神奈川県大和市に、減税派の市議がいます。
そんな市議がXというチラシの裏紙で長文妄想を垂れ流していたので、こちらもチラ裏で感想コメントを残しておこうと思います。
======【引用ここから】======
アルゼンチンでミレイが大統領になった際、政治の現実を全く踏まえない空想的なリバタリアン達がいて、ミレイの邪魔をしていたという。
彼らを「カフェ・リバタリアン」という。
それは日本においては減税会や減税活動家にからむ「チラ裏」と呼ばれる人達と同類といえる。
======【引用ここまで】======
冒頭からツッコミどころ満載です。
減税会・減税派界隈は、以前より
「減税すれば官僚や政治家が歳出削減する」
「税金は余っている」
といった空想・妄想を主張してきました。
アベノミクスで膨らんだ赤字国債累積をどうするのか、金利をどうするのか、現在進行中の物価高をどうするのか・・・現代日本では、金融・財政を中心に問題山積みです。
こうした現実を踏まえない空想的な活動家集団が、減税会・減税派です。
新規の赤字国債を毎年発行している日本で、増税を止めてさらに減税まで持っていくためには、何が必要でしょうか。
星野しょう市議も言及しているアルゼンチンのミレイ大統領のように、
「教育省、社会保障省、公共事業省、保健省、環境省・・・・要らん!!」
というアフエラ祭りが必要です。
省庁まるごと廃止するレベルでの歳出削減が、日本にこそ必要です。
さぁ、現実を見ましょう星野市議。
大和市で減税・小さな政府を実現するため、大和市役所の何課からアフエラしましょうか。
削減対象を挙げないことには、「赤字国債に拠らない減税」の話は一歩も前に進みません。
======【引用ここから】======
彼らは空想的であり、減税や歳出削減を推進する減税会などの活動家に難癖をつけ、文句ばかり言う集団である。
======【引用ここまで】======
減税を推進する減税会なら見たことがありますが、歳出削減を推進する減税会はあまり見かけません。
逆に、インフレ目標政策でインフレを推進しながら減税しろという「三重県減税会」や、「積極財政と減税」を標榜した候補者(金子洋一氏)を選挙で応援した「神奈川減税会」等は知っているのですが、毎年の赤字国債発行額(大体35兆円~40兆円程度)を解消できるレベルの歳出削減を掲げた減税会というのは聞いたことがありません。
具体的で大規模な歳出削減を推進する減税会がありましたら、ぜひ教えてください。
======【引用ここから】======
(減税会は)自立、分散した存在であるため、目的や趣旨が必ずしも統制のとれたものではないが、概ね共通する事は減税や規制廃止などの主張を通じて「政府規模の制限、私有財産の保護、自由の拡大」を訴えていることだ。
======【引用ここまで】======
減税運動を推進しているシンクタンク『救国シンクタンク』は、倉山氏というリフレ政策(金融緩和、事実上の財政ファイナンス)を求めるリフレ派が主催者となっており、柿埜氏といったリフレ派学者も所属しています。救国シンクタンク所属で減税運動の主唱者・渡瀬氏も、予算規模の拡大に資するリフレ政策を運動論に組み込んでいます。減税会を「政府規模の制限を訴えている」と位置付けるのは明確なウソです。
歳出削減を明示できず財源を伴わない減税運動が現実化しても、政府は社会保障財源を赤字国債で賄う今までのやり方を踏襲して政府規模を維持・拡大することでしょう。
======【引用ここから】======
世界を白くあるべきだと願っても、いきなり全て変えられるわけでもなく、現実が黒であるなら、グレーという過程を経て白に向かう必要がある。
また、現実に生きる人間集団には常識と言う「思い込み」がある。
その常識が「世界は黒」となっていれば「世界は白であるべきだ」と言ってもすぐには人を説得できないだろう。
・・・・・要は相手が常識としている黒の部分を白に向けて少しずつ拡大する為の説得の「過程」が必要なのだ。
======【引用ここまで】======
「減税すべきだ」という信仰を持つ集団、減税派・減税会。
私はかつて減税派を称していましたが、この「減税すべきだ」という信仰、減税に向けた運動論のあまりな非現実さ・滑稽さを見て、過程を経て少しずつ「減税は無理だ」という常識に復帰していきました。
減税会には、赤字国債・社会保障といった政治の現実を踏まえた話をしていただきたいものです。
======【引用ここから】======
「歳出削減」よりも「減税」を優先的に主張するべきだと考えている。
その理由は「減税」により政府歳入を減らすことによってでしか、行政改革の動機が生まれず、政府の予算策定における、歳出削減への圧力をかける事ができないからだ。
======【引用ここまで】======
2024年12月現在、国民民主党がキャスティングボードを握り、政府に「基礎控除103万円の壁を178万円まで引き上げろ」と要求しています。これが実現すれば、所得税・住民税の減税となります。
では、この減税の機運に沿って、歳出削減への圧力は生じているでしょうか。
答えは、ノーです。
自民党は国民民主党に対し
「財源はどうするの?何の予算・事業を削減するの?」
とボールを投げましたが、国民民主党は
「それは政府与党がやることだ」
といって取り合いませんでした。なお、国民民主党はこの減税要求と同時に、高校無償化などの大規模なバラマキも並行して選挙公約として打ち出しており、歳出削減をやる気は全くありません。
また、地方においても減税による税収減は生じますが、国民民主党は地方自治体に大幅な歳出削減を求めていません。
それどころか、
「減収分は地方交付税交付金で補填される」
と主張し、暗に、歳出規模は今のまま維持できると言っているのです。
このように、「減税すれば歳出削減される」という圧力は、現実の政治の中では全く生じておりません。減税派だけが叫んでいる妄想といって良いでしょう。
今の日本の財政は、社会保障給付その他の様々な政府支出に対し税収が全く足りておらず、この差額を赤字国債で埋めている状態です。国民民主党・減税派の求める今回の減税は、この差額・不足額大きくするだけのことです。
そして後半、減税会・減税派の妄想は加速します。
======【引用ここから】======
次に私自身の考えを話すために基本的な考えを述べる。
私は、小さな政府(制限された政府)を望む自由主義者であり、長期的な方向性として、減税、規制廃止、歳出削減を主張する地方議員である。
======【引用ここまで】======
この星野しょう市議、減税と歳出削減を主張する地方議員だと自称しています。
では、所属する市議会で彼はどの程度の歳出削減を要求しているかというと、
「総合計画策定に反対しその分の人件費削減を求める」
「私道の寄付に反対し整備費削減を求める」
というものでした(本人談)。
総合計画策定に反対し私道寄付に反対すること自体はとても良いことなのですが、これで削減できるのはせいぜい数百万円でしょう。
人口23万人、地方交付税交付金を20億円受け取っている大和市で、これで幾ら減税できるのでしょうか。
末端の支援者・運動員とは違い、議員として減税を主張するのであれば、減税による収入減とこれに対応する歳出削減を明示すべきです。粗でも良いので予算の大枠・構造を示すべきです。
こうした議員を政策面で支え、具体的な減収額と歳出削減額の試算を提示する役割を担うものとしてシンクタンクが期待されるところですが、減税運動を主唱している「救国シンクタンク」が歳出削減の具体化という面で全く機能していません。
星野しょう市議をはじめとした減税派の地方議員は、梯子を外されたピエロ状態になっていることに気づいているのでしょうか。
======【引用ここから】======
その上で「歳出削減」よりも「減税」を優先的に主張するべきだと考えている。
その理由は「減税」により政府歳入を減らすことによってでしか、行政改革の動機が生まれず、政府の予算策定における、歳出削減への圧力をかける事ができないからだ。
======【引用ここから】======
地方交付税交付金について大雑把な話をします。
「その自治体の人口・面積等から算出される標準的な支出額 - その自治体の税収」の差額を国が自治体に払うのが、地方交付税交付金という制度です。
地方自治体において、減税は歳出削減への圧力を生じさせるでしょうか。
その昔、名古屋市は、税収が多かったため地方交付税交付金を受け取っていませんでした。ところが、市民税減税を行ったため税収不足が生じ、以降14年間、地方交付税交付金を受け取ることとなりました。減税したのに、制度上、トータルでは歳入がそれほど減らないのです。
そもそも、名古屋市の減税日本は
「デフレ対策としての減税と財政出動」
「小さな政府と大きな公共サービス」
を掲げており、歳出削減を謳っていません。票集めのための福祉バラマキを継続し、国から地方交付税交付金を受け取って減税による減収分を補填してきました。
2024年に行われた名古屋市長選でも、当選した減税日本の候補者は減税のための事業廃止・歳出削減を打ち出すことはなく、逆に「名古屋城木造再建」というハコモノ事業に走ってしまいました。
残念ながら、地方交付税制度の枠組みの下では、地方行政に対し減税で歳出削減への圧力をかけることはできないのです。
他方、国政においても、原理は異なりますが、減税では歳出削減への圧力をかけることはできません。
======【引用ここから】======
ではなぜ国債発行が行われるのかと言えば「増税」によって将来的に政府歳入を増加させる事が可能だからだ。
しかし、前述の「黒からグレー、グレーから白」を目指す過程を思い浮かべて頂ければ、あくまでその時点での現実的な行動として「減税」が優先されているだけであり、当然だが「減税」の後に財政均衡を推し進めて「歳出削減」に繋げるのである。
======【引用ここまで】======
福祉・社会保障を中心にバラマキをし続け、歳出削減をすることができず赤字国債で穴埋めしてきた結果、GDP比で世界最悪の借金国となりました。この国債の元利償還と社会保障給付が増税圧力となっています。毎年、35兆円規模の国債を発行しています。
過去の国債を償還しつつ、現在の税収不足を解消し毎年の赤字国債発行を抑制するためには、増税と歳出削減を組み合わせて行わなければなりません。政治の現実を踏まえた時、「減税」が出てくる余地はありません。
財政均衡のためのルールとして、アメリカではペイアズユーゴ―法や債務上限が設定されています。EUでも加盟国の債務上限に関するルールが存在します。こうしたルールは、いずれも「歳出削減か増税によって赤字国債発行を抑制せよ」とするものです。
日本には、財政均衡のためのルール・慣行が全く存在せず、赤字国債を垂れ流し世界最悪の累積債務を築いてきました。この傾向は財政破綻するその瞬間まで続くでしょう。
減税しても破綻するまで赤字国債を発行しますよ、日本は。
おそらく、債務不履行・デフォルトとなるその直前まで赤字国債を発行することでしょう。
「減税すれば赤字国債を発行しなくなる」という財政規律は、日本ではとっくの昔に捨て去られてしまっています。
日本に必要なのは、歳出削減をすること。そして、財政均衡のためのルールを導入し慣行として定着させること、です。
こうした取組なしに、赤字国債発行を止めるあてのない減税を先行させることは有害なのです。
減税は無条件に良い政策ではありません。
減税派・減税会の人とやりとりをすると、高確率で
「私たちは減税を求める。歳出削減を求めたければそっちで勝手にやれ」
という捨て台詞が出てきます。
私は、
「財源のない減税、歳出削減を伴わない減税は無責任で有害だからやめろ」
と言っているのです。話がなかなか噛み合いませんね。
======【引用ここから】======
また別の角度からの理由としては
1、 政府であろうが、地方自治体であろうが「基本的」には歳入の予想額から歳出を考えるので、減税によって歳入を減らすことで内側から行政改革や歳出削減の圧力がかかる。
======【引用ここまで】======
政府と地方自治体の財政の仕組みはまるっきり異なります。
地方自治体は歳入の予想額から歳出を考えますが、ある程度は税収減を地方交付税交付金でカバーできてしまうシステムのため、減税がそのまま歳入減にはならず歳出削減の圧力にはなりません。上述の名古屋市のとおりです。
政府の場合、社会保障制度や地方交付税制度などによって先に歳出の見込みが設定され、これを税収で賄えるかどうか、賄えないのであれば増税か赤字国債か、という流れで予算の大枠が組まれます。社会保障制度や地方交付税制度を変えることができなければ、増税か赤字国債かその両方か、の三択になります。
======【引用ここから】======
2、 歳入減少により発生する行政改革や歳出削減圧力の過程で既得権益の代表者である政治家同士が戦う過程が発生するが、政治家以外の立場から見れば楽である。
======【引用ここまで】======
現実には、星野しょう市議をはじめ減税派の議員が、減税に足りるだけの大幅な歳出削減を打ち出すことから逃げ回っており、政治家同士が戦う過程が発生していません(笑)。地方議員も政治家でしたよね(笑)。
======【引用ここから】======
3、 歳出削減から始めるということは、予算があるのに使わない状態になるので一時的にでも金を余らせる事になる。そして権力を拡大したい政府や行政又は政治家がその金を自発的に減税に充てるということは考えにくく、他の事に予算を付け替えてしまうだろう。
======【引用ここまで】======
この「削減した予算の付け替え」論は、地方自治体では発生しますが、政府、特に今の日本政府では基本的に発生しません。
税収の範囲内でやりくりをしている状態であれば、事業Aを廃止して浮いた予算で事業Bを行うという「削減した予算の付け替え」が生じます。ところが、今の日本政府は、事業Aと事業Bが税収では足りず、事業Bを丸ごと赤字国債で賄っているような状態です。事業Bを廃止すれば赤字国債を減らすだけであり、予算は余りません。
日本政府は、先に社会保障制度等から発生する費用の見込みを積み上げ、税収で賄えるかを計算し、賄えない分を赤字国債で補うということをこの数十年繰り返してきました。歳出削減がされれば、赤字国債の発行が減らせます。例年の赤字国債発行額35兆円以上の歳出削減がされて初めて、35兆円を超えた削減額の分だけ減税が可能になります。
======【引用ここから】======
4、 同じく歳出削減から始めると、特定の既得権益者から予算を外す事になり、相当の抵抗が考えられる。場合によっては身体的な迫害も覚悟しなければならないだろう。
======【引用ここまで】======
何を削るかの合意形成を後回しにして目先の減税を決めることで、政治力の弱い分野・業界の予算から削られることになります。それすら抵抗が強ければ、歳出削減を諦めて赤字国債でツケを回すことになります。
今の日本は、景気対策としての減税やバラマキ、増税の先送り、社会保障給付見直しの先送り、これらの積み重ねによって膨大な赤字国債を積み上げてしまいました。この利払いが今の増税圧力となっています。日銀がインフレ抑制のために金利を上げれば、利払いはさらに膨らみます。この状況で大幅な歳出削減を伴わない減税をすれば、「債務の償還が滞るのではないか」という信用不安を招き、国債の格付け下落、金利上昇を招きインフレ税が重く国民生活にのしかかってくることでしょう。
アルゼンチンのミレイ大統領のように、相当な覚悟をもって省庁の廃止や歳出削減を打ち出す必要があります。財源なき目先の減税を吹いて回る議員は徹底的に批判しますが、大幅な歳出削減を掲げる議員は応援します。
星野しょう市議が、大和市議会において、市長に対し大和市役所の何課を「アフエラ!!」と主張するのか、そして、大和市議会から『政府に○○省の廃止を求める意見書』を出すのか、楽しみにして待っていましょう。
-------(追記)-------
リフレ派救国シンクタンクで減税運動主唱者・渡瀬氏の信者の減税派の方から、よく、
「若年寄は地方公務員を辞めて歳出削減しろ。それが行革だ」
と言われます。
ところが残念ながら、私のような末端の地方公務員が辞めても、事業廃止・歳出削減できなければポストは残ります。空いたポストに後任者が座るので、トータルで人件費は減りません。事業廃止、歳出削減に努めてはいるものの、私が無能で非力なため、なかなか上司の賛同を得られず、事業廃止にまで漕ぎ着けることができないでいます。
他方、地方議会の場合、議員定数は議員提案で変えることができます。議員が定数削減を謳って定数条例改正を提案し可決されれば、ポストそのものを減らし人件費を削減することができます。
大和市議会で最下位当選だった星野しょう市議が議員定数削減条例案を出して可決されれば、星野しょう市議が議員を辞めてポストが減って人件費を削減できます。
おそらく、この方法が、星野しょう市議にできる唯一の行革だと思いますが・・・いかがでしょうか。
そんな市議がXというチラシの裏紙で長文妄想を垂れ流していたので、こちらもチラ裏で感想コメントを残しておこうと思います。
======【引用ここから】======
アルゼンチンでミレイが大統領になった際、政治の現実を全く踏まえない空想的なリバタリアン達がいて、ミレイの邪魔をしていたという。
彼らを「カフェ・リバタリアン」という。
それは日本においては減税会や減税活動家にからむ「チラ裏」と呼ばれる人達と同類といえる。
======【引用ここまで】======
冒頭からツッコミどころ満載です。
減税会・減税派界隈は、以前より
「減税すれば官僚や政治家が歳出削減する」
「税金は余っている」
といった空想・妄想を主張してきました。
アベノミクスで膨らんだ赤字国債累積をどうするのか、金利をどうするのか、現在進行中の物価高をどうするのか・・・現代日本では、金融・財政を中心に問題山積みです。
こうした現実を踏まえない空想的な活動家集団が、減税会・減税派です。
新規の赤字国債を毎年発行している日本で、増税を止めてさらに減税まで持っていくためには、何が必要でしょうか。
星野しょう市議も言及しているアルゼンチンのミレイ大統領のように、
「教育省、社会保障省、公共事業省、保健省、環境省・・・・要らん!!」
というアフエラ祭りが必要です。
省庁まるごと廃止するレベルでの歳出削減が、日本にこそ必要です。
さぁ、現実を見ましょう星野市議。
大和市で減税・小さな政府を実現するため、大和市役所の何課からアフエラしましょうか。
削減対象を挙げないことには、「赤字国債に拠らない減税」の話は一歩も前に進みません。
======【引用ここから】======
彼らは空想的であり、減税や歳出削減を推進する減税会などの活動家に難癖をつけ、文句ばかり言う集団である。
======【引用ここまで】======
減税を推進する減税会なら見たことがありますが、歳出削減を推進する減税会はあまり見かけません。
逆に、インフレ目標政策でインフレを推進しながら減税しろという「三重県減税会」や、「積極財政と減税」を標榜した候補者(金子洋一氏)を選挙で応援した「神奈川減税会」等は知っているのですが、毎年の赤字国債発行額(大体35兆円~40兆円程度)を解消できるレベルの歳出削減を掲げた減税会というのは聞いたことがありません。
具体的で大規模な歳出削減を推進する減税会がありましたら、ぜひ教えてください。
======【引用ここから】======
(減税会は)自立、分散した存在であるため、目的や趣旨が必ずしも統制のとれたものではないが、概ね共通する事は減税や規制廃止などの主張を通じて「政府規模の制限、私有財産の保護、自由の拡大」を訴えていることだ。
======【引用ここまで】======
減税運動を推進しているシンクタンク『救国シンクタンク』は、倉山氏というリフレ政策(金融緩和、事実上の財政ファイナンス)を求めるリフレ派が主催者となっており、柿埜氏といったリフレ派学者も所属しています。救国シンクタンク所属で減税運動の主唱者・渡瀬氏も、予算規模の拡大に資するリフレ政策を運動論に組み込んでいます。減税会を「政府規模の制限を訴えている」と位置付けるのは明確なウソです。
歳出削減を明示できず財源を伴わない減税運動が現実化しても、政府は社会保障財源を赤字国債で賄う今までのやり方を踏襲して政府規模を維持・拡大することでしょう。
======【引用ここから】======
世界を白くあるべきだと願っても、いきなり全て変えられるわけでもなく、現実が黒であるなら、グレーという過程を経て白に向かう必要がある。
また、現実に生きる人間集団には常識と言う「思い込み」がある。
その常識が「世界は黒」となっていれば「世界は白であるべきだ」と言ってもすぐには人を説得できないだろう。
・・・・・要は相手が常識としている黒の部分を白に向けて少しずつ拡大する為の説得の「過程」が必要なのだ。
======【引用ここまで】======
「減税すべきだ」という信仰を持つ集団、減税派・減税会。
私はかつて減税派を称していましたが、この「減税すべきだ」という信仰、減税に向けた運動論のあまりな非現実さ・滑稽さを見て、過程を経て少しずつ「減税は無理だ」という常識に復帰していきました。
減税会には、赤字国債・社会保障といった政治の現実を踏まえた話をしていただきたいものです。
======【引用ここから】======
「歳出削減」よりも「減税」を優先的に主張するべきだと考えている。
その理由は「減税」により政府歳入を減らすことによってでしか、行政改革の動機が生まれず、政府の予算策定における、歳出削減への圧力をかける事ができないからだ。
======【引用ここまで】======
2024年12月現在、国民民主党がキャスティングボードを握り、政府に「基礎控除103万円の壁を178万円まで引き上げろ」と要求しています。これが実現すれば、所得税・住民税の減税となります。
では、この減税の機運に沿って、歳出削減への圧力は生じているでしょうか。
答えは、ノーです。
自民党は国民民主党に対し
「財源はどうするの?何の予算・事業を削減するの?」
とボールを投げましたが、国民民主党は
「それは政府与党がやることだ」
といって取り合いませんでした。なお、国民民主党はこの減税要求と同時に、高校無償化などの大規模なバラマキも並行して選挙公約として打ち出しており、歳出削減をやる気は全くありません。
また、地方においても減税による税収減は生じますが、国民民主党は地方自治体に大幅な歳出削減を求めていません。
それどころか、
「減収分は地方交付税交付金で補填される」
と主張し、暗に、歳出規模は今のまま維持できると言っているのです。
このように、「減税すれば歳出削減される」という圧力は、現実の政治の中では全く生じておりません。減税派だけが叫んでいる妄想といって良いでしょう。
今の日本の財政は、社会保障給付その他の様々な政府支出に対し税収が全く足りておらず、この差額を赤字国債で埋めている状態です。国民民主党・減税派の求める今回の減税は、この差額・不足額大きくするだけのことです。
そして後半、減税会・減税派の妄想は加速します。
======【引用ここから】======
次に私自身の考えを話すために基本的な考えを述べる。
私は、小さな政府(制限された政府)を望む自由主義者であり、長期的な方向性として、減税、規制廃止、歳出削減を主張する地方議員である。
======【引用ここまで】======
この星野しょう市議、減税と歳出削減を主張する地方議員だと自称しています。
では、所属する市議会で彼はどの程度の歳出削減を要求しているかというと、
「総合計画策定に反対しその分の人件費削減を求める」
「私道の寄付に反対し整備費削減を求める」
というものでした(本人談)。
総合計画策定に反対し私道寄付に反対すること自体はとても良いことなのですが、これで削減できるのはせいぜい数百万円でしょう。
人口23万人、地方交付税交付金を20億円受け取っている大和市で、これで幾ら減税できるのでしょうか。
末端の支援者・運動員とは違い、議員として減税を主張するのであれば、減税による収入減とこれに対応する歳出削減を明示すべきです。粗でも良いので予算の大枠・構造を示すべきです。
こうした議員を政策面で支え、具体的な減収額と歳出削減額の試算を提示する役割を担うものとしてシンクタンクが期待されるところですが、減税運動を主唱している「救国シンクタンク」が歳出削減の具体化という面で全く機能していません。
星野しょう市議をはじめとした減税派の地方議員は、梯子を外されたピエロ状態になっていることに気づいているのでしょうか。
======【引用ここから】======
その上で「歳出削減」よりも「減税」を優先的に主張するべきだと考えている。
その理由は「減税」により政府歳入を減らすことによってでしか、行政改革の動機が生まれず、政府の予算策定における、歳出削減への圧力をかける事ができないからだ。
======【引用ここから】======
地方交付税交付金について大雑把な話をします。
「その自治体の人口・面積等から算出される標準的な支出額 - その自治体の税収」の差額を国が自治体に払うのが、地方交付税交付金という制度です。
地方自治体において、減税は歳出削減への圧力を生じさせるでしょうか。
その昔、名古屋市は、税収が多かったため地方交付税交付金を受け取っていませんでした。ところが、市民税減税を行ったため税収不足が生じ、以降14年間、地方交付税交付金を受け取ることとなりました。減税したのに、制度上、トータルでは歳入がそれほど減らないのです。
そもそも、名古屋市の減税日本は
「デフレ対策としての減税と財政出動」
「小さな政府と大きな公共サービス」
を掲げており、歳出削減を謳っていません。票集めのための福祉バラマキを継続し、国から地方交付税交付金を受け取って減税による減収分を補填してきました。
2024年に行われた名古屋市長選でも、当選した減税日本の候補者は減税のための事業廃止・歳出削減を打ち出すことはなく、逆に「名古屋城木造再建」というハコモノ事業に走ってしまいました。
残念ながら、地方交付税制度の枠組みの下では、地方行政に対し減税で歳出削減への圧力をかけることはできないのです。
他方、国政においても、原理は異なりますが、減税では歳出削減への圧力をかけることはできません。
======【引用ここから】======
ではなぜ国債発行が行われるのかと言えば「増税」によって将来的に政府歳入を増加させる事が可能だからだ。
しかし、前述の「黒からグレー、グレーから白」を目指す過程を思い浮かべて頂ければ、あくまでその時点での現実的な行動として「減税」が優先されているだけであり、当然だが「減税」の後に財政均衡を推し進めて「歳出削減」に繋げるのである。
======【引用ここまで】======
福祉・社会保障を中心にバラマキをし続け、歳出削減をすることができず赤字国債で穴埋めしてきた結果、GDP比で世界最悪の借金国となりました。この国債の元利償還と社会保障給付が増税圧力となっています。毎年、35兆円規模の国債を発行しています。
過去の国債を償還しつつ、現在の税収不足を解消し毎年の赤字国債発行を抑制するためには、増税と歳出削減を組み合わせて行わなければなりません。政治の現実を踏まえた時、「減税」が出てくる余地はありません。
財政均衡のためのルールとして、アメリカではペイアズユーゴ―法や債務上限が設定されています。EUでも加盟国の債務上限に関するルールが存在します。こうしたルールは、いずれも「歳出削減か増税によって赤字国債発行を抑制せよ」とするものです。
日本には、財政均衡のためのルール・慣行が全く存在せず、赤字国債を垂れ流し世界最悪の累積債務を築いてきました。この傾向は財政破綻するその瞬間まで続くでしょう。
減税しても破綻するまで赤字国債を発行しますよ、日本は。
おそらく、債務不履行・デフォルトとなるその直前まで赤字国債を発行することでしょう。
「減税すれば赤字国債を発行しなくなる」という財政規律は、日本ではとっくの昔に捨て去られてしまっています。
日本に必要なのは、歳出削減をすること。そして、財政均衡のためのルールを導入し慣行として定着させること、です。
こうした取組なしに、赤字国債発行を止めるあてのない減税を先行させることは有害なのです。
減税は無条件に良い政策ではありません。
減税派・減税会の人とやりとりをすると、高確率で
「私たちは減税を求める。歳出削減を求めたければそっちで勝手にやれ」
という捨て台詞が出てきます。
私は、
「財源のない減税、歳出削減を伴わない減税は無責任で有害だからやめろ」
と言っているのです。話がなかなか噛み合いませんね。
======【引用ここから】======
また別の角度からの理由としては
1、 政府であろうが、地方自治体であろうが「基本的」には歳入の予想額から歳出を考えるので、減税によって歳入を減らすことで内側から行政改革や歳出削減の圧力がかかる。
======【引用ここまで】======
政府と地方自治体の財政の仕組みはまるっきり異なります。
地方自治体は歳入の予想額から歳出を考えますが、ある程度は税収減を地方交付税交付金でカバーできてしまうシステムのため、減税がそのまま歳入減にはならず歳出削減の圧力にはなりません。上述の名古屋市のとおりです。
政府の場合、社会保障制度や地方交付税制度などによって先に歳出の見込みが設定され、これを税収で賄えるかどうか、賄えないのであれば増税か赤字国債か、という流れで予算の大枠が組まれます。社会保障制度や地方交付税制度を変えることができなければ、増税か赤字国債かその両方か、の三択になります。
======【引用ここから】======
2、 歳入減少により発生する行政改革や歳出削減圧力の過程で既得権益の代表者である政治家同士が戦う過程が発生するが、政治家以外の立場から見れば楽である。
======【引用ここまで】======
現実には、星野しょう市議をはじめ減税派の議員が、減税に足りるだけの大幅な歳出削減を打ち出すことから逃げ回っており、政治家同士が戦う過程が発生していません(笑)。地方議員も政治家でしたよね(笑)。
======【引用ここから】======
3、 歳出削減から始めるということは、予算があるのに使わない状態になるので一時的にでも金を余らせる事になる。そして権力を拡大したい政府や行政又は政治家がその金を自発的に減税に充てるということは考えにくく、他の事に予算を付け替えてしまうだろう。
======【引用ここまで】======
この「削減した予算の付け替え」論は、地方自治体では発生しますが、政府、特に今の日本政府では基本的に発生しません。
税収の範囲内でやりくりをしている状態であれば、事業Aを廃止して浮いた予算で事業Bを行うという「削減した予算の付け替え」が生じます。ところが、今の日本政府は、事業Aと事業Bが税収では足りず、事業Bを丸ごと赤字国債で賄っているような状態です。事業Bを廃止すれば赤字国債を減らすだけであり、予算は余りません。
日本政府は、先に社会保障制度等から発生する費用の見込みを積み上げ、税収で賄えるかを計算し、賄えない分を赤字国債で補うということをこの数十年繰り返してきました。歳出削減がされれば、赤字国債の発行が減らせます。例年の赤字国債発行額35兆円以上の歳出削減がされて初めて、35兆円を超えた削減額の分だけ減税が可能になります。
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4、 同じく歳出削減から始めると、特定の既得権益者から予算を外す事になり、相当の抵抗が考えられる。場合によっては身体的な迫害も覚悟しなければならないだろう。
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何を削るかの合意形成を後回しにして目先の減税を決めることで、政治力の弱い分野・業界の予算から削られることになります。それすら抵抗が強ければ、歳出削減を諦めて赤字国債でツケを回すことになります。
今の日本は、景気対策としての減税やバラマキ、増税の先送り、社会保障給付見直しの先送り、これらの積み重ねによって膨大な赤字国債を積み上げてしまいました。この利払いが今の増税圧力となっています。日銀がインフレ抑制のために金利を上げれば、利払いはさらに膨らみます。この状況で大幅な歳出削減を伴わない減税をすれば、「債務の償還が滞るのではないか」という信用不安を招き、国債の格付け下落、金利上昇を招きインフレ税が重く国民生活にのしかかってくることでしょう。
アルゼンチンのミレイ大統領のように、相当な覚悟をもって省庁の廃止や歳出削減を打ち出す必要があります。財源なき目先の減税を吹いて回る議員は徹底的に批判しますが、大幅な歳出削減を掲げる議員は応援します。
星野しょう市議が、大和市議会において、市長に対し大和市役所の何課を「アフエラ!!」と主張するのか、そして、大和市議会から『政府に○○省の廃止を求める意見書』を出すのか、楽しみにして待っていましょう。
-------(追記)-------
リフレ派救国シンクタンクで減税運動主唱者・渡瀬氏の信者の減税派の方から、よく、
「若年寄は地方公務員を辞めて歳出削減しろ。それが行革だ」
と言われます。
ところが残念ながら、私のような末端の地方公務員が辞めても、事業廃止・歳出削減できなければポストは残ります。空いたポストに後任者が座るので、トータルで人件費は減りません。事業廃止、歳出削減に努めてはいるものの、私が無能で非力なため、なかなか上司の賛同を得られず、事業廃止にまで漕ぎ着けることができないでいます。
他方、地方議会の場合、議員定数は議員提案で変えることができます。議員が定数削減を謳って定数条例改正を提案し可決されれば、ポストそのものを減らし人件費を削減することができます。
大和市議会で最下位当選だった星野しょう市議が議員定数削減条例案を出して可決されれば、星野しょう市議が議員を辞めてポストが減って人件費を削減できます。
おそらく、この方法が、星野しょう市議にできる唯一の行革だと思いますが・・・いかがでしょうか。