別し問いただす姿勢、つまり、「時間や、費用や、人員をいかに合理的に使うか、いかに効率的に使うか」を追い求めることが、経済学の考え方のはずだ。
「GDPが増えた=国民の富の総量が増えた、経済成長を遂げた」
という関係が成り立つためには、政府支出の中身が効率的であるということが前提として必要だ。ところが、政府の支出は非効率的なものが山ほど含まれており、この前提が成立していると考えるのは無理がある。
当の菅原氏も、
○高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門 政治経済 現代社会 三権分立 行政 その1
=====【引用ここから】=====
官僚が、つまり政府が、産業振興を企図して、成功した例があるのでしょうか?
=====【引用ここまで】=====
と述べた上で、
経済産業省のシャープへの補助金
札幌市営地下鉄
赤字空港
クールジャパン
基礎技術研究促進センター
新エネルギー・産業技術総合開発機構
・・・等を無駄な事業として列挙している。
GDPの構成要素である政府支出には、こういった無駄が大量に含まれている。このように政府支出が含まれるGDPを増やしたところで、果たしてそれが経済成長と言えるのか。GDPを経済成長の指標として用いることに、大きな疑問を持つ。指標として全く使えないというわけではないが、使う際には吟味が必要だろう。
さてここで、
○高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門 政治経済 現代社会 小さな政府論は、本当にむちゃくちゃ
=====【引用ここから】=====
では、マクロではどうでしょうか。「小さな政府の方が経済成長する」「小さな政府の方が1人当たりGDPは大きい」を検証しましょう。
=====【引用ここまで】=====
として、OECD諸国の租税・社会保障国民負担率とGDP成長率の比較や1人当たりGDPとの比較を行っている。そして、
恐ろしいことに「国民負担率が大きくなる(大きな政府)方が、1人当たりGDPも多い」ということになりました。
<結論>
「大きな政府は国を滅ぼす」などということは全くないのです。実際は真逆です。
と結論づけているが、これは誤りだ。
社会保障制度を拡充して「大きな政府」にしていけば、社会保障国民負担率は上がる。そして同時に、社会保障費が増えて政府支出も増える。「GDP=民間消費+民間投資+政府支出+純輸出」という算式に基づき、政府支出が増えればGDPは自動的に増えることになる。
大きな政府で経済全体が効率化したからGDPが増えるのではない。GDPの算式上、そうなるに過ぎない。
○知っておきたい経済用語 政府最終消費支出 ―個人消費に次いで大きなGDP の構成項目―
=====【引用ここから】=====
医療費の給付負担の高まりは、GDP 統計上では政府最終消費支出の拡大に寄与しています。しかしながら、医療費の増大が財政構造を悪化させる要因となっているとすれば、政府最終消費支出の拡大が経済成長をもたらしていると評価するわけにはいきません。
=====【引用ここまで】=====
GDPを単純に用いた分析は、誤りのもと。GDPの集計や単純比較に囚われることなく、その中身や性質をきちんと見て、「時間や、費用や、人員をいかに合理的に使うか、いかに効率的に使うか」を考えるのが経済学である。
そして、政府に任せていても効率化せず、無駄な事業が一向に減らないのであれば、政府の手にある予算と権限を削っていくことを考えなければならない。
そう、小さな政府である。
ところが…
○高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門 政治経済 現代社会 小さな政府論は、本当にむちゃくちゃ
=====【引用ここから】=====
あるいは、「無政府社会(小さな政府の究極)」は可能だといって、ソマリアを例に出して、「ほらどうだ!」と言います。
クリック
↓
無政府社會は可能だ
厳密には、ソマリアと、ソマリア内のソマリランドは別ですが・・
なんだか、もう、ついていけません。ソマリアを出して、「可能だ」と言われても…そりゃ可能は、可能でしょうが、無秩序(部族による秩序はあるらしいですが)地帯で、人(内国人・外国人)が住めるか?です。
=====【引用ここまで】=====
・政府が無くとも秩序は成立しうる
・実際にソマリランドで秩序が成立している
これらの点について反論をせず、
「もう、ついていけません」
「無秩序地帯で、人は住めるか?」
と述べている。なんと中身のない印象操作であることか。
「小さな政府論は、本当にむちゃくちゃ」
と題名を付けているが、菅原氏には、具体的にどこがどう無茶苦茶なのかを指摘してもらいたいものだ。
さて。
○高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門 政治経済 現代社会 小さな政府論は、本当にむちゃくちゃ
=====【引用ここから】=====
そもそも、そんなに、「小さな政府」が経済的にいいのなら、「小さな政府の方が、経済成長する」とか、「小さな政府の方が、一人当たりGDPは大きくなる」ということを、実証しなければいけません。
=====【引用ここまで】=====
「GDP=民間消費+民間投資+政府支出+純輸出」
という算式で表現される、GDP。
「高校生からの~」のブログ主である菅原氏は、しきりにGDPが増えることを求めているが、算式からも分かるように、政府支出が増えればGDPは増える。GDPを増やすだけなら簡単なことだ。政府が金を使えば、定義に従いGDPは増える。
ところが、それで世の中が良くなるほど単純ではない。
菅原氏は別のところで、
高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門 政治経済 現代社会 三権分立 行政 その1
=====【引用ここから】=====
経済=エコノミー=節約のことです。経済学=エコノミクス=それを追求する学問です。
節約とは、「最少費用で、最大効果」つまり「効率」を追求することです。時間や、費用や、人員をいかに合理的に使うか、いかに効率的に使うか、これが経済学です。
=====【引用ここまで】=====
と経済学の意義を述べている。限られた資源をいかに合理的に、効率的に使うかが経済学だ、と。これは正しい。
ここで、GDPの総体を眺めてみても、政府支出の効率性は分からない。
むしろ、「GDPの増加が経済成長の指標である」と単純な声が、政府支出による非効率な事業を後押しする。「一見無駄に見えるこの公共事業でも、結果的にはGDPを押し上げることになるんだから」と正当化することになってしまう。
GDPはあくまでも
「民間消費+民間投資+政府支出+純輸出」
でしかない。政府支出を増やせば、いかに無駄なもの、馬鹿げたのもが含まれていても、GDPとしては増えることになる。GDPは味噌糞混ざったものである。GDPの増加を手放しで喜ぶのではなく、GDPの増加分が果たして味噌が増えた分なのか、糞が増えた分なのかを厳しく峻別し問いただす姿勢、つまり、「時間や、費用や、人員をいかに合理的に使うか、いかに効率的に使うか」を追い求めることが、経済学の考え方のはずだ。
「GDPが増えた=国民の富の総量が増えた、経済成長を遂げた」
という関係が成り立つためには、政府支出の中身が効率的であるということが前提として必要だ。ところが、政府の支出は非効率的なものが山ほど含まれており、この前提が成立していると考えるのは無理がある。
当の菅原氏も、
○高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門 政治経済 現代社会 三権分立 行政 その1
=====【引用ここから】=====
官僚が、つまり政府が、産業振興を企図して、成功した例があるのでしょうか?
=====【引用ここまで】=====
と述べた上で、
経済産業省のシャープへの補助金
札幌市営地下鉄
赤字空港
クールジャパン
基礎技術研究促進センター
新エネルギー・産業技術総合開発機構
・・・等を無駄な事業として列挙している。
GDPの構成要素である政府支出には、こういった無駄が大量に含まれている。このように政府支出が含まれるGDPを増やしたところで、果たしてそれが経済成長と言えるのか。GDPを経済成長の指標として用いることに、大きな疑問を持つ。指標として全く使えないというわけではないが、使う際には吟味が必要だろう。
さてここで、
○高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門 政治経済 現代社会 小さな政府論は、本当にむちゃくちゃ
=====【引用ここから】=====
では、マクロではどうでしょうか。「小さな政府の方が経済成長する」「小さな政府の方が1人当たりGDPは大きい」を検証しましょう。
=====【引用ここまで】=====
として、OECD諸国の租税・社会保障国民負担率とGDP成長率の比較や1人当たりGDPとの比較を行っている。そして、
恐ろしいことに「国民負担率が大きくなる(大きな政府)方が、1人当たりGDPも多い」ということになりました。
<結論>
「大きな政府は国を滅ぼす」などということは全くないのです。実際は真逆です。
と結論づけているが、これは誤りだ。
社会保障制度を拡充して「大きな政府」にしていけば、社会保障国民負担率は上がる。そして同時に、社会保障費が増えて政府支出も増える。「GDP=民間消費+民間投資+政府支出+純輸出」という算式に基づき、政府支出が増えればGDPは自動的に増えることになる。
大きな政府で経済全体が効率化したからGDPが増えるのではない。GDPの算式上、そうなるに過ぎない。
○知っておきたい経済用語 政府最終消費支出 ―個人消費に次いで大きなGDP の構成項目―
=====【引用ここから】=====
医療費の給付負担の高まりは、GDP 統計上では政府最終消費支出の拡大に寄与しています。しかしながら、医療費の増大が財政構造を悪化させる要因となっているとすれば、政府最終消費支出の拡大が経済成長をもたらしていると評価するわけにはいきません。
=====【引用ここまで】=====
GDPを単純に用いた分析は、誤りのもと。GDPの集計や単純比較に囚われることなく、その中身や性質をきちんと見て、「時間や、費用や、人員をいかに合理的に使うか、いかに効率的に使うか」を考えるのが経済学である。
そして、政府に任せていても効率化せず、無駄な事業が一向に減らないのであれば、政府の手にある予算と権限を削っていくことを考えなければならない。
そう、小さな政府である。